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魔王から奴隷へ。
第10話 奴隷省の大臣。
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「これより奴隷省から、奴隷大臣のローク様がおいでになる! 貴様等、粗相の無いようにな!」
パンデリンの土下座から一夜明け、翌朝。私と「男に戻った」ネリス、そしてフォリーとミルダの四人は、看守長室でくつろいでいた。ネリスが強い意志をもって自分に反抗出来る事を知り、パンデリンはすっかり大人しくなっていた。先程の尊大な発言も、ほとんど虚勢に過ぎない。
「はいはい、了解了解。ところでパンデリン様、紅茶はまだですかね? 私達、喉が乾いてるんですが」
気軽には反抗出来ないネリスに代わって、私はパンデリンをとことんイジメていた。これまでの仕返しである。
「チッ。今注いでやるから待ってろ」
苛立ちながらも紅茶を注ぐパンデリン。それを見てネリスはクスクスと笑い、フォリーとミルダは気まずそうにする。
私はなるべく二人が気まずくならないように、ネリスと一緒に話しかけた。ぶつぶつ小言を言うパンデリンを無視しつつ、私達は楽しく会話を続けた。
しばらくして、私は看守長室の壁にかけてあるゼンマイ機構の時計を見た。パンデリンの発言から二十分程が経過している。そろそろローク大臣が訪れる頃だ。
そう思った矢先、出入り口の鉄扉を見張っている看守から伝令が入る。
「パンデリン様! 正門より伝令です! 奴隷省より、奴隷大臣ローク様がお見えになりました!」
「すぐに看守長室へお通ししろ! くれぐれも粗相の無いようにな!」
「はっ! かしこまりました!」
伝令を聞いた途端、パンデリンは「そわそわ」し始めた。部屋をウロウロと行ったり来たりして落ち着かない様子だ。余程ローク大臣が怖いのだろう。
「パンデリン様! ローク様をお連れしました!」
看守長室の扉がノックされ、看守がロークの来訪を告げる。パンデリンはビクッと身を震わせ、それから扉を開けた。
ローク大臣は数人の護衛を引き連れ、葉巻を加えて立っていた。銀色の口髭が威厳たっぷりである。
「これはこれはローク様! ようこそおいで下さいました! あれがお伝えした下級奴隷、半魔人のアリエッタとネリスにございます! 今回はこの二人を、上級奴隷へと昇進願いたく存じます」
パンデリンは揉み手をしながらペコペコとお辞儀を繰り返し、ローク達を看守長室に引き入れた。フォリーとミルダが、気を使って私とネリスから離れる。
「ふむ。確かに半魔人だな。一体どこの魔人の戯れで生まれおったのか......最近は奴隷でも構わず孕ませる輩が多い。もう少し節操をもって行動してもらわんと困るな。所詮奴隷は家畜だと言うのに......」
私とネリスを値踏みする様に見つめるローク。その眼光は異様に鋭い。
「いやはや、おっしゃる通りでございます! 全く、家畜共に欲情する気持ちなど、理解に苦しみますな!」
パンデリンは大げさな笑顔でペコペコし続けている。
「よく言うわ。散々私にセクハラした癖に」
私はボソッと呟いた。するとパンデリンは顔を真っ青にして私に詰め寄った。
「おい貴様アリエッタ! 粗相の無いようにと言っただろうが! 大臣様の前で、そのような戯言を......!」
真っ青だった顔を真っ赤に染め直し、パンデリンは私の襟首を掴み上げた。
「おい、待て! その手を離せパンデリン!」
ロークはパンデリンを制し、驚いたような顔で私をじっと見る。
「今の声、聞き覚えがある。も、もしや......いや、まさか、そんな筈は......」
ロークは震える手で、胸元に鎖でかけている片眼鏡(モノクル)を右の眼窩にはめ込んだ。すると彼は「ひっ」と息を飲み、素早く床に膝をついた。
「はわ! はわわ! あ、あなたは! いや、あなた様は! こ、これはとんだご無礼を! すぐに気付かなかった事、お許し下さいませ!」
「なっ、ローク様、一体どうしたのですか? これはただの下級奴隷......」
「馬鹿者! 貴様も早くひざまずけ! お前等もだ、護衛共! こちらにおわすお方をどなたと心得る! 恐れ多くも魔王国シェダール国王、ファリエッダ・シェダール魔王陛下であらせられるぞ! ええい頭が高い! 全員早く土下座しろ!」
「えええ! 何ですってぇーッ!」
看守長室内にざわめきとどよめきが広がり、慌てたように全員が土下座した。
パンデリンの土下座から一夜明け、翌朝。私と「男に戻った」ネリス、そしてフォリーとミルダの四人は、看守長室でくつろいでいた。ネリスが強い意志をもって自分に反抗出来る事を知り、パンデリンはすっかり大人しくなっていた。先程の尊大な発言も、ほとんど虚勢に過ぎない。
「はいはい、了解了解。ところでパンデリン様、紅茶はまだですかね? 私達、喉が乾いてるんですが」
気軽には反抗出来ないネリスに代わって、私はパンデリンをとことんイジメていた。これまでの仕返しである。
「チッ。今注いでやるから待ってろ」
苛立ちながらも紅茶を注ぐパンデリン。それを見てネリスはクスクスと笑い、フォリーとミルダは気まずそうにする。
私はなるべく二人が気まずくならないように、ネリスと一緒に話しかけた。ぶつぶつ小言を言うパンデリンを無視しつつ、私達は楽しく会話を続けた。
しばらくして、私は看守長室の壁にかけてあるゼンマイ機構の時計を見た。パンデリンの発言から二十分程が経過している。そろそろローク大臣が訪れる頃だ。
そう思った矢先、出入り口の鉄扉を見張っている看守から伝令が入る。
「パンデリン様! 正門より伝令です! 奴隷省より、奴隷大臣ローク様がお見えになりました!」
「すぐに看守長室へお通ししろ! くれぐれも粗相の無いようにな!」
「はっ! かしこまりました!」
伝令を聞いた途端、パンデリンは「そわそわ」し始めた。部屋をウロウロと行ったり来たりして落ち着かない様子だ。余程ローク大臣が怖いのだろう。
「パンデリン様! ローク様をお連れしました!」
看守長室の扉がノックされ、看守がロークの来訪を告げる。パンデリンはビクッと身を震わせ、それから扉を開けた。
ローク大臣は数人の護衛を引き連れ、葉巻を加えて立っていた。銀色の口髭が威厳たっぷりである。
「これはこれはローク様! ようこそおいで下さいました! あれがお伝えした下級奴隷、半魔人のアリエッタとネリスにございます! 今回はこの二人を、上級奴隷へと昇進願いたく存じます」
パンデリンは揉み手をしながらペコペコとお辞儀を繰り返し、ローク達を看守長室に引き入れた。フォリーとミルダが、気を使って私とネリスから離れる。
「ふむ。確かに半魔人だな。一体どこの魔人の戯れで生まれおったのか......最近は奴隷でも構わず孕ませる輩が多い。もう少し節操をもって行動してもらわんと困るな。所詮奴隷は家畜だと言うのに......」
私とネリスを値踏みする様に見つめるローク。その眼光は異様に鋭い。
「いやはや、おっしゃる通りでございます! 全く、家畜共に欲情する気持ちなど、理解に苦しみますな!」
パンデリンは大げさな笑顔でペコペコし続けている。
「よく言うわ。散々私にセクハラした癖に」
私はボソッと呟いた。するとパンデリンは顔を真っ青にして私に詰め寄った。
「おい貴様アリエッタ! 粗相の無いようにと言っただろうが! 大臣様の前で、そのような戯言を......!」
真っ青だった顔を真っ赤に染め直し、パンデリンは私の襟首を掴み上げた。
「おい、待て! その手を離せパンデリン!」
ロークはパンデリンを制し、驚いたような顔で私をじっと見る。
「今の声、聞き覚えがある。も、もしや......いや、まさか、そんな筈は......」
ロークは震える手で、胸元に鎖でかけている片眼鏡(モノクル)を右の眼窩にはめ込んだ。すると彼は「ひっ」と息を飲み、素早く床に膝をついた。
「はわ! はわわ! あ、あなたは! いや、あなた様は! こ、これはとんだご無礼を! すぐに気付かなかった事、お許し下さいませ!」
「なっ、ローク様、一体どうしたのですか? これはただの下級奴隷......」
「馬鹿者! 貴様も早くひざまずけ! お前等もだ、護衛共! こちらにおわすお方をどなたと心得る! 恐れ多くも魔王国シェダール国王、ファリエッダ・シェダール魔王陛下であらせられるぞ! ええい頭が高い! 全員早く土下座しろ!」
「えええ! 何ですってぇーッ!」
看守長室内にざわめきとどよめきが広がり、慌てたように全員が土下座した。
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