【完結】婚約破棄された猫耳令嬢、転生してOLになる。〜特技は暗殺です〜

アキ・スマイリー

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第4話 アラサーOL、にゃんこ合体して前世を思い出す。

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「行くよ! にゃんこ合体!」

 私とみーたんの体が輝く。みーたんの体が消え、私の体も変化して行く。え、え、何これ、おっぱいでかっ! やば、モテちゃうわこれ。

 何故か服装も変化したみたいで、マントみたいなのを着ている私。

(みーたん、どこ ?)

(僕は美奈子と合体した。成功だよ。僕の体はアストラル体となって、美奈子の精神と同化したんだ。だけどこうやって会話する事は出来る)

(アストラル体って何!?)

(説明が難しいから、とにかく合体したって思ってよ)

(わかった!)

 考えても仕方ない事はパスするのが私の主義。自分の容姿を確認すべく、姿見の前に立つ。うわ、露出度高っ!

(なんかエッチ!やばいってこの格好! 大丈夫? おまわりさんに捕まらない?)

(大丈夫だよ。コスプレだと思われるんじゃないかな。それに美奈子の前世である魔球人ミーナは、SSS級の暗殺士。気配遮断のスキルを持ってる。姿や気配を消すのはお手のもの。安心してよ)

 ミーナと言う名前を呼ばれ、私の脳に前世の記憶が蘇ってくる。

 そうだ。私の名前はミーナ・キャティ。種族は猫耳族。ウェア・キャットのような獣人ではなく、ほぼ人間だが、猫の特性も備えている。猫耳族で公爵令嬢でもある私は、冒険者たちの間ではかなり異端で、猫耳令嬢とあだ名されていたものだ。

 猫耳族は小さな音、遠くの音も聞こえ、音の位置も特定出来るし、暗闇でも目が見える。まさに暗殺士向きの能力なのだ。

「久々ね、この感覚。私、二十八年も記憶喪失だったんだ。勘が戻るまで、ちょっとかかるかもね」

(まぁ、そうかもね。僕という『ミーナのカケラ』が発見されたのが、ごく最近の事。魔球にある冒険者ギルドのお偉いさんも、ミーナが記憶喪失だなんて知らなかったんだよ。だけどちっともモンスターを退治しないから、おかしいと思ってたみたいだ)

「呑気なもんね。まぁどうせ、ホムラ・フレイマーの奴が根こそぎ倒してるから、私の出番なんてないでしょうけど」

 ホムラは各メディアで引っ張りダコの女冒険者で、その美しくワイルドな容姿も相まって、アイドル以上の人気を誇る。日本の冒険者の代名詞とも言える存在だ。

 前世では、私と同じく勇者様のパーティにいた。私は追放されたけど、彼女は最後まで彼と共に戦い、そして死んだ。悔しいけれど、相思相愛だったのだろう。

 私は生きたまま転生してきたが、ホムラは死んでから、おそらく偶然この地球に転生してきたのだ。

(確かにホムラはミーナと同じSSS級の武術士。日本の冒険者でSSS級はミーナとホムラだけだし、強いのは確かだね。だけど彼女の戦いは派手だし、街にも被害が出る。それに隠れ潜んでいるモンスターを見つけるのは苦手みたいだ。そういったモンスターに関する依頼は、きっとギルドにもたくさん残ってるはずだよ)

「ああ、確かにホムラは大雑把だものね。昔っからそう。そのくせ私にライバル意識を持ってるんだよね」

(冒険者ギルドに行ってみようよミーナ。ミーナにしか出来ない依頼がきっとある。ホムラよりもたくさん稼いでさ、冒険者ランキングの一位目指そうよ!)

「そうね。この二十八年で、私は番外に落ちてるだろうし。わかった、行きましょうギルドに」

(そうこなくっちゃ!)

「でも待って。カップ麺食べてからね」

 私は若干のび始めているカップ麺にマヨネーズをたっぷりかけ、ズルズルとすすった。

「はぁー♡ ジャンクフード最高♡」

 頭の中で、みーたんのため息のようなものが聞こえた気がした。
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