恋華

LIZU

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あのあと。
先輩から美南ちゃんと下呼びで呼ばれるようになって。
廊下で会うと手を振ってくれる。

私も少しずつだけど笑顔の時間が増えた


ーーそんな中
6月に文化祭がせまっていた

この日のホームルームはみんな不機嫌そうだ
「誰か委員してくれる人いませんかー?」

文化祭の担当が決まらなく、さっきから15分ほどこの調子だ
「やるわけねーだろ!そんなだるい仕事!」
「だって委員会って放課後遅くまで残るんでしょ?」
「地味なやつにやらせよーぜ」

私も、もちろんやりたくない。
と、その時

LINE:芳沢先輩→
         文化祭なにするか決まった?

(授業中なのによくスマホ使えるなぁ‥)
ちょっと1人でにやけながら返信を打つ

LINE:→芳沢先輩
            うちのクラスはまだ委員も決まってなくて今決め
            てるんですけど誰もでてこないです

LINE:芳沢先輩→
         美南やれよ!笑
         俺もやるし!

LINE:→芳沢先輩
           えっ、やるんですか
           
(どうしよ‥
  でもこれを機にチャレンジしてもいいかもしれない)

「はっ、はい!やります」
ガヤガヤが一斉に静まる

「ありがとう仁科さん!」
「おお!やるじゃん!」

やっぱり感謝の言葉はうれしい

「できる限りがんばります」

すると、初めて隣の子が話しかけてくれた
「美南ちゃんって、こーゆーのやらない子だと思ってたよ!本当にありがとう!私、志田果凜っていうの!よろしくね!」
「仁科美南です
よっ、よろしく‥!」

初めて友達もできてしまった
先輩のおかげだなぁ

あとでLINEで言おう

「じゃあ、仁科さんは明日の集まりに参加お願いしますね
今日のホームルームお疲れ様でした」
先生の声と共にみんなが教室をでていく

(私も帰ろう)
そう思って下駄箱に着いた時

「美南!」
「‥先輩」

芳沢先輩がこちらに走ってきた
「委員なった?」
「なりました!先輩のLINEで心決まりました
ありがとございます」
「いやいや、全然だよ!がんばろーな!」
「はい」

そんな会話をしていた時、先輩の後ろから男女が走ってきた
「あぁ!やっと見つけたわ!澪、連いた」
「連っ!」
急に1人の女の子が芳沢先輩に抱きついた

驚きで声もでなくなってしまった

「澪‥門で待っててって言ったじゃん」
「ごめん‥でも連に早く会いたくなって‥」

なんか気まずくなって
「じゃあ、先輩、また今度」
「わりぃな、じゃあ!」

(そっか、彼女さんかぁ‥)
級に心が重くなる
それはそうか、逆にあんなかっこよくていない方がおかしいよね。

「ねぇ」
不意に呼び止められる
「はっ、はい」

さっき後ろから走ってきた男の先輩だ
「君、連のこと好きなの?」
「いっ、いや!前に助けてもらって‥」

急にああ、そうかという顔をされた

「あっ、もしかして事故の時の子?」
「そうです」

するとその先輩はニッコリ笑った
「怪我なくてよかったねー!俺、連の友達の類ってゆーの!よろしくね、美南ちゃん」
「わたしのこと、知ってるんですか」
「うん!連から聞いたしー」

「お、お願いします‥」
ややチャラ目のこの先輩と仲良くなれるか不安だが、せっかく声をかけてもらったんだ、仲良くなりたい。

あと‥
「あの、類先輩」
「んー?」
「さっき芳沢先輩に抱きついてた人って‥」
「あれ、連の彼女。北条澪っていうやつ
連のこと大好きだからな~あんま近づかない方がいいかもよ、怖いから(笑)」
「そ、そうですか‥」

やっぱりそうなんだ
彼女‥か

「ねぇ、美南ちゃんやっぱ連のこと好きでしょ?」

「そう‥なんですかね?」
「はい?!」
「わたし、好きとかあまりわからなくて」

「なるほど!じゃあこの類先輩が教えてあげよう!」
「えっ?!」
「もし好きならこのまま思い続けるのだけはもったいないじゃん?
好きなら最後告白までいこーぜ」

そういってわたしの耳元に手を当てて囁く

「まぁ俺、北条のこと好きじゃないし
君らが付き合ったら俺的にはハッピーだから、ね」

そういって笑いながら類先輩は帰っていった
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