俺、人型兵器転生。なぜかゴブリンとかエルフがいる未来の崩壊世界を近代兵器で無双する。

ねくろん@アルファ

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ノックしてもしも~し?

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 俺はその機械の体で、神聖オーマ帝国の首都、それを囲む城壁の前に立つ。
 城壁はところどころが黒く焼け焦げ、激しい攻撃を受けたことがうかがえる。

 そうだ、UIを操作して音声を上げるか。今は……50%だから100まで上げちゃおう。ちょっとうるさいくらいがいいだろう。

「神聖オーマ帝国に告げる!ムンゴルの運命を見たであろう!エルフに対する不当な扱いを続ければ、城壁内部の民も含め、あのようになるぞ!」

 まずは脅しから行こう。オーマ側から、何かアクションはあるかな?

「我は神聖オーマ帝国皇帝、デイツ王である!」

 おっ?いきなり大ボスが出てきた。話が速いや。ならこちらから、条件を突きつけるだけ突き付けてしまおう。

「汝らが信奉するカリスト教徒、貴様らがラメリカとの交易に用いているもの、それは我らが父祖が残した聖遺物である。即刻中断し、遺物を全て、こちらに引き渡すよう要求する!」

 ヨワネ騎士団、ケムラーから情報を引き出しておいてよかった。
 ラメリカとか言う国と、オーマは電子基板を取引している。なので在庫をある程度は持ち合わせているはずだ。それをいただきに来た。

 うーん、要求の突きつけはこんな感じでいいか?
 おや、デイツ王がうろたえている?
 ひょっとしてカリスト教徒に対する権力は、デイツ王ですら持ち合わせてないのか?

 あ!とここで俺はミリアの事を思い出した。

 王権神授説だ。つまり、王様が王様になるのは、神様か、その代弁者である聖職者に、こいつは神様に認められた、すげえ奴ですよ。と言われなくてはいけない。

 じゃないと、この世界の人たちは納得しない。おおっとこれは厄介だ。聖職者連中を納得させないと、遺物を吐き出させることはできないってことだ。

 デイツ王は民を動かす権力は持っていても、その権力の後ろ盾になっている、カリスト教には頭が上がらない。うーん……。

「機人よ!すまぬが、わしにその権限はない!」

 こいつらに代わりに交渉などされても、いつ終わるかわからんし、聖職者は頭ぱっぱらぱーでまともにこの状況を認識してないかもしれんな。

 となると、もうここは直談判しかない。
 ま、最悪聖職者連中は、半分かその半分くらい、残せばええやろ。

「ならば我が直に談判しよう。門を開けよ!」

 ノックしてもしもーし、だ。
 俺は、鉄の落とし戸が降ろされている門の前にてくてく歩いて行って、あけてーあけてよーと言わんばかりにガンガンと叩く。
 うわっっぺっぺ。上から砂埃が落ちてきた。

 上を見ると、四角い穴が開いていて、目を丸くした兵士と目が合った。
 あ、どーも。

 これは殺し間ってやつだな。門に取りついたやつに石とか落とす穴だ。
 お、なんか巻き上げ機みたいなのが見える。あれで門開くんじゃないの?

 指でそれをくいっくいっとして見せる。開けろ、というジェスチャーのつもりだった。兵士は慌てて巻き上げ機を回すと、門がずりずりと上がっていく。
 素直で何よりだね。デイツ王はともかく、兵には俺に対する恐怖が染みついてる。

 これが要因となって、交渉がさっさと進めばいいなとおもっていた。
 しかしそれは流石に楽観的に過ぎたようだ。

 門をくぐり、街の中に入ると、俺はさっそく無数の兵たちに取り囲まれた。
 まあそうなりますよね?
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