どんなルートでも必ずざまぁされる悪役令息(?)を幸せなルートに導きたいプレイヤーの俺の話

さひこ

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こんなのクソゲー

君に出会った俺

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「そんなぁ~!ハルディオきゅ~ん!!」

ある大学のサークルに所属している俺は、そんなの声を聞いた。
彼女たちは一様にパソコンを見ながら泣いていた。

「どうしたでありますか?」
ひょういと彼女たちの後ろから画面を見ると、可憐な男子がボロボロの服を着て、道にうずくまっていた。

「きゃっ!」
いきなり後ろから現れた俺に、彼女たちは一斉に声を上げた。
「東護君!いきなり後ろ立たないでよ!びっくりするから!!」
「そうだよ!東護君ただでさえ長身でガタイいいからびっくりするんだって!」

「す…すまないであります!しかし、何事ですかな?」
そう聞きながらも、俺は画面の中の可憐な存在に目が釘付けになっていた。

「そう!聞いてよ!!このゲーム、『虹と薔薇の下で。』って言うんだけどさ、どう頑張ってもハルディオきゅんがひどい目に遭っちゃうのよ!…あ、ハルディオきゅんって言うのはこの画面の中の子のことでね、悪役令息の位置にいるんだけど、なんっにも悪いことしてないのよ!なのに、王子に婚約破棄されたり、騎士に見捨てられて家と断絶させられたり、こんな風に公爵子息だったのに平民に落とされて道端に捨てられちゃったりするのよ!!」

画面の中の揺れる瞳、零れる涙、絶望に沈んだ瞳の奥…。その痛々しくも可憐な姿に(3回思ったが大事なことだ)俺の心臓は痛いほど高鳴った。

「そっ…そのゲームの購入先を教えてほしいであります!!」

「えっ!?」

いきなりの申し出に女子たちが戸惑う。
だが、俺はもうすでにハルディオたんを幸せに導きたいという思いにかられていた。
女子たちは顔を見合わせコクリと頷くと、そのゲームが販売されているサイトの名前を俺に話してくれた。

「…男子目線なら、もしかしたら別ルートが探せるかもしれないわね。…うん、ゲーマーでもある東護君にハルディオきゅんを託した!!」

「あ、ありがとうであります!!」

俺は早速家に帰り、ゲームをDLして開始した。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



『虹と薔薇の下で』は、R18指定のBLゲームで、主人公のアクア(デフォルトネーム)が16歳で貴族も平民もみな平等に通える学園に入り、18歳の時に隠れ持っていた魔法の力を顕現させたことにより、様々な攻略対象者から注目を浴び、その中で一番多くフラグを立てたものと恋に落ちるというごくごく簡単な…ぬるゲーだった。
だが、エロシーンは濃厚で見ごたえがあり、フラグ立ても簡単なところから、ネットの評価は高い。
まあ、一部のハルディオたんの扱いに納得がいっていないユーザーからの評価は低かったが。

発売から1年以上が過ぎ、ネットの評価も安定している。そんな中、新ルート開拓なんてできるわけ無かろうと思うかもしれないが、俺は腐男子かつ生粋のゲームオタクという者でもあった。
色々思いはしたが、要は何事も自分で見分してみないと気が済まない。

―――と、いうわけでコントローラーを手に可愛いハルディオたんの姿を目に収めようと意気揚々とゲームをスタートした。



そして知ったハルディオたんの可愛さたるや!!筆舌しがたし。

彼はとにかく控えめで、の数歩後ろを歩いていた。
今俺が攻略しようとしているのは、国一番の魔法使いであり、攻略難易度も高めの教師であった。
しかし彼はアクアが覚醒してからというもの、ハルディオたんのことに一切関心がない。自分のなのにもかかわらずだ。
そう、ハルディオたんはアクアがフラグを立てた相手の婚約者として現れる。王子だろうが、宰相の息子だろうが、騎士様だろうが、必ずといって恋のスパイス役にされてしまうのだ。

ああ、それにしてもハルディオたんは可愛い。
サラサラの金の髪を短く切り、瞳はエメラルドグリーンに薔薇色の頬、きっと作画ではわからないが唇だってプルンプルンなのだろう。

あ~~~!!!かぶりつきてえ!!!

そう、俺は腐男子であるとともにゲイでもあった。大学ではゲイであることは伏せてはいるし、だれにもバレたことはないが、ハルディオたんのような美少年はまさに俺の好みドストライクであった。
将来はハルディオたんのような線の細い青年を抱いてみたい。そしてゆくゆくはパートナーとしてともに人生を歩んでもらいたいものである。

―――と、話がそれた。

そんな童貞にありがちな理想の塊な夢を見つつも、目はハルディオたんを追う。
いいんだ、今はハルディオたんが嫁だ。

ゲームを始めてまだ2日。
だが、確実に俺はハルディオたんの虜になってしまっていた。
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