俺、人型兵器転生。なぜかゴブリンとかエルフがいる未来の崩壊世界を近代兵器で無双する。

ねくろん@アルファ

文字の大きさ
47 / 165

もっとやべー奴らが来てる

しおりを挟む
 偵察機を駆って神聖オーマ帝国の首都方向を目指す俺。
 しかし、眼下に映る光景の雰囲気が、なんか違う。

 目にする村がことごとく焼かれて黒コゲとなっていて、人っ子一人いない。
 んんん?3軍目が動いたのか?と思ったが、ここはポトポトへの進軍ルートから微妙に外れている。

 というか、こちら側の方が火が消えて、首都側の方がまだ燃えている。

 つまり、こっちからオーマ側へ向かって、燃やされているということだ。
 
 俺は嫌な予感がして、無人機のエンジン出力を上げ、まだ焼けて黒煙を上げている村を追う。ステップイーグル君頑張って!

 首都にまで到達した俺は、「マジかよ」と、言葉を失った。

 数日前までは麦畑だった場所は、黒土があらわとなり、馬の蹄のようにU字型に土が盛られている。そしてその中に収められている、黒く長い筒。

 ――あれ、完全に大砲じゃねえか?!

 そういえば、歩兵が使う鉄砲より、大砲の方が先にできたんだっけか?
 デカい方が作るのは楽か。そこは準拠するんだな……。

 大砲を構えている軍隊の様子は、神聖オーマ帝国のものと全く様子が違う。

 なんというか、全体的に貧乏くさい。
 兵が身に着けているのは、革か布製の服と帽子といった具合だ。
 鎖鎧を着ているものや、バケツ頭のヘルメットをかぶった者はいない。
 
 一部の指揮官っぽい連中だけ、黒い板を連ねたコートみたいな鎧を着ている。
 なんかびみょーにお侍さんっぽい感じはあるが、見た目的にちょっとショボイ。

 だがこいつらの装備、特に兵のモノは見覚えがある。
 ポトポトを最初に攻めた連中、そいつらが先に渡河させた異民族の傭兵だ。

 牛の角を旗印にしているようだな。どういう国か、後でケムラーに聞いてみるか。

 こいつらはきっと、軍事行動を起こすタイミングを、前から見計らっていたのだろうな。
 俺と神聖オーマ帝国の戦いに、イェーィ!と横やりを入れに来たにしては、あまりにも手際が良すぎる。

 神聖オーマ帝国と謎の軍、にらみ合いの状態だが、先に動いたのは神聖オーマだ。しかしその動きは俺が予想ししたものと、大分異なっていた。

★★★

 我こそはムンゴル帝国皇帝、チンガス・ハンである。
 東方の100以上の諸部族を統率した、王の中の王と自負しておる。

 神聖オーマ帝国は肥沃な平地を持ち、馬と羊を放つのに最適の場所だ。
 帝国の膨張に伴い、部族が家族を養うには、より多くの土地が必要だ。
 この地を得るのは、天が我に与えた使命ともいえる。

 むう、城門が開いたな。降伏の軍使か、あるいは決死の斬り込み隊か?
 どれ、見てみるとしよう。

 さて、チンガスが見る先には、1000人ほどの修道士たちが居た。
 そのどれもが、小さな刃物すら帯びておらず、青い鉢巻をして、その手に小さな冊子を持つばかりであった。

 彼らは声楽隊のようであった。その声は美しく、聞き入るに値するものであった。
 そして、その光景を見て、チンガスはこう思った。

 歌声で同情をひこうとでもいう気か?下らぬな。
 とはいえ坊主を殺めるというのも、余りにも非道を為すと、正道が揺らぐ。
 さて、どうしたものか?

 だが、次の瞬間、チンガスの残り少ない人間性は完全にその姿を隠した。

「「〇〇〇ー〇のチン〇気持ちよすぎだろ!!!」」
「「気持ちよすぎだ~ろ~!」」
「「チン〇気持ちよすぎだろ!」」

♥ チ♥ 〇 ♥ 〇 ♥
 ♥〇♥ ン ♥ 〇 ♥ 
  ♥ 〇 ♥〇♥ ポ ♥ 

 体が勝手に動いた。チンガスの指図の元、騎馬が放たれ、恍惚とした顔で歌っていた修道士達は馬たちの蹄に踏みしだかれ、その命を散らした。

「くっだらねえ!なんだよこれ!バカバカしい!」

 つい青年の時の様な喋り方になってしまった。いかんいかん。
 取り乱した我を諫めるものが現れた。オーマの国境で捕虜とした、猫人の文官だ。

「閣下、あれはあまりにもむごうございます」

「しかしな、ネコマよ、余は彼らに対する、慈悲の思いが湧かなかった」

「それならばもはや何も言いますまい。攻撃の沙汰を?」

「うむ。」

★★★

 眼下で行われた一連の虐殺を、俺はずっと眺めていた。
 何を歌っていたかはわからんが、この連中、オーマより危険な連中だな。
 人の心が無いレベルが、オーマより一段上だ。

 ボンボンボンと大砲が撃たれ、肉眼でも見えるレベルの遅さで弾が飛んでいく。
 大砲の弾丸は俺が想像するような鉄の弾ではなく、棒状の矢みたいなものに、燃え上がる筒がつけられた、放火用のものだ。

 なるほど、木造建築が圧倒的多数の時代なら、鉄の弾を飛ばすより、はるかに合理的な選択だ。そこに人の心はないが。

 城壁に当たった大火矢は破裂して辺りに炎をまき散らす。
 不幸にも壁の上で炸裂したものは、城壁の上の10数人の兵士を爆発と炎で巻き込んで、守備兵をパニックにおとしいれる。

 武器の威力としてはそこまでたいしたことはないが、虐殺と言い、この炎といい、恐怖を武器としてうまく活用している。

 不味いな。このままだと、神聖オーマ帝国が消える。
 オーマが消えるのは別に良い。
 しかし、俺の求めている電子基盤と、その情報が共に消えてなくなるのは不味い。
 ……ここは、機人の参戦と行こう。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

処理中です...