ヒノ

ひげん

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第二章

南の山岳地帯と新たなおじさん

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俺とトニーはグッターとロットを宿屋の前まで送り届け、何か用事がある時は騎士本部に来てくれと言った。そして、別れる時に中魔石を学費の足しにしてと言ってグッターに渡した。それをトニーは笑顔で見ていた。グッターは受け取れないと何回か突き返してきたが、俺は無理やり彼女に上げて屋敷に戻った。

ハンメル団長にあった出来事について一通り報告をすると、「盗賊はちゃんと止めを刺しなさい」と教育的にいかがなものかと思われる変な叱られ方をされた。だが、ハンメル団長の言葉も正しい。逃した盗賊はまた他の何の罪もない人たちを襲うかも知れないのだから。自分の都合で結果的に盗賊を逃してしまったことを反省した。

ハンメル団長の言葉はそれだけだった。もう盗賊が出るような危ない場所に行くななんて言われるかと思ったがそれはなかった。

次の日、俺とトニーは普段通り騎士団本部で朝から夕方まで働いた。そしてそのあと、落ち込んでいるグッターを励まそうと思い、彼女たちが泊まっている宿屋に寄った。受付の女性に聞き、二階にある彼女たちの部屋の戸を叩いた。各部屋は動物や花などの絵柄で区別されており、グッターたちはうさぎの札がかけられている部屋に泊まっていた。戸が開くとグッターが立っており、奥にいたロットはベッドの横にある小さな机の上で地図作りの作業に没頭していた。中に入ると、ベッドの上で様々な地図や資料が散らばっており、どうやら次の探査場所を選考していたようだ。ロットは軽く俺たちに挨拶したと思ったらすぐにまた作業に戻ってしまった。「集中しだしたらいつもこうなっちゃうんじゃ」とグッターは言った。グッターはまだ浮かない表情をしていた。

俺たちはグッターとロットに気晴らしにでかけようと誘ったが、ロットは地図作りをしたいということで、グッターと三人で行くことになった。街を少しぶらぶらしながら、この前の軽食屋に入り、同じ奥の窓辺のテーブルに座った。飲み物を頼んで軽く世間話をしても、グッターは気まずそうな思いつめた表情をし続けていた。最初の探査で成果がなかったことにまだ落ち込んでいるのだと思っていたが違っていた。

「ぅぅぅ…次の探査場所なんだが…実は、色々検討してみたんじゃが、ここから三日間で往復出来そうな場所がないんじゃ。一番可能性があるのは南の山岳地帯なのじゃが、片道だけで三日以上かかるのじゃ…だから、もう、ヒノとトニーには頼めないんじゃ…私たちを護衛してくれてありがとう。報酬はまだないけど、いずれ必ず払うから…」

と言って昨日俺が上げた魔石を返して来た。

「魔石はグッターに上げたものだから。それに報酬は盗賊のお金が手に入ったからいらないよ」

魔石と金貨をグッターに返した。

「グッターはその南の山岳にいくつもりなの?」

「ぅぅぅ…わからない…」

泣きそうにながらもそれを我慢しているグッターは普段のしっかりした態度と違い年齢相応の幼い少女に見えた

「グッター、少し待ってて。なんとか出来るかも知れないから。明日、また会いに来るから、待ってて」

俺は思わず言ってしまった。きっと、俺の本心だったのだろう。グッターは一人ででも行きそうな雰囲気だった。

「…本当?」

「うん、約束は出来ないけど、明日まで待ってて」

「…うん…ありがとう」

グッターを宿屋に送って俺たちはすぐに屋敷に戻った。ハンメル団長に騎士団本部の仕事をしばらく休みにしてもらえるように事の経緯を話した。

「休みは別にいいんだが、南の山岳に行くのはちょっとまずいな」

「危険な魔物とかいるのですか?」

「魔物はそこまで強くないんだが、あそこはな…辺境伯爵の領土ではあるんだが、ちゃんとした統治や開発が出来ていないのだ。だから、犯罪者や戸籍のないものたちが集まって一種の無法地帯になっているのだよ」

グッターが言っていた南にある広大な山岳地帯は隣接する王家の領地にまで跨っているだが、貧相な土地で開発するメリットもなく、王家と辺境伯爵の支配が及んでおらず、罪人や戸籍のない人々が集まる無法地帯になっているのだという。一種の捨てられた土地だった。そして、詳しい情報がない上、わざわざ危険を冒して調査に赴く人もいなかったので、何が起こるかわからない危険な地域なのだ。

そんな場所なら尚更彼女たちだけで行かせるわけにはいかないので、ハンメル団長に粘り強く頼み続けた。最終的に、俺たちに勝手に行かれても困るということで一応の許可は出た。その代わり、誰か付き添いの人をつけるということになった。

次の日、騎士団本部に行く前にグッターの部屋に寄った。寝ぼけながら戸を開けるグッターにいっしょにいけるようになったからと伝えると目が一気に覚めて大喜びしていた。

そしてその昼、騎士団本部の一階にある事務室で計算の手伝いをしていた俺はトニーと共に団長に呼ばれ、執務室に行くと中にはハンメル団長と見知らない40代半ばのおじさんが立っていた。ごつい体格にごつい顔つき、少しだけ整えられた髭に短い白髪であからさまに強そうだ。王家の紋章と他の何かの紋章が入った赤い服に白いマントを身に着けていた。色とデザインが微妙に違うが、おそらくモルバイン団長と同じ王国騎士団の人だと思われた。

「おお、来たか。おぬしらが例の小僧どもか。モルバイン君から聞いておるぞ」

俺はハンメル団長に目線を送った。

「この方は王国騎士だ「わしはラドガルヴじゃ。南の山岳に行くらしいの。わしが付き添いでいっしょに行くことになった」…ということになった…」

ハンメル団長の言葉を遮って手短な自己紹介を言った。俺は押しが強そうなこのおじさんが放つ力強い覇気に圧倒された。そして、心のどこかで付き添いは俺とトニーが知っている魔の森の生き残りであるサリバンさんやオビアンさんになると思っていたため、状況を飲み込むのに時間がかかってしまった。

ラドガルヴさんはそれ以上の細かい自己紹介はしなかった。

モルバインさんから事情を聴いたということは、この人も獣人襲撃事件の調査に関わっているんだろうな…

実はハンメル団長はサリバンさんを俺の付き添い役にしようと考えていたらしいのだが、その時、運悪くラドガルフさんが王都から報告がてらにハンメル団長の顔を見に来て、モルバインさんから俺について聞いて興味を持ったらしく、俺とトニーの話をしていたら、なぜかラドガルヴさんが付き添いでついて行くと言い出して、ハンメル団長はそのまま無理やり押し切られてしまったらしい…ということを俺はかなりのちのお酒の席で知るのである。

俺とトニーはラドガルヴさん、(彼に改められ)ラドさんに簡単な自己紹介をして、南の山岳地帯に行くことについて話した。そして、そのままラドさんといっしょにグッターたちの宿屋に行き説明をした。グッターとロットは強そうな護衛が加わったことでさらに喜んだ。そして、明朝に出発することになった。

ラドさんは特にグッターたちの事情を深く聞くこともなかった。

懐が深いのか大味なのか…ボルンさんと同じタイプの人間かも知れないな…


翌朝、いつもの宿屋の前で集合し、西門に向かった。グッターとロットは前回と同じ服装と鞄を身に着けていた。俺たちはマーサさんに干し肉中心に食料を用意してもらった。一週間くらいの旅になる予定なので、日持ちする栄養価の高い食べ物を選んでもらった。剣は前と同じハンメル団長から借りたものだ。ちなみに盗賊から奪った剣や短刀は粗悪品で二束三文の価値しかなかったそうだ。そして、ラドさんは大きな剣を携えて歩いているが、鞄の一つも持っていない。

あっ…完全に忘れていたが、もしかしてこのラドさんという人の食事も、俺たちが用意しなければいけなかったのかな…ハンメル団長が言い返せないくらいの偉い人だから、何も言われなくても持ってくるのが当たり前とかそういう体育会系的なあれなのか…そういう雰囲気だしな…

西門を出た俺たち5人は南に向かって大きな街道を歩いた。この街道は辺境伯爵の領地を出て、王家が治める地を通り王都に至る。三日前に使った北の街道よりも大きくしっかり整備もされている。エルン市に向かう農民たちや大所帯の馬車も時々見かけた。途中、ラドさんはすれ違った商人の馬車からリンゴを買った。俺たちも一個ずつもらい、みんなでかじりつきながら歩き続けた。ダイレ村とルハン町の間しか移動していなかった俺には新鮮な光景だった。たまに街道の端に馬車を停めて、近くの農村の人たちと農作物や日常用品の売買をしている商人たちを見かけた。ダイレ村には領主と独占契約をしたエルン市の商人しか来ていなかったが、この周辺は交通量も多く、商売は比較的自由なようだった。馬車にはそれぞれが所属する商会やギルドの紋章が入っている。この国では商人ギルドや商会の紋章がないと合法的に商売できないのだ。途中、馬に乗った街道の警備兵と何回かすれ違った。定期的に街道を馬で走り見回っているようだった。

俺たちは休憩を挟みながら歩き続け、日が沈む頃に街道沿いにある休憩所に着いた。商人や旅人が集まっていて結構賑わっていた。俺たちはここで野宿することにした。雨をしのげる屋根と柱だけの簡易的な施設はあるが、天気がいい日は特に利用する必要性がないようだった。商売している者や大きな鍋で調理してそれを旅人に売っている者など、小さなお祭りのような雰囲気もあった。そのため、食事に困ることはなかった。ラドさんはエールを飲みながら他の人たちと世間話をし、俺たちはその隣で話を聞いていた。一期一会じゃないけど、その出会いと交流に暖かい気持ちになりながら楽しく夜を過ごした。

翌朝、俺たちはロットの指示の下、ついに街道を離れ山岳を目指して東に向かった。急に人の気配がなくなり、道も荒くなった。周辺は農業も出来ない荒れた土地らしく集落もなかった。俺たちは物寂しい荒れた土地を半日くらい進み続け、ついに山岳地帯に入った。徐々に見晴らしが悪くなり、道も道とは言えないものになっていった。そして、小山一つを越え日が沈み始めた頃、もう道はなくなっていた。ここで初めてロットの凄さを知るのだった。彼女は持っている大まかな地図と知識だけで、進むべき方向を知ることが出来た。正直、彼女以外はもうどこにいるかがすら分かっていない様子だ。ラドさんに関しては、早々に「わしは方向音痴だから、頼りにするなよ」と言ってきた。俺たちはそこで野宿し、翌日ロットが指し示す方向に足を進めた。

そして、大きな山に入った。所々に存在する細い山道を利用しながら歩いていくと、奥地に小さな集落が見えてきた。50人もいなさそうな小さな集落だ。家は森の木を伐採して適当に張り合わせて作ったような簡素なものだった。俺たちに気づいた住民はすぐに警戒態勢に入り、こん棒などを握りながら様子を伺っている。俺の知っている農民や町民と違ってどこか薄暗く負のオーラを纏っている。すると、奥から集落の長と思われる初老の男性が出て来て対応してくれた。ラドさんは、俺たちはただ東の岩山地帯を目指していて、行き方などがわかれば教えていただけないかと長に尋ねた。彼は特に丁寧にすることもなく、かと言って邪見にすることもなくただ淡々と自分が知っている情報を教えてくれた。彼は俺が今までに見たことない虚無を映したような不気味な目をしていた。

ラドさんと長が話し終わり、俺たちは居心地の悪い集落をすぐに出た。そして集落の長が教えてくれた方向をロットが判断し、ルートを決めて進んだ。

そして、しばらく歩いていると突然、山の上方から叫び声が聞こえてきた。徐々に声は大きくなり木の陰から3人の男が必死な表情で駆け込んできた。お互いに気づきにらみ合いになったが、ラドさんはその空気を軽く受け流し軽いトーンで3人の男たちに話しかけた。3人とも20代前半の若者だった。ラドさんの雰囲気に3人の緊張感が取れ話をしてくれた。

彼らは俺たちが今日通り過ぎた集落から来た者たちだった。3人の中のリーダーらしきおかっぱヘアの男は憎しみの籠った目で、彼らがキノコ採取をしていた時に同じ集落の男が魔物といっしょになって襲ってきたのだと言った。襲った男の特徴を俺たちに伝えて、気を付けるように言い残し集落に帰っていった。彼らは何となく信用できない油断ならない雰囲気を醸し出していた。

俺たちは元々行くつもりもなかったが、それでも警戒しながら山の上方を避け、さらに先を進んだ。そして、日は傾き、俺たちは野宿する場所を確保し、暗くなる前に火を焚いた。グッターとロットはかなり疲労しているようだった。ラドさんを含め俺とトニーは彼女たちに歩幅を合わせて歩くようにしていたが、それでも三日連続で歩き続けるのはしんどいはずだ。それでも弱音一つはかない二人はすごいと思った。

疲れた体を休めながら、夕食を取ろうとしていた時だった。二匹の白く大きい鹿が現れた。俺はすぐに剣を抜き構えた。ラドはすでに大きな剣を構えていて、グッターとロットを背にしている。彼の実力が垣間見えた一瞬だった。二匹の鹿の枝分かれした大きな角の周囲が少し光っており、魔物の類なのだとわかった。白く美しい毛並みと筋骨隆々として引き締まった身体をしている。だが、二匹は気が立っていて今にも襲い掛かって来そうな勢いだった。

するとすぐに、二匹の後ろから「ちょっと待ってください」という声と共に一人の男が現れた。彼は先の3人が言っていた彼らを襲ったという男性の特徴に似ていた。男の後ろにはローブのフードを深くかぶった一人の女性が立っていた。彼女はすぐに二匹のところに行き、優しく撫で始めた。二匹の鹿は落ち着き始め、大きな頭を彼女にこすりつけて甘え始めた。すると、こすりつけられた拍子に彼女のフードが後ろに引っ張られ、顔が露わになった。彼女の頭から羊のようなくるくるとした渦巻の角が生えていた。



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