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ワンミニッツ
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「ワンミニッツ!!!!」
「ワンミニッツ!!!!」「ワンミニッツ!!!!」
「ワンミニッツ!!!!」「ワンミニッツ!!!!」「ワンミニッツ!!!!」
ビッグバード君の中で、カラフルなケーブルを持ち待機する、40名以上のエルフ達。
彼らは前からはじまって、後ろのエルフへ指一本を立てて「ワンミニッツ」、つまり「1分前」と声とジェスチャーで伝えていく。
何が1分前なのか?
それは彼らの装備が示している。
カラフルなケーブルの先に繋がっているもの。それは「パラシュート」だ。
俺はとくに根拠もなく、エルフが特殊部隊員として作られた存在なら、パラシュート使った空挺降下くらいできんじゃないの?
そうおもって、ケムラーの作った監視台をジャンプ台にしてこの数日、エルフ達を訓練してみたのだ。
したら、なんか普通にできた。
いやほんとにエルフは、スーパーなミュータントの可能性が濃厚になってきた。
鳥が飛べたり、魚が泳げるように、エルフは現代戦に適応できるのだ。
何それ?って言われても、そういうものとしか説明できない。
もう俺は考えるのをやめた。考えたところで、答えは出そうにないしな!
「降下30秒前!!!ステンバーイ!!!」
そうそう、意外なことに、この空挺降下作戦、実際の指示をしているのは、俺じゃなくてミリアさんだ。こういうの、ジャンプマスターっていうんだっけ?
普段のローキックする姿からは想像できないくらい、ミリアさんが今回に限ってはちゃんと仕事している。
ビビるわこんなん。
「「「WOOOOOOOOW!!!!」」」
<ガンダンダンダン!ガンガン!!>
ミリアが両手を振って、降下30秒前を全員に伝える。
すると、エルフ達は戦闘前の高揚を示すように歓声を上げる。
そしてガシャガシャとケーブルを揺らしながら、履いているそのブーツで、ビッグバードの金属製の床を踏み鳴らした。
いつからエルフの未亡人たちはこんなアメリカンな感じになってしまったのだろう。たぶん、というか間違いなく俺が持ち込んだ物のせいなんだが。
もうちょっとこう、あるだろう!
いや、ギリースーツを着込んだエルフのスナイパーに森がどう、自然がどうとか語られても困るか。
そんなエルフが森を語っても、自然を守るうんぬんじゃなくて、どう自然と同化して相手を殺すかの話にしか聞こえないわ。
『降下地点に到着!!グリーンライトを点灯する!!』
よし、目的の降下地点に到着したようだ。
ビッグバード君の開かれたドアの脇にあるランプ。
それが赤色から緑色になり、降下可能なことを示す。
「「GOGOGOGOGO!!!」」
次々とエルフ達は輸送機のドアへ向かって飛び降りていった。
機械の心を持つ俺でも、クッソコワイと感じる400メートル上空。
エルフ達は、何のためらいもなく、輸送機から空中へとジャンプしていった。
今のところ目立った反撃は無いな。
イギニスの陣地は前もって、無人機で叩いた。
恐らくこんなよくわからんものに対応している余裕はないんだろう。
そもそも、連中は、パラシュートが何かも知らない。
降りてきているのが人だという事すら、わかっているか怪しいな。
全てのエルフ達が降りきった後、最後に降下を指揮していたミリアが降下する。
「では機人様!行って来るでがんす!!」
「気をつけてな!」
相変わらず何語かわからんミリアが降下していくのを見送った後、俺も降下の準備をする。ウィーンとモーターの音がして開く、ビッグバードの後部デッキ。
うおおおおおおお!!!!ちょうこええええええ!!!!!!
めっちゃ高い。飛行ユニットと俺自身の飛行能力で、なんともないというのは解っているが、それでも怖いものは怖い。
ええい、ままよ!
俺は輸送機から意を決して飛び降りる。
カーゴからデッキ迄の、10メートルの短い距離を走って、そのまま飛び降りる。
俺にパラシュートは不要だ。背中に飛行ユニットがあるからな。
降下、というよりは滑空して、ある目標を目指す。
この空挺降下の目標はシンプルだ。イギニスの政治的中枢、王宮の制圧だ。
長期的にグダグダと戦争が続けば、ポトポトとイギニスの被害はとんでもないことになる。
しかし幸いにしてイギニスは、ちゃんと中央集権的な政治の概念がある。
イギニスはオーマみたいに、デイツ王と教会が争っていて、デイツ王が中途半端な意思決定しかできない国とは違う。
オーマの場合はデイツ王がもう戦争止めようと思っても、教会がイヤっていえば、死ぬまで戦って終わらない。
イギニスの場合は違う。全ての軍事力をしばき倒さなくてよい。
中央集権なので、「王」という頭を挿げ替えさえすれば、戦いが終わる。
いや実に楽で助かる。
千葉浦安の某テーマパークにありそうなお城めざして、俺は飛行ユニットのバーニアを噴かした。
きっとあそこには、俺のような存在がいるかもしれない。
水爆なんかの旧い世界の事物を知る存在。
そいつが恐らく女王を操って、イギニスを動かしている。
俺はこれまでにない、激しい戦いの予感を感じながら、真っ直ぐ王宮へと向かった。
「ワンミニッツ!!!!」「ワンミニッツ!!!!」
「ワンミニッツ!!!!」「ワンミニッツ!!!!」「ワンミニッツ!!!!」
ビッグバード君の中で、カラフルなケーブルを持ち待機する、40名以上のエルフ達。
彼らは前からはじまって、後ろのエルフへ指一本を立てて「ワンミニッツ」、つまり「1分前」と声とジェスチャーで伝えていく。
何が1分前なのか?
それは彼らの装備が示している。
カラフルなケーブルの先に繋がっているもの。それは「パラシュート」だ。
俺はとくに根拠もなく、エルフが特殊部隊員として作られた存在なら、パラシュート使った空挺降下くらいできんじゃないの?
そうおもって、ケムラーの作った監視台をジャンプ台にしてこの数日、エルフ達を訓練してみたのだ。
したら、なんか普通にできた。
いやほんとにエルフは、スーパーなミュータントの可能性が濃厚になってきた。
鳥が飛べたり、魚が泳げるように、エルフは現代戦に適応できるのだ。
何それ?って言われても、そういうものとしか説明できない。
もう俺は考えるのをやめた。考えたところで、答えは出そうにないしな!
「降下30秒前!!!ステンバーイ!!!」
そうそう、意外なことに、この空挺降下作戦、実際の指示をしているのは、俺じゃなくてミリアさんだ。こういうの、ジャンプマスターっていうんだっけ?
普段のローキックする姿からは想像できないくらい、ミリアさんが今回に限ってはちゃんと仕事している。
ビビるわこんなん。
「「「WOOOOOOOOW!!!!」」」
<ガンダンダンダン!ガンガン!!>
ミリアが両手を振って、降下30秒前を全員に伝える。
すると、エルフ達は戦闘前の高揚を示すように歓声を上げる。
そしてガシャガシャとケーブルを揺らしながら、履いているそのブーツで、ビッグバードの金属製の床を踏み鳴らした。
いつからエルフの未亡人たちはこんなアメリカンな感じになってしまったのだろう。たぶん、というか間違いなく俺が持ち込んだ物のせいなんだが。
もうちょっとこう、あるだろう!
いや、ギリースーツを着込んだエルフのスナイパーに森がどう、自然がどうとか語られても困るか。
そんなエルフが森を語っても、自然を守るうんぬんじゃなくて、どう自然と同化して相手を殺すかの話にしか聞こえないわ。
『降下地点に到着!!グリーンライトを点灯する!!』
よし、目的の降下地点に到着したようだ。
ビッグバード君の開かれたドアの脇にあるランプ。
それが赤色から緑色になり、降下可能なことを示す。
「「GOGOGOGOGO!!!」」
次々とエルフ達は輸送機のドアへ向かって飛び降りていった。
機械の心を持つ俺でも、クッソコワイと感じる400メートル上空。
エルフ達は、何のためらいもなく、輸送機から空中へとジャンプしていった。
今のところ目立った反撃は無いな。
イギニスの陣地は前もって、無人機で叩いた。
恐らくこんなよくわからんものに対応している余裕はないんだろう。
そもそも、連中は、パラシュートが何かも知らない。
降りてきているのが人だという事すら、わかっているか怪しいな。
全てのエルフ達が降りきった後、最後に降下を指揮していたミリアが降下する。
「では機人様!行って来るでがんす!!」
「気をつけてな!」
相変わらず何語かわからんミリアが降下していくのを見送った後、俺も降下の準備をする。ウィーンとモーターの音がして開く、ビッグバードの後部デッキ。
うおおおおおおお!!!!ちょうこええええええ!!!!!!
めっちゃ高い。飛行ユニットと俺自身の飛行能力で、なんともないというのは解っているが、それでも怖いものは怖い。
ええい、ままよ!
俺は輸送機から意を決して飛び降りる。
カーゴからデッキ迄の、10メートルの短い距離を走って、そのまま飛び降りる。
俺にパラシュートは不要だ。背中に飛行ユニットがあるからな。
降下、というよりは滑空して、ある目標を目指す。
この空挺降下の目標はシンプルだ。イギニスの政治的中枢、王宮の制圧だ。
長期的にグダグダと戦争が続けば、ポトポトとイギニスの被害はとんでもないことになる。
しかし幸いにしてイギニスは、ちゃんと中央集権的な政治の概念がある。
イギニスはオーマみたいに、デイツ王と教会が争っていて、デイツ王が中途半端な意思決定しかできない国とは違う。
オーマの場合はデイツ王がもう戦争止めようと思っても、教会がイヤっていえば、死ぬまで戦って終わらない。
イギニスの場合は違う。全ての軍事力をしばき倒さなくてよい。
中央集権なので、「王」という頭を挿げ替えさえすれば、戦いが終わる。
いや実に楽で助かる。
千葉浦安の某テーマパークにありそうなお城めざして、俺は飛行ユニットのバーニアを噴かした。
きっとあそこには、俺のような存在がいるかもしれない。
水爆なんかの旧い世界の事物を知る存在。
そいつが恐らく女王を操って、イギニスを動かしている。
俺はこれまでにない、激しい戦いの予感を感じながら、真っ直ぐ王宮へと向かった。
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