Over the Life ~異世界変身冒険奇譚~

鳥羽

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第2章 司のあわただしい二週間

第40話 木端微塵

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 ▽

 脱衣所に下ろされ服を脱がされかけたが抵抗し、一気に収納した後はすぐさま腰にタオルを巻いた。
 脱がせるのが楽しいとかいう言葉は聞かなかった事にして、アクセサリを外し髪も下ろし、棚からバスボムとタオルを取りだす。浴室の猫足バスタブに湯を張るための水栓レバーを上げ、そこにバスボムを投げ込んだ。

 ぼちゃんと溜まっていくお湯に溶けて広がる真っ白とアーモンドの香り。うん、いつも通りだってば。二つ並んだ片方のシャワーでお湯を張りながら髪を洗っていると、隅の方に隠すように置いてあったもう一個のバスチェアをアルフリートさんはこっちの持ってきて腰かけた。

「変な形だな」
「・・・そうですかね?」

 セーッフ!! そっちの方は千波(ビッチ)が置いている物で、座る部分の真ん中に隙間がわざわざ作られているやつだ。知らないなら問題ない。

「どれ、髪を洗おう。後ろを向け」
「えー自分でできますって」
「トトには洗わせたのにか?」
「・・・仕方ありませんね」

 トトさんを出されると弱い。あの人に人との接触への抵抗感を大分破壊されたのは間違いなかった。くるりと背を向ける。湯が水面を勢いよく叩く音が自分の鼓動をかき消してくれれば良い。

「本当に長いし多いな」
「これくらいが落ち着くんです」

 ちょっと強いくらいの力加減で揉まれると丁度いい。シャンプーの泡がぽとりと下に落ちた。人の髪は湯シャンの手抜きっぷりだけれど、頑固な毛はちゃんと洗えばトラブルとかも無い。

「やはり、元の色が良い」
「んー、それは僕もそう思います」

 変装する都合で濃くしている紫より、素のクリスタルパープルの方がやっぱり好き。すすぐ時に案の定毛先が絡まったので、バス用のブラシを渡して梳ってもらう。先の方から解かす動作に僅かな苛立ちを覚えた。

「じゃあ次は僕が洗います」

 立ち耳も髪の一部だよねと泡を付けて揉んだらびくっと驚かれて、次はちゃんと言ってから触りますねと謝る。胸のちくっとした感覚は、目の前の人の地肌を洗って流しているうちに、シャワーの水流とゆるやかな勾配に流される泡みたいに消えて行った。

 アルフリートさんは僕程で無くてもしっかりした髪質だった。

「お前のその毛は濡れてても立つんだな」
「固定化してる強固なアホ毛ですから」

 髪を絞って水分を取っていた時、僕の隣から後頭部に浮いた髪をいじりながらアルフリートさんはそう言った。
 固定化とは3生続いた性質の事で、転生してもまたその特徴が出てくる。僕は血色の無い肌色と、このアホ毛が固定化している。この毛だけ重力を無視しているんじゃないかってくらい跳ねるし浮く。
 努力によって有利な固定化を勝ち取る人間もいた事はいた。

 一般人なら固定化したと気づく前に寿命が来る。こちらでも固定化の事は当たり前に知られていたが、固定化が示す本人の傾向などOTLでは余り知られていなかった情報などが聞けた。

「ふぇっ!」

 アルフリートさん隣に居るし、重いけど乾かすの体洗った後でいいかと毛先を眺めながらそう思っていたら、脇の下に手を入れられひょいっと持ち上げられて、先ほどまで彼が座っていた椅子に座らせられた。
 肩に圧が掛かり、後ろから言葉が降ってくる。

「いや、思い出してな」
「何をでしょうか・・・?」
「この椅子の用途だ」

 白いソープで滑った手が首筋から胸に這う。逃げようとしたら左手が腰から内腿に滑り、足の付け根の際どい所を撫でまわす。

「熊(トム)とは何も無くても、ビッチとやらとはどうだったんだろうな?」
「何も、無かったですからぁ!!」

 あのアホがラブハプニング♡ とか言って親指を中指と薬指の間にはめて笑顔で拳を握っている映像が頭を過る。マジであのビッチ来たら一度シめる。恋人ができる事も、その相手がOTL日本サーバだと知らない人はまずいないミラクルビッチの信条を知らない事も想定外の事態だ。

「あっ・・っつ、んん・・・ふぁ、あっ」
「これは触りやすいな」

 耳元に声が吹きかけられてぞくっと電気が走る。
 後ろから抱きかかえられねちょねちょと泡立てながら体中を手が這いまわって、椅子の上でみっともなく踊る。すでに勃ってしまっている性器をぬちゅぬちゅ音を立てて扱かれる。

「そこっだめっ、ひぅ!」

 足を閉じても後ろ側から隙間に手を入れて弄られるし散々だ。悪戯にスリットを撫でていた手が窄まりをくるりと撫でて、形を確かめるみたいに周囲を押す。

「結魂しても子供を作りたくない番がどうするか知っているか?」
「しっるわけ、ないでしょ、んんっ」
「ここを使う。ここなら核合わせしても子供は出来ない。お前は子供は考えてない、作る気は無いと言ったのだから、これを使うのが当たり前だろう?」
「だって、きたなぁっ! あっ、あぁ!」
「そうか? お前は6生だろう? 問題あるまい」

 指が一本ずずっと押し入って来る。浅い所を撫で、出て行ったと思ったらふにふにと穴で遊ぶ。
 抵抗したいのに、先を捏ねまわし裏筋を擦っていく指に翻弄されて力が入らない。
 昇って来る射精感に逆らえず、腰が勝手に手に擦りつけようと動く。でもイきそうになると根本と鈴口を押さえられて出す事を許してもらえない。昇って取り上げられて、それを数度繰り返されると頭の中はイきたいって言葉しか無くなる。

「もっ、いきたいからぁっ!」
「そうか、イきたいか」

 こくこくと馬鹿みたいに頭を振る。話なんて耳元の熱と混ざって半分くらいしか意味を紡がない。

「お前が許さないなら私は挿入したりしない。これを使うのは当然だろう? 後ろに指が入っているぞ? いいなら私の指を締め付けながらイけ」

 当たり前、当然と何度も繰り返し繰り返し吹き込まれる。きゅぅっと後ろの指に吸い付いてへこへこと腰を動かしてようやく絶頂を得た時には一回だけとは思えないくらい息も絶え絶えで、原因のアルフリートさんにただ凭れかかった。 

 ▽

 バスタブは二人くらいなら悠々と入れる広さがある。

 ジト目で反対側に居る人を見つめる。アレは何だと問い詰めたいが確実に地雷原だ。嫌じゃない、嫌じゃないけど、警戒する猫みたいに毛を逆立ててしまうのは無理もない事だと思う。

 アルフリートさんの鳩尾から掌一個分上の所に輝く白銀のダイヤは、光の当たり方によって違う輝きを見せる。僕のはつるんとした花の形だけど、アルフリートさんのは鋭利に角ばっている。
 最初にお風呂に入った時は毛皮の下に隠れて見えなかったけど、人の姿だとその色や形がよく分かった。

「人の魂核をじろじろと見るのはマナー違反だぞ」
「トトさんは?」
「あれは例外だ。まあ恋人同士なら問題ない」
「僕の世界じゃ結魂でもしない限り子供なんかできなかったし、魂核もファッションアイテムでみんな気にせず見せてましたけど」
「私には理解できない価値観だな・・・」
「一応弱点ですからね」
「そうだな。それが分かっていてなぜああも軽率なんだ」
「お説教はやめてくださいって。あの後レイムさんに叱られて魂核は大事な物でみせびらかしちゃいけないって知りましたから」
「・・・聞いてないな」
「あ」

 体力が減っているせいで余計な事までうっかり漏らしてしまった。剥がしてくださいと頼んだ事も、剥がして見せびらかした事もばっちり吐かされた。

 まぁ、レイムなら大丈夫だろうなんて言っていたが何が大丈夫なんだろう?

 ▽

 ソックスが魔術を使ったお祝いに、今日はソックスの好物をみんなで食べる事にした。
 コロナから聞いた話だとソックスは焼き芋、特にポクンテの焼き芋が好物だそうだ。

 ポクンテはラグビーボール型の片手で掴めるサイズの芋で、味と見た目は安納芋とか紅さつまの様なスイーツ系。しっとり甘くて僕も好き。皮ごといける。

 ポクンテも食材集めでゲットしてきたらしく、それを見つけた時のソックスの喜びようはとても微笑ましかったとラクリマは言っていた。

 芋と塩コショウで下味付けしたビーフもそれぞれアルミ箔で包んで様子を見つつオーブン調理。後は作り置きのサラダとパンでいいか。

 作る時はいつも多目に作ってストック。魔道具の収納は時間の進みがとてもゆるやかだから腐ったりしない。

 コロナとソックスの分をそれぞれの皿に盛りつけて提供。

 一口食べて少し動きが止まった後、ソックスは再び食べだした。

「ソックスおいしい?」

 こっちを見て首を一回縦にしっかり振って食べる姿は、本当に好物なんだなと思う。
 コロナは一口が大きい。一個まるごと銜えてかみ砕いて飲み込む動作は堂に入っている。

『つかさ、あまくておいしいね』
「僕もすきー」
『こんどはぼくのすきなものかな』

 僕もまるかじりでいただいてます。焼くとほくほくしっとり、何も付けなくても十分おいしい。

 コロナとアルフリートさんは肉とパンと野菜で腹を膨らましてもらおう。
 アルフリートさんは2生であの能力だからか、燃費が良くないらしくかなりの大食漢。健啖家ぽいからメニューには気を遣わなくていいから助かる。コロナは自分で狩りにいってもらわないと賄いきれない量だろうけど、食べれる時に食べる食いだめ体質らしかった。

 片付けも終わってゆっくりしていたらふと既視感。お隣にアルフリートさんが座っていらっしゃいました・・・。

「今日こそは一緒に寝るだろう? ダメならまた担いで行くぞ」
「いや、本当何で担ぐんですか?」
 食後だしやめてほしい。別にされても問題は無いが気分的な物である。

「逃げなければ担がないんだかな」
「・・・そんな逃げてますか?」
「初日から昨日までで逃げた回数を言ってやろうか? 未遂を含めるとどれくらいだろうな」
「行きましょうか、アルフリートさん!」

 挑発だと分かってはいたがもう潔く腹をくくって、男らしく手をつないで先陣を切った。

 しかし、二階の廊下で自分の部屋に連れて行くべきか、アルフリートさんの部屋に行くべきかでピキンと固まって動けなくなり、結局手を引かれてアルフリートさんの部屋に入った。
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