かみなりのこうりん

小鳥遊ゆり

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出会い編

前編

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ある夜、自分の部屋で積読(つんどく)したままの本を読んでいた時だった。

ヴォォォォン…と、外から謎の獣の声が聞こえた。

「…………?」

窓に視線を移すと、梅雨に入ったのか外はあいにくの大雨だった。
先程まで、うるさいぐらいに稲光と轟音が響いていたのだが、雷自体は止んでいて、今は雨音が夜の世界を支配していた。

一体、さっきの獣の声はなんだったのか。
もしかしたら雷の音を聞き間違えた?
いや……まさか。そこまで耄碌する歳じゃないしな。

気になった俺はカーテンを少しよけて、カラカラと窓を開けて外を見てみたけれど、特に変わった生き物がいる気配など無かった。

「なんの声だったんだろ?」

「ヴォォ」

「へ?」

「ヴォォォォ」

「ふわぁぁぁ!!!?」

またあの生き物の声がしたかと思えば、俺の足元にふさふさの毛がまとわりついてきた。
なんじゃこりゃ!?と、下を見れば、形容し難い生き物が俺の足に戯れていた。

外見は小型犬くらいの大きさの、黄味を帯びた茶毛の四つ脚の獣だ。
イタチでもなく狸でもなく狐でもなく…なんだろう?犬みたいに可愛げのある顔の動物ではあるが、動物に疎い俺には判別がつかない。しかし、声が野太くてちょっと残念な子だった。愛くるしい外見にはその声は低すぎるのだ。

「お、お前一体何処から来たんだ…。ここマンションの5階なんだけど、マジでどうやって入って来たんだよ……?」

「ヴォ?」

人語は通じないか。さすがに。
しかし、マジで何処の子だ。俺動物なんか飼ったことないんだけど、どうすりゃいいの?

途方に暮れる俺に、すりすりと体を擦りつけ愛嬌を振りまいている声が残念な獣は、俺の手に顔を近づけると、カプカプと指を甘噛みしだした。

「ん?なんだ??腹が減ってるのか?」

「ヴォォォ…」

「そうかお腹が空いたのか」

でもこの子は、一体何を食べて生きてるんだ……?

そう思いつつ、そういや冷蔵庫に明日のサラダ用にササミを買っていた事を思い出した。
ササミなら猫とか犬が食べてたし…大丈夫か?と安易な発想で、キッチンにてさっと茹でたササミをほぐし、声が残念な獣に与えてみる。

「ほら、ダンディ。ササミなら食えるか?」

「ヴォォォォ!」

この声が野太い獣に愛称(なまえ)を付けた。
発想は安置に、さっき撫でくりまわしたらオスだと判明したし、可愛い外見の割に低い声で鳴くので、ダンディにしただけだ。
呼びやすいし、カッコ良いから割と気に入っている。

ガツガツと小皿に入れたササミを食べていくダンディは、可愛い顔が台無しなくらい野生の動物の顔をしていた。いくらなんでも顔険しすぎだよ、ダンディ…。



そんなこんなで、成り行き上、俺は謎の獣ダンディと共同生活を送る事となった。




★★★




「ダンディは、今まで見たどんな動物にも似てないなぁ?本当に何処から来たのお前?」

「ヴォォォォ。ヴォ」

「うん。何言ってるか分かんないよ、ダンディ」

「ヴォォォォン」

「でも、可愛い」

「ヴォォォ!」

意思疎通はあまりできてはいないが、会話の相手がいると楽しいものだ。
大学を卒業後、実家から出て5年目。
一人暮らしも慣れてるし気楽で好きだったが、俺は少し寂しかったのだろう。ダンディがうちに来てから、家に帰ることが楽しくなっていた。ほんと、ここがペット可の築40年のボロいマンションで良かったよ。勝手に動物を飼っても誰も文句は言わないしな……。

ダンディはササミも好きだが、根菜類も好きなようで、人参やさつまいもなど甘みがある食べ物も好んだ。近所のコンビニで普通の犬用のごはんを買ってみたけど食べなかったので、今のところ俺が手ずから茹でたササミと野菜を与えている。
びっくりしたのは、俺が晩酌中に呑んでいた秘蔵の日本酒を、つまみを作ってる隙にペロペロと舐めていた事だ。
……酒もいける口らしい。
しかし、身体に害があるとも分からないので、堪能しているところ悪いと思いつつも、すぐに取り上げた。それがいけなかったのか、まだ酒に未練があるようで、日本酒を置いている棚をじぃっと物欲しげに見つめている時があって、少々困っている。

「ダンディ、なんか大きくなったね」

「ヴォォ」

うっとりと俺の膝の上で、大人しく撫でられているダンディは、3日前に出会った頃よりひとまわりほど大きくなり、小型犬くらいの大きさだったのが、中型犬くらいの大きさに変貌していた。

「お前の成長スピード、すさまじいな」

「ヴォォ…」


今となっては、笑いながらそんな事を言っていた俺を殴りたい。



「ただいま」

「ヴォォォォ!」

仕事から帰ってくると、ダンディは尻尾を振りながら俺を迎えてくれる。
それは嬉しい。嬉しいのだが…。

「ダンディ、お前……でかすぎ」

「ヴォ?」

出会いから1週間という短い期間で、ダンディは大型犬くらいの大きさに変貌し、俺の狭い単身者用のマンションの部屋を、その存在感で圧迫していた。なにこの劇的ビフォーアフターは。

「ダンディ、俺なんとなく気づいていたけれど、お前は多分この世の生き物じゃないね」

「ヴォォ?」

まあ、この成長速度を見ていれば明らかだ。
無遠慮にベロベロと顔中をダンディに舐められながら、こいつを連れて一度実家の寺に帰らねば…と決意を固める。

「俺はあんまり詳しくないから助けにはならないかもしれないけど、一度実家に相談してみようか」

こんな事相談できる相手など、坊主の父と兄以外に思いつかなかったのだ。





★★★





そんなこんなで、会社が休みの土曜日に車を1時間程走らせ、後部座席でおとなしくしてくれているダンディを連れて、俺は実家に久しぶりに帰省した。

実家の寺には、父とその後継者である兄が住んでいる。母は三年前に亡くなり、むさ苦しい男所帯な家だ。
そしてうちの寺は、それなりに歴史があり、それなりに檀家も多い、まあまあ地元では有名な寺だったりする。

住職である父は、老眼が進んだのか分厚い眼鏡をかけ、境内の掃除に勤しんでいた。
一応帰ると前もって電話していたけど、良かった今日は暇みたいだ。

「久しぶり、父さん」

車から降り、ダンディを連れて父に挨拶すると、父は俺を見た後、足元のダンディを見て少し顔を顰めた。

「……貴由か。なんだそれは」

「うん。ダンディっていうんだ」

「ヴォォォォン」

「挨拶できて偉いな、ダンディ」

「ヴォォ」

声は低いが、可愛く挨拶ができていたので、いい子だねと頭を撫でると、ダンディはうっとりと目を細めた。

「はぁ…………。色々突っ込みどころしかないが、まあとりあえず入れ」

父は何故か諦めたようにため息をつき、寺の裏にある生活スペースの屋敷に足を向けた。

久方ぶりに実家の敷居を跨ぎ、懐かしい家の匂いを感じながら廊下を歩く。
手入れされている日本家屋というのは、居心地が良いものだ。
客間に通され、座布団の上に正座すると、ダンディも俺の横で腰を下ろした。
ダンディは初めての長旅で疲れたのか、父が用意してくれた小さい盥に入れた水を勢いよく飲み、僕の側にぴったりとくっついてごろりと寝転んだ。可愛い。

そうして腰を落ち着けた頃に、いきなり部屋の襖がスパンと開いた。

「貴由」

「ああ、兄貴か。久しぶりだな」

遠慮もなく、いきなり襖を開けて入ってきたのは、兄貴の貴明(たかあき)だった。
坊主頭すら似合ってしまうイケメンの兄であるが、硬派すぎる性格や愛想のない無表情のせいで女の子に人気があった割には怖がられているという、なんかちょっと損な人だ。

そんな兄と父は、ものすごく……なんというか、この世以外のことに精通していた。
霊感というか、超自然的直感というか……、そういう目に見えない現象を認識できる人だったりする。一方俺はというと、死んだ母さんに似たのか全く零感だったりする。自慢じゃないが何にも視えないぜ。

「おい。お前は、雷獣の嫁になったのか」

そんな兄貴が、まったく予期せぬ事をさらりと告げるものだから、俺は呆気にとられてアホヅラを晒す羽目になった。

「は?」

「お前の横にいるのは、雷獣だろう」

らいじゅう?
雷獣?
雷獣って、なに?

混乱する俺を尻目に、立ち上がったダンディが尻尾を振りながら吠えた。

「ヴォォォ!」

まるで、「そうソレ!!正解!!」みたいな顔して尻尾をぶんぶんしてる。
やっと正しく認識してくれる人間が現れて嬉しいのだろうか……?

「貴由、お前この雷獣の嫁に選ばれたんだろう?」

「ちょ、ちょっと待て!あのね兄貴、ちょっと俺にも分かるように説明してくれ」

兄の言葉に一瞬にして気が遠くなったが、この話を聞かねば後悔するのが本能的に分かった。

だって兄貴が冗談とか嘘とか言うはずないぐらいに堅物なのは、昔から知ってるからな。
……しかし、嫁とか不穏な言葉が出て来ていたけど、嫁って女の子に使うものだろ。
なんで、男の俺が嫁……??
いやいや、とりあえずそれより根本的な事だ。

「って言うか、雷獣ってなに?」

そこからか……。と呟いて、兄貴は少し眉を顰めた。

「雷獣は、雷の精だ。雷とともに落ち人畜を襲うと伝えられているが、それは伝承に過ぎない。本来は梅雨を呼び梅雨の終わりを告げる、雷の精。まあ大体そういうものだ」

「雷の精……。ああ、そういえば、ダンディが俺の部屋に入ってきたのは、もの凄く雷が鳴っていた大雨の日だったよ」

窓の外は嵐のようで、恵みの雨といえど酷い天気だった。でも、稲光で夜空が白くひび割れたように見えて、怖いけど綺麗な夜でもあって、少し見惚れていたのを思い出した。

「あの日からなんか懐かれちゃって、今更外に放り出すのも可哀想かと思って、今は一緒に暮らしてるんだ。ごはんはササミとか野菜をあげてるんだけど、大丈夫かな?」

雷獣の食べるものなんて言われても、俺には分かりっこない。

「なあ、ダンディ。お前が食べたいものってなんなの?」

「ヴォォォォ!ヴォォォォ!!」

そしたら何故か興奮しだしたダンディが、正座してる俺の肩に乗ったかと思えば、俺の耳やら頰をベロベロと大きい舌で舐め始めた。やめろ。息が荒いぞ。

「貴由……お前そいつに、完全に嫁にするって思われてるぞ」

「な!なんでだよ!!」

「ああ……、お前の霊獣の煩悩が今えらいことになっているから」

ダンディを遠い目で見つめながら、兄貴は少し言い辛そうに暴露した。

「煩悩だって!!?」

精霊とかってもっと清らかな感じの生き物じゃないのかよ!?

混乱する俺を見て、兄は躊躇いがちに俺に問うた。

「お前、こいつと暮らしてて、今まで貞操の危機とかを感じなかったのか?……逆に、こんなにあからさまに求愛行動してるのに、お前はなんで気づかないんだ?」

そう零すと、兄貴はちらりと俺をペロペロクンクンしてるダンディを見て、溜息をつく。

貞操の危機?
男に貞操ってあるのか?
危機?

そういえば、振り返ると短い期間の中でも、ダンディはものすごくスキンシップが激しい動物だった。

可愛い小型時代は三日で終わってしまったが、ごはんを食べた後は、ありがとうと伝えようとしてるのか、鼻息を荒くしながらペロペロペロペロずっと人の顔を舐めていたし、夜寝るときは絶対に俺の布団の中に潜り込んで寝るし、知らない間にパジャマの中に入り込んで、胸にはりついてもぞもぞ動いていたりして……。なんてやんちゃな奴だと思ったものだ。
中型~現在はなんだか知らないけど鼻を突っ込んで尻の匂いをクンクン嗅ぐから、やめろと言ってこっちが反対にダンディを撫でくりまわすと、うっとりしつつ構われすぎてグッタリしていた。ざまぁみろ。
初めてお風呂に一緒に入った時は、風呂好きだったのか尻尾を振り回してシャワーを浴びていたし、何故か飛び掛かられてマウントを取ったかと思えば、俺の身体を綺麗に身繕いしようと色んな所をペロペロペロペロされたな……。気を抜いたら股間や尻に顔を埋めようとしてくるし、全く困ったやつだよ。とりあえずダンディは俺から離れようとは絶対しない。そんな忠誠心、主人愛のある可愛い雷獣(ペット)である。

「え……?犬とかは人の顔とか手とか舐めるじゃん。そんな感じじゃないの?」

「こいつが犬じゃないの分かってるだろ」

「あ、父さん」

呆れた顔して父が部屋に入ってきた。
兄貴と目配せして頷きあって、なんか意思疎通してるよ。なんだよ、俺を仲間はずれにするなよ。寂しいだろ。

「おい、貴由。今はこの雷獣が獣のままだから良いが、お前の精気を吸って成長してるなら、いずれ人化して現れるのも時間の問題だろう。その時にお前は絶対に嫁にされるだろうな。こういうものには男とか女とかは関係が無いんだ。こんだけ懐かれていたら……お前が嫁に行くのも仕方ないんだろうな」

苦い顔をしながらなんてこと言うんだ、父よ。
情報量が多すぎて、今俺の頭は混乱してるよ!

「えええええっ!ちょっと待てよ、嫁って俺の意思は!?つか、ダンディは人化するの!!?え!何それ!?」

「うちは結構、人外から好かれやすい家系だから、こういう事は良くあるんだよ。お前は特に小さい時から好かれやすくて、何回俺が矢面に立たされたか……」

父が愚痴混じりに言うには、俺は基本的に父や兄みたいに霊やら妖やら精霊なんてものは全く視えないのだけど、人外にはすごく好かれる性質らしい。
ダンディのような霊獣が視えたのは、偏に俺とダンディの相性がものすごく良いかららしい。
波長が合うのだから、嫁になっても大丈夫じゃないの。とか自分の息子に対して他人事のように言わないでくれよ父さん……。

というか何故俺が“嫁”前提なんだよ。夫かもしれないだろうが!

「あ、あのさ、どうにか……その、嫁?になるのを回避する方法はないの?」

「そんなの当人同士の話し合いで決めろ。雷獣が人化したら話し合えばいい。どうせ今の状態のままくっつかれてたらすぐに人化するだろうしな。……貴由、あれにもし襲われそうになったら気合いで逃げろ。がんばれ」

「ああ、親父の言う通りだ。とりあえず話し合って、無理なら逃げろ」

逃げろと力強く言う兄貴の目は本気だった。
俺の貞操は風前のともし火なのか。……マジか。

「兄貴……。なんで襲われること前提なんだよ。ダンディはこんなに可愛いんだから、襲うなんて卑怯なことするはずないだろ!な、ダンディ!!」

父が知らぬ間に持ってきていた茹でたとうもろこしを、いつもの凶悪な顔で食べていたダンディは、俺に話しかけられて愛らしい黒目がちな瞳をキラキラさせながらこちらを向いて鳴いた。

「ヴォォォォ」

「ほら!ダンディだって話し合えばきっと分かってくれるだろ」

「…………そうかもな」

投げやり感が否めない兄の言葉に少し不安に思えども、俺はそんなに事を深刻には考えてなかった。


この時までは。




後編に続く




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