222 / 282
嘆きの聖女編
暗黒樹、現る
しおりを挟む222-①
「うおおっ、何だ!? 地震かっ!?」
影光は大きな振動に足を取られてよろめきながらも何とか窓に近付き、そして窓の外を見て驚愕の声を上げた。
「な、何だありゃ……!?」
ソウザン城の最上階を突き破り、巨大な黒い物体が天に向かって伸びてゆき、その先端が次々と枝分かれしてゆく。
「あれは……木……なのか!?」
天へと伸びる謎の物体は、禍々しい気を放つ漆黒の巨木へと姿を変えた。
通天閣にも匹敵しそうな巨木を目の当たりにした影光はシルエッタの胸倉を掴んだ。
「おい!! あの馬鹿デカイ木は何だ!!」
「フフフ……あれこそ、究極影魔獣の真の姿……《暗黒樹》です」
「あの木が……あの究極影魔獣だってのか……?」
「その通りです。マナ、遠眼鏡はあるかしら?」
「は、ハイ!!」
「14号……暗黒樹の枝をよく見てご覧なさい」
影光は、マナが持ってきた遠眼鏡を借りて、暗黒樹の先端の方を見た。枝の先端には南天の木の実を思わせるような夥しい数の球体がくっついている。
「何だありゃ、木の実……? う、動いてやがる……気持ち悪っ!? あっ!!」
影光の視線の先で、木の実の一つが落下し、地面に落ちて割れた木の実の中から五、六体の人型影魔獣が現れた。
「フフフ……暗黒樹は無限に影魔獣を生み出し続けるのです、周囲の生物を取り込みながら」
それを聞いた瞬間に、影光は即座に姫の間の扉を向いた。暗黒樹の発生したあの場所には……最愛の女性がいる。
「影光、お前……どこへ行くつもりだ」
「ガロウ……お前ら……!!」
影光の前に四天王達が立ちはだかった。
「……どいてくれ」
「アンタ……あの巫女を助けにソウザン城に戻るつもりね」
「ヨミ、勝手に心を読むんじゃねーよ」
「フン、読心能力を使うまでもないわ。そんなに焦りに焦った顔をしてればね」
「分かっているなら、どいてくれ」
「影光さん、我々にも少なくない負傷者や死者が出ており、城内に撤収した我々を追って、敵勢もこの城に迫っています。今は、まだ戦える者を指揮して、再び魔王城が動き出す準備が整うまで守りを固める時です」
「すまんキサイ……きっとお前のいう通りなんだろう。それでも……俺は……!!」
「グオム……アブナイ……ダメダ……!!」
四天王達の意見にフォルトゥナと竜人達も賛同する。
「もう一度だけ言う……そこをどけ」
だが、誰一人として道を開けようとする者はいない。
「どうあってもそこをどかねぇって言うんなら……お前らをブチのめしてでも通る!!」
影光が、ネキリ・ナ・デギリの柄に手をかけた。それを見たマナは大慌てでシルエッタに懇願した。
「姫様、お願いします!! あの木を止めて下さい!! 姫様であれば、あの禍々しき妖樹を制御する事が出来るのでしょう?」
マナの必死の懇願に対し、シルエッタは静かに微笑むだけだ。
「やめとけマナ、どうせそいつはあの樹の制御に失敗する」
影光の言葉に、シルエッタの眉がピクリと動いた。
「この私が暗黒樹の制御に失敗する? 下らない……何を根拠に」
「俺がそうだ」
影光は右の親指で自分を指した。
「俺一人すら思い通りに出来ねぇポンコツ聖女が、どうしてあんなバカ丸出しのデカブツを思い通りに出来るってんだ!! コイツは絶対に制御に失敗する、だから……俺は行く!!」
「駄目だ、絶対に行かせん!!」
影光と四天王達が互いに身構えたその時、城内に敵の接近を知らせる鐘の音が響き渡った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。
異世界ほのぼの牧場生活〜女神の加護でスローライフ始めました〜』
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業で心も体もすり減らしていた青年・悠翔(はると)。
日々の疲れを癒してくれていたのは、幼い頃から大好きだったゲーム『ほのぼの牧場ライフ』だけだった。
両親を早くに亡くし、年の離れた妹・ひなのを守りながら、限界寸前の生活を続けていたある日――
「目を覚ますと、そこは……ゲームの中そっくりの世界だった!?」
女神様いわく、「疲れ果てたあなたに、癒しの世界を贈ります」とのこと。
目の前には、自分がかつて何百時間も遊んだ“あの牧場”が広がっていた。
作物を育て、動物たちと暮らし、時には村人の悩みを解決しながら、のんびりと過ごす毎日。
けれどもこの世界には、ゲームにはなかった“出会い”があった。
――獣人の少女、恥ずかしがり屋の魔法使い、村の頼れるお姉さん。
誰かと心を通わせるたびに、はるとの日常は少しずつ色づいていく。
そして、残された妹・ひなのにも、ある“転機”が訪れようとしていた……。
ほっこり、のんびり、時々ドキドキ。
癒しと恋と成長の、異世界牧場スローライフ、始まります!
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜
楠ノ木雫
恋愛
病院に入院中だった私、奥村菖は知らず知らずに異世界へ続く穴に落っこちていたらしく、目が覚めたら知らない屋敷のベッドにいた。倒れていた菖を保護してくれたのはこの国の公爵家。彼女達からは、地球には帰れないと言われてしまった。
病気を患っている私はこのままでは死んでしまうのではないだろうかと悟ってしまったその時、いきなり目の前に〝妖精〟が現れた。その妖精達が持っていたものは幻の薬草と呼ばれるもので、自分の病気が治る事が発覚。治療を始めてどんどん元気になった。
元気になり、この国の公爵家にも歓迎されて。だから、恩返しの為に現代の知識をフル活用して頑張って元気に生きたいと思います!
でも、あれ? この世界には私の知る食材はないはずなのに、どうして食事にこの四角くて白い〝コレ〟が出てきたの……!?
※他の投稿サイトにも掲載しています。
異世界に転生したら?(改)
まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。
そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。
物語はまさに、その時に起きる!
横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。
そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。
◇
5年前の作品の改稿板になります。
少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。
生暖かい目で見て下されば幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる