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おじさん、異世界に転生する
大爆発はロマンの輝き
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爆走する地竜は、丘を下りきると真っすぐ平原へ突入した。
柔らかな緑――だったものが、一瞬で土埃と油煙に塗り替わる。
鼻に刺さるのは地竜の尻から垂れ流される石油の匂い。
風向きが悪い。
「うおおおい! 誰か止めろォォォ!!」
丘の下で耕していた農夫が金切り声を上げた。
「お、オラの畑がーーーーーッ!!!」
土埃を爆ぜさせ、地竜が突進。
土塊と作物が宙を舞い、畝が潰れ、瑞々しいキャベツもニンジンもぺしゃんこに。
黒い油の飛沫が、緑の畑に汚い弧を描いた。
「キャベツ返せええええッ!」
しかし地竜に耳は無い。
いびつな音を響かせながら機械仕掛けの巨体は足回りがガタつきながら駆け抜けてゆく。
左右に激しく軌道がブレ、その先には放牧されている牛の群れ。
「ヤバいぞ! 群れが巻き込まれる!」
「リンネ、先回りして散らして!!」
「……了解!」
リンネが草を蹴って疾走する。
口笛一閃、両腕を大きく広げて「どけーッ!」と追い散らす。
群れは左右に割れ、土を蹴立てて逃げさった。地竜はその背中すれすれを原油を撒き散らしながら突っ切ってゆく。
「すげ……本当に牛って逃げるんだ……」
「ぼやぼやしてる場合か、足動かせ足!」
感心するタクを尻目にファルコが走りながら怒鳴る。足元は油混じりの泥でズルズルだ。靴裏が吸い付く。
「攻撃! 攻撃よ! まず脚の可動部!」
ハンナおばちゃんがモップを構え、隣で叫ぶ。
「タク、打ち下ろしじゃない、関節に挟むの! 衝撃は点じゃなくて面で伝えな!」
「うおおおおおッ!」
タクが勇気を絞って剣を打たず、鞘ごと噛ませるように後脚の継手へガンガン押し込み、ハンナはモップの柄でテコの原理を作って軸をきしませる。
ギギギギギッ!!
金属が歪む嫌な音が響くも二人の得物を弾き飛ばし、足は止まらない。
「効いてない!? マジで効いてない!!」
「当たり前だ! 一回で壊れてくれる訳は無い! 重機相手に素振りで勝てたらこんなもん存在しないだろ!!」
ただ、ロマンを求めて造られたなどと知る由もないファルコが叫ぶ。
前世(?)で見たことがあるのは、大体兵器だった。
といってもフィクションの中でだが。
リンネも横合いから短剣を閃かせるが、表面の装甲をかすめるばかり。そこへ――
「ガンバレ文化!」
「バール文化!」
「文化の力!!」
文化的ゴブリンたち、マカ、ペロ、ジョジョが、ホビットの家から合法的に借りてきた工具で後ろ脚や腹部をドカドカ叩く。
鈍い音や空洞のような音が混じりながら聞こえる。
「燃料があまり無い? このまま止まるか!?」
がらんどうを叩くような音に淡い期待を抱くが、止まるとしていつなのか。
ファルコは地竜の行く先に視線を向ける。
いかにも冒険者です、と言った出で立ちの男女数人が大きな口を開けて固まっている。
そのさら前方に国境警備隊の関所が見えてきた。
塔の上で魔導弩がこちらを向き、兵が慌ただしく走り回る。
「ヤバい!! どう見てもうちの国じゃない関所だ!!」
遠目だが、街中で見かける兵士の服装や色合いと違う連中が、こちらを見て何か叫んでいた。
「ガーヴェリア帝国領よ! このままだと国境を突破して外交問題になるわよ!」
ハンナおばちゃんが息を切らしながら叫ぶ。
「何とかする! てかしないとヤバい!! でも攻撃が通らないっ!」
タクが地竜の後ろ脚に体当たりを繰り返しながら叫んだ。
「師匠! 間に合わない!!」
豆粒サイズだった国境兵がこぶし大サイズにまで大きくなり、リンネが叫んだ。
仮に何らかの形で急制動が効いてもなだらかな坂を駆け降りるダンプカーまがいの代物が即座に止まるとは思わない。
ファルコは3秒で決断し、振り返らずに叫んだ。
「ジョジョ! 火を吹け!!」
「了解文化ーーッ!!」
ゴブリンは息を肺いっぱい吸い込み――
ボウッ!!
小さな火球が尻の油霧に触れた瞬間、
オレンジの稲妻が地竜を包み、全関節から火柱が噴き上がる。
関所の兵が一斉に身構える。
「みんな伏せろぉぉぉぉ!! 口を開けて鼓膜を守れ!!!」
爆発するぞぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!!
誰の絶叫か判らぬまま、衝撃波が草原を薙ぎ払った。
ズズズッ――ドォォォォォォォォォォォォンッッ!!!
白光が昼の太陽を上書きし、大地が裏返る。
熱と油の雨。耳鳴り。
煙の幕が裂け、黒焦げの残骸がようやく静止していた。
石油だけでなく、内部火薬が誘爆したのだ――
ファルコはそう理解しつつ、逆さに回る景色を見届け、意識を手放した。
柔らかな緑――だったものが、一瞬で土埃と油煙に塗り替わる。
鼻に刺さるのは地竜の尻から垂れ流される石油の匂い。
風向きが悪い。
「うおおおい! 誰か止めろォォォ!!」
丘の下で耕していた農夫が金切り声を上げた。
「お、オラの畑がーーーーーッ!!!」
土埃を爆ぜさせ、地竜が突進。
土塊と作物が宙を舞い、畝が潰れ、瑞々しいキャベツもニンジンもぺしゃんこに。
黒い油の飛沫が、緑の畑に汚い弧を描いた。
「キャベツ返せええええッ!」
しかし地竜に耳は無い。
いびつな音を響かせながら機械仕掛けの巨体は足回りがガタつきながら駆け抜けてゆく。
左右に激しく軌道がブレ、その先には放牧されている牛の群れ。
「ヤバいぞ! 群れが巻き込まれる!」
「リンネ、先回りして散らして!!」
「……了解!」
リンネが草を蹴って疾走する。
口笛一閃、両腕を大きく広げて「どけーッ!」と追い散らす。
群れは左右に割れ、土を蹴立てて逃げさった。地竜はその背中すれすれを原油を撒き散らしながら突っ切ってゆく。
「すげ……本当に牛って逃げるんだ……」
「ぼやぼやしてる場合か、足動かせ足!」
感心するタクを尻目にファルコが走りながら怒鳴る。足元は油混じりの泥でズルズルだ。靴裏が吸い付く。
「攻撃! 攻撃よ! まず脚の可動部!」
ハンナおばちゃんがモップを構え、隣で叫ぶ。
「タク、打ち下ろしじゃない、関節に挟むの! 衝撃は点じゃなくて面で伝えな!」
「うおおおおおッ!」
タクが勇気を絞って剣を打たず、鞘ごと噛ませるように後脚の継手へガンガン押し込み、ハンナはモップの柄でテコの原理を作って軸をきしませる。
ギギギギギッ!!
金属が歪む嫌な音が響くも二人の得物を弾き飛ばし、足は止まらない。
「効いてない!? マジで効いてない!!」
「当たり前だ! 一回で壊れてくれる訳は無い! 重機相手に素振りで勝てたらこんなもん存在しないだろ!!」
ただ、ロマンを求めて造られたなどと知る由もないファルコが叫ぶ。
前世(?)で見たことがあるのは、大体兵器だった。
といってもフィクションの中でだが。
リンネも横合いから短剣を閃かせるが、表面の装甲をかすめるばかり。そこへ――
「ガンバレ文化!」
「バール文化!」
「文化の力!!」
文化的ゴブリンたち、マカ、ペロ、ジョジョが、ホビットの家から合法的に借りてきた工具で後ろ脚や腹部をドカドカ叩く。
鈍い音や空洞のような音が混じりながら聞こえる。
「燃料があまり無い? このまま止まるか!?」
がらんどうを叩くような音に淡い期待を抱くが、止まるとしていつなのか。
ファルコは地竜の行く先に視線を向ける。
いかにも冒険者です、と言った出で立ちの男女数人が大きな口を開けて固まっている。
そのさら前方に国境警備隊の関所が見えてきた。
塔の上で魔導弩がこちらを向き、兵が慌ただしく走り回る。
「ヤバい!! どう見てもうちの国じゃない関所だ!!」
遠目だが、街中で見かける兵士の服装や色合いと違う連中が、こちらを見て何か叫んでいた。
「ガーヴェリア帝国領よ! このままだと国境を突破して外交問題になるわよ!」
ハンナおばちゃんが息を切らしながら叫ぶ。
「何とかする! てかしないとヤバい!! でも攻撃が通らないっ!」
タクが地竜の後ろ脚に体当たりを繰り返しながら叫んだ。
「師匠! 間に合わない!!」
豆粒サイズだった国境兵がこぶし大サイズにまで大きくなり、リンネが叫んだ。
仮に何らかの形で急制動が効いてもなだらかな坂を駆け降りるダンプカーまがいの代物が即座に止まるとは思わない。
ファルコは3秒で決断し、振り返らずに叫んだ。
「ジョジョ! 火を吹け!!」
「了解文化ーーッ!!」
ゴブリンは息を肺いっぱい吸い込み――
ボウッ!!
小さな火球が尻の油霧に触れた瞬間、
オレンジの稲妻が地竜を包み、全関節から火柱が噴き上がる。
関所の兵が一斉に身構える。
「みんな伏せろぉぉぉぉ!! 口を開けて鼓膜を守れ!!!」
爆発するぞぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!!
誰の絶叫か判らぬまま、衝撃波が草原を薙ぎ払った。
ズズズッ――ドォォォォォォォォォォォォンッッ!!!
白光が昼の太陽を上書きし、大地が裏返る。
熱と油の雨。耳鳴り。
煙の幕が裂け、黒焦げの残骸がようやく静止していた。
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