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学園生活は7年間
学園生活開始
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俺の朝は早い。
起きたら手早く着替えを済ませ、顔を洗い、部屋に備え付けられた簡易コンロで湯を沸かす。
ハルディオ様お気に入りの茶葉で紅茶を淹れ、彼を起こす。
―――が、ハルディオ様はなかなか目を覚まさない。
公爵邸にいた時よりも、目覚めるまでが長いのだ。
俺としては彼の寝顔をじっくりと見れるとても尊い時間なのだが、今日から新学期。あまり悠長にはしていられない。
「ハルディオ様、今日から新学期ですよ。起きてください。」
「んー…。あと5分…。」
かわいいか。
だが、5分待っていても起きないことはこの1週間で証明されている。
俺は心を鬼にして、ハルディオ様のベッドに乗り上げた。
そして、彼の耳元でささやく。
「起きないと、襲ってしまいますよ?」
「!!」
ガバリと勢いよく布団ごと起き上がるハルディオ様に、苦笑しつつ、任務は遂行された。
「トウゴ、あの、襲うって…。僕まだ心の準備が…。」
ハルディオ様の顔は真っ赤だ。
しまった。また何か変なこと言ったか?
「?布団をはがせていただこうと言っただけですよ?何をお考えなのでしょうか。」
そう言って、ニコリ微笑む。ちなみに頭の中は?マークだ。
ハルディオ様は、口をパクパク開いて、「…意地悪。」と小さく言葉にした。
かわいいか。
着替えを済ませた後は、顔を洗ってもらい、魔法で温め直した紅茶を飲んでもらっている間に、本日のスケジュールを伝える。いや、魔法って便利。
ハルディオ様は、魔法薬学科の3年生なので、大体が薬学と魔法学、後は基礎教科だ。
「トウゴは魔法騎士科にしたんだよね。でも基礎教科は一緒の教室で受けれるから、一緒に受けようね。」
「はい、喜んで。」
そう、俺はアクアの勧めてくれた通りに、魔法騎士科を選択した。
正直言って騎士なんて痛そうだし、しんどそうだし、俺の今までの経験上竹刀すら握ったことがないのだが、ステータス上向いているそうなのだから、それに従っとくかと言う感じだった。
走るのは好きだ。その間何も考えなくて済むから。
俺は元居た世界でも毎朝ランニングをしていた。
最初は、校庭を50周。1周200m。きついはきつかったが、何とか走り切った。しかも中ほどの成績で。
だから、そこまでは良かったんだ。
しかし木刀素振り1000本からが地獄だった。
手が完全にできていないまま素振り続けると、皮が裂け、血が滴る。
それを魔法で治しながら素振り続けるが、結局は繰り返しだ。
それに何より木刀が重い。普通に持つだけで重い。
今、ここに居ないアクアを恨みつつも、腕の筋力は限界を迎えていた。
「お前、馬鹿なのか?それともドMってやつかよ。」
「…は?」
振り返った先には超が付くほどの美形が立っていた。
「ここは魔法学園だぞ。そんなバカ高い魔力もってながら、魔法を使わねえってどういうことだ。」
漆黒の髪、血のようなルビーの瞳。目は切れ長で鼻筋は通っており、唇は薄い。
身長は俺の方がやや高いが、声はあちらの方が低く、BLなら完全に攻めだなと思わせるほどの圧倒的存在感があった。
「おい、聞いてんのか。」
はっ!完全に見とれていた。
いかんいかん。話を聞こう。
「悪い。魔法を使わないってどういうことだ?これは体力をつけるための訓練じゃないのか?」
俺が尋ねると、相手はニヤリと笑った。
「ふーん、お前が噂の編入生か。どおりですっげえ魔力量を持ってるわけだ。」
「?どういうことだ?」
「今、この学園には2人の噂の中心人物がいる。一人はアクア。魔法薬学科のやつで、もともと魔力が高かったが、先日爆発的に魔力量が増えた。賢者も尻尾巻いて逃げるほどにな。」
ふんふん。そう一応うなずいておく。知ってたからな。
すると、ニィっと赤目の男は俺に笑った。
「そしてもう一人がお前だよ。トウゴ・ユーキ。学力、魔力量ともにトップクラスで編入してきた話題の人物さん。出生地は東国としか分らない謎の男。俺はお前に興味があった。」
トンっと俺の心臓部分を指ではじかれる。俺がびっくりしていると、「はい、死んだ。」と相手はのたまった。
「油断もしやすい。どうやら、スパイとかでもなさそうだな。」
ひとり納得される。こいつは何がしたいんだ。
「なあ、トウゴ。俺と組もうぜ。お前を強くしてやるよ。その代わり、お前も俺に付き合え。」
「本当か?!」
俺はその言葉に飛びついた。
相手はのけぞりながら、答える。
「その代わり俺に付き合えと言っただろう?ちゃんとそれは分かってんだろうな。」
「ああ!それはもちろ…あ…あ~…駄目だ。俺にはハルディオ様をお世話するという大事な使命がある。」
強くなれると聞いて、俺のゲーマー魂が揺さぶられたが、ハルディオ様には代えられない。
断ろうとすると、相手は意外にも食い下がった。
「分かった。ハルディオ公子は優先させていい。それ以外の時間ならどうだ?」
「ああ、だったらこちらからもお願いする。君を手伝うから、俺を強くしてくれないか?」
伝えると、相手はびっくりしていた。
「いいのか?こんな素性も知れない男だぜ。何させられるかって思わねえのかよ。」
だから俺も言葉を返す。
「そんなことをわざわざ聞いてくれる人間に、悪い人はいないと俺は思っている。改めて、よろしく頼む。」
手を差し出すと、彼はきまり悪そうに握り返してくれた。
「トウゴ・ユーキだ。噂の通り、東国の島国から来た。よろしく。」
「俺はスティード・エルジュ。…まあ、よろしく。」
起きたら手早く着替えを済ませ、顔を洗い、部屋に備え付けられた簡易コンロで湯を沸かす。
ハルディオ様お気に入りの茶葉で紅茶を淹れ、彼を起こす。
―――が、ハルディオ様はなかなか目を覚まさない。
公爵邸にいた時よりも、目覚めるまでが長いのだ。
俺としては彼の寝顔をじっくりと見れるとても尊い時間なのだが、今日から新学期。あまり悠長にはしていられない。
「ハルディオ様、今日から新学期ですよ。起きてください。」
「んー…。あと5分…。」
かわいいか。
だが、5分待っていても起きないことはこの1週間で証明されている。
俺は心を鬼にして、ハルディオ様のベッドに乗り上げた。
そして、彼の耳元でささやく。
「起きないと、襲ってしまいますよ?」
「!!」
ガバリと勢いよく布団ごと起き上がるハルディオ様に、苦笑しつつ、任務は遂行された。
「トウゴ、あの、襲うって…。僕まだ心の準備が…。」
ハルディオ様の顔は真っ赤だ。
しまった。また何か変なこと言ったか?
「?布団をはがせていただこうと言っただけですよ?何をお考えなのでしょうか。」
そう言って、ニコリ微笑む。ちなみに頭の中は?マークだ。
ハルディオ様は、口をパクパク開いて、「…意地悪。」と小さく言葉にした。
かわいいか。
着替えを済ませた後は、顔を洗ってもらい、魔法で温め直した紅茶を飲んでもらっている間に、本日のスケジュールを伝える。いや、魔法って便利。
ハルディオ様は、魔法薬学科の3年生なので、大体が薬学と魔法学、後は基礎教科だ。
「トウゴは魔法騎士科にしたんだよね。でも基礎教科は一緒の教室で受けれるから、一緒に受けようね。」
「はい、喜んで。」
そう、俺はアクアの勧めてくれた通りに、魔法騎士科を選択した。
正直言って騎士なんて痛そうだし、しんどそうだし、俺の今までの経験上竹刀すら握ったことがないのだが、ステータス上向いているそうなのだから、それに従っとくかと言う感じだった。
走るのは好きだ。その間何も考えなくて済むから。
俺は元居た世界でも毎朝ランニングをしていた。
最初は、校庭を50周。1周200m。きついはきつかったが、何とか走り切った。しかも中ほどの成績で。
だから、そこまでは良かったんだ。
しかし木刀素振り1000本からが地獄だった。
手が完全にできていないまま素振り続けると、皮が裂け、血が滴る。
それを魔法で治しながら素振り続けるが、結局は繰り返しだ。
それに何より木刀が重い。普通に持つだけで重い。
今、ここに居ないアクアを恨みつつも、腕の筋力は限界を迎えていた。
「お前、馬鹿なのか?それともドMってやつかよ。」
「…は?」
振り返った先には超が付くほどの美形が立っていた。
「ここは魔法学園だぞ。そんなバカ高い魔力もってながら、魔法を使わねえってどういうことだ。」
漆黒の髪、血のようなルビーの瞳。目は切れ長で鼻筋は通っており、唇は薄い。
身長は俺の方がやや高いが、声はあちらの方が低く、BLなら完全に攻めだなと思わせるほどの圧倒的存在感があった。
「おい、聞いてんのか。」
はっ!完全に見とれていた。
いかんいかん。話を聞こう。
「悪い。魔法を使わないってどういうことだ?これは体力をつけるための訓練じゃないのか?」
俺が尋ねると、相手はニヤリと笑った。
「ふーん、お前が噂の編入生か。どおりですっげえ魔力量を持ってるわけだ。」
「?どういうことだ?」
「今、この学園には2人の噂の中心人物がいる。一人はアクア。魔法薬学科のやつで、もともと魔力が高かったが、先日爆発的に魔力量が増えた。賢者も尻尾巻いて逃げるほどにな。」
ふんふん。そう一応うなずいておく。知ってたからな。
すると、ニィっと赤目の男は俺に笑った。
「そしてもう一人がお前だよ。トウゴ・ユーキ。学力、魔力量ともにトップクラスで編入してきた話題の人物さん。出生地は東国としか分らない謎の男。俺はお前に興味があった。」
トンっと俺の心臓部分を指ではじかれる。俺がびっくりしていると、「はい、死んだ。」と相手はのたまった。
「油断もしやすい。どうやら、スパイとかでもなさそうだな。」
ひとり納得される。こいつは何がしたいんだ。
「なあ、トウゴ。俺と組もうぜ。お前を強くしてやるよ。その代わり、お前も俺に付き合え。」
「本当か?!」
俺はその言葉に飛びついた。
相手はのけぞりながら、答える。
「その代わり俺に付き合えと言っただろう?ちゃんとそれは分かってんだろうな。」
「ああ!それはもちろ…あ…あ~…駄目だ。俺にはハルディオ様をお世話するという大事な使命がある。」
強くなれると聞いて、俺のゲーマー魂が揺さぶられたが、ハルディオ様には代えられない。
断ろうとすると、相手は意外にも食い下がった。
「分かった。ハルディオ公子は優先させていい。それ以外の時間ならどうだ?」
「ああ、だったらこちらからもお願いする。君を手伝うから、俺を強くしてくれないか?」
伝えると、相手はびっくりしていた。
「いいのか?こんな素性も知れない男だぜ。何させられるかって思わねえのかよ。」
だから俺も言葉を返す。
「そんなことをわざわざ聞いてくれる人間に、悪い人はいないと俺は思っている。改めて、よろしく頼む。」
手を差し出すと、彼はきまり悪そうに握り返してくれた。
「トウゴ・ユーキだ。噂の通り、東国の島国から来た。よろしく。」
「俺はスティード・エルジュ。…まあ、よろしく。」
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