どんなルートでも必ずざまぁされる悪役令息(?)を幸せなルートに導きたいプレイヤーの俺の話

さひこ

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学園生活は7年間

公爵家での1日

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「ハルディオ様、朝になりました。起きられますか?」

ハルディオた…様のお世話係となった俺は、3日間の世話係としてのマナーをメイドさんに叩きこまれ、晴れてお世話ができることとなった。
ハルディオ様は朝に弱いらしく、寝顔が見れた。眼福や~!
その姿たるや天使そのものだ。

「ん…起き…る。起こして…。」

なんということでしょう!完全に甘えモード!!可愛いがすぎるであります!
俺はすぐさま、ハルディオ様の手を取り、身体を支えた。

「…え?!」

ハルディオ様が目を見開き、俺を見つめる。
次の瞬間、顔が真っ赤になって「わっ!」と驚きの声を出した。

「ト…トウゴさん?!」
今日から俺が起こしに来ることを知らされていなかったのか、ハルディオ様は俺の腕の中で固まっていた。

俺はにこりと微笑み、緊張をほぐすように努めた。
「はい、トウゴでございます。どうか、呼び捨てでお呼びください。」
すると彼は、真っ赤になり、「ト…トウゴ。」と呼んでくれた。

その時の上目づかいの破壊力たるや!!!

だが、俺は使用人。萌えているばかりでは仕事にならんのだ。
彼が完全に自分で起きれたところで身体から手を放し、あらかじめ用意されていた服を持った。

「ハルディオ様、お着替えをいたしましょう。お任せいただけますか?」

すると、ハルディオ様は赤い顔のままコクリとうなづいた。

ベッドの上に服を置き、彼の着ているパジャマに手をかける。ボタンを一つずつ外してゆくと、真っ白な肌理の細かい肌にピンクの飾りが見えた。

―――可愛いはこんなところまで…!

叫びだしたくなる思いを理性で押しとどめ、俺は任務を遂行した。

シャツを着せ、ズボンをはかせ、靴も履かせる。
その後は、洗面台までともに行き、顔を洗い終えたところでふわふわのタオルを渡した。

「ありがとう。トウゴ。」

ハルディオ様はタオルを受け取り、顔を拭いた。
―――立派な公爵子息の完成だ。


「では、朝食の準備ができておりますので、行きましょう。」
彼の手を取り、ダイニングまでエスコートする。
そして食事の給仕をして、食事をしてもらおうとした時だった。

「ねえ、トウゴは食事をしたの?」
席に着いたときに、ハルディオ様が俺に尋ねた。
まだということを伝えると、
「なら、一緒に食べよう。お父さまやお母さま、兄上たちはもう食事を終えられたから、一人で食べるのは味気ないんだ。」
そう言って、俺を席に着かせようとする。
傍で控えていたメイド長の方を見ると、コクリと頷かれたので、遠慮なく、勧められた隣の席に座った。



ハルディオ様はいろんなことを聞いてこられた。
俺の好きなこと、好きな食べ物、出身地や誕生日などなど。
俺は答えられる範囲で答えた。

「そうか、トウゴは極東の島国出身なんだね。濡羽色の髪に黒曜石の瞳がエキゾチックで、うん、す…素敵だよ。」
ハルディオ様の顔がほのかに染まる。
おれはなんだか照れ臭くなった。

「ありがとうございます。俺はハルディオ様の太陽のような金の髪と海のようなエメラルドグリーンの瞳の方が素晴らしいと思っております。」
にこりと微笑むと、また彼の顔が赤く染まっていた。



食事を終え、自由時間になる。
その時間、俺たちは図書館に来ていた。

「トウゴはどんな本を読むの?僕はね、冒険小説を読むんだ。」
そう言って、俺をコーナーへ案内してくれる。しかも手を握ってだ。
その手の小ささ、柔らかさよ…。俺は感動を憶えつつ、招かれるままついていった。

結論から言おう。
ハルディオ様が勧めてくれた小説はかなり面白かった。
友情や恋愛要素、そして何よりバトルシーンの手に汗握る描写。
俺はパタンと本を閉じ、満足した顔で本を机の上に置いた。

「えっ。もう読み終わったの?」

「はい、とても面白く、一気に読んでしまいました。」

ハルディオ様の顔が驚きに満ちていた。
「すごい…僕、読むのに1日かかったのに。」
そして、尊敬するかのような眼差し。
俺はそんな目を向けられることは稀なので、なんだか面映ゆかった。



昼食をとった後は勉強。
ハルディオ様は新年度に向けての課題、俺は家庭教師を臨時で雇ってもらい、勉強の遅れを取り戻した。
とは言っても、魔法はアクアにしごかれたし、勉強はできる方だった俺は、家庭教師の課題を難なくこなし、無事合格点をもらえたのだった。

そして夜。夕食を食べ終わった俺たちは、風呂に入ることとなった。
そう、風呂だ。

ハルディオ様を生まれたままの姿にするのは、俺の役目だった。
シャツのボタンを開け、ズボンを脱がせる。そこまではいい。
だが、パンツは未知の領域だ。
正直言って、刺激が強すぎる。
俺の息子よ、反応するなと祈りながら、パンツに手をかけ、引きずりおろした。

…鼻血を噴かなかったことを褒めてやってほしい。

ハルディオ様のピンクの果実は、小ぶりで可愛くて思わず舐めてしまいたくなるほど美味しそうだった。
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