9 / 52
今日から憲兵編。
第9話 例の奴らについて学びました。
しおりを挟む
冒険者ギルドから出たライナは、再びフェレルの姿へ戻る。フェレルはフェイの姿になり、リゼの屋敷へと戻って来ていた。
(ありがとうございました、師匠)
心の中でライナに礼を言う。ライナは(良いのじゃ、我が愛弟子よ)と優しく返してくれた。
自室として与えられたフェイの部屋で日記などを読んでいると、リゼが帰ってきた。
「ただいま、フェイ!」
リゼは帰って来るなり、フェイを抱きしめた。そしてキスの嵐をお見舞いする。
「おかえりリゼ姉」
フェイはリゼのキスに、未だに慣れてはいない。実際はかなり動揺している。だが本当のフェイになり切る為、自然な振る舞いでリゼにキスを返した。
「待たせてすまない。何も問題はなかったか?」
リゼはそう言って微笑んだ。フェイは今日一日を振り返るが、特に問題はなかったと思い返す。冒険者ギルドでの一件は、話すような事でもないと考えた。
「うん。何も問題はなかったよ。今日はね、冒険者ギルドに行って退会手続きをしてきた。それから、父さんと母さんにも改めて挨拶して来たよ。二人とも少し寂しそうだったけど、『頑張って』って言ってた」
「そうか、なら良かった。では早速だが、シェイプシフターのレクチャーを始めるぞ」
「うん、お願い」
「よし、では一旦自室に戻って必要な物を取って来る。すまないが、もう少しだけ待っていてくれ」
「わかった」
リゼはそう言ってフェイの部屋を出て行き、少ししてから一冊の本を持って戻って来た。
「これは、私の先祖が書き記したもの。世には出回っていない、我がニーベルゲン家だけに伝わる秘伝書だ」
フェイはそれを受け取り、ページをめくる。本は厚く、字がびっしりと書き連ねられていた。
「人間は生態系の頂点ではない。シェイプシフターから見れば、我々は家畜も同然なのだ。だが、だからと言って黙って捕食される訳にはいかない。ニーベルゲン家は、奴らに対抗する手段を長年研究し、そして戦って来た。今からその全てをフェイ、お前に伝授する」
フェイは凄まじい記憶力と理解力で、次々と知識を吸収して行った。
昨日、「本当のフェイ」の全てを自分の知識として吸収し、身につけた時と同様に。
フェイは夕食も食べずに、シェイプシフターについて学習した。途中リゼから休憩を勧められても、休む事はなかった。それくらい集中していた
リゼもそれに付き合い、休む事なく授業を続けた。結果として、フェイはまたも半日と立たずに知識の全てを吸収してしまったのだった。
「ふぅ......全くお前には驚かされるな。本当に凄い記憶力だ。優秀な者でも、覚えるのに数週間はかかる情報量だと言うのに」
「ふふっ、ありがとうリゼ姉。ライナ師匠にも、剣の修行の時に褒められたよ。飲み込みが早いってね」
「そうだろう。もしかしたら、お前のユニークスキルである【光速剣】の影響なのかも知れないな、その記憶力は。光の速さを視認出来る動体視力と、記憶力、判断力、洞察力が結びついているんだ......それはともかく、ふぁぁー、眠い。もう真夜中だ、寝よう」
「そうだね、寝ようか。明日から、私も出勤出来るかな?」
「ああ、もちろんだ。特務部能力者対策課、暗殺係としてな。お前にとっては初出勤だが、知識は充分にある。よろしく頼むぞ。それと昨日も話したが、他の者はフェイが行方不明だとは知らない。あえて秘密にしてあるんだ。任務中に頭を打って記憶障害になり、入院していたが復帰した、と説明するつもりだ。話を合わせてくれ」
「了解。こちらこそよろしく、リゼ姉」
「ああ、お前ならきっと大丈夫だ。さぁ、早く寝よう。もう部屋に戻る元気もないよ。ここで寝かせてくれ」
リゼはそう言ってフラフラと歩き、フェイのベッドに倒れ込んだ。
「ちょっとリゼ姉! 私はどこで寝ればいいの?」
「そんなの、一緒に寝ればいいじゃないか。昔は良く一緒に寝ただろう?」
リゼはどうやら、眠すぎて意識が朦朧としているらしい。フェイを本物のフェイと勘違いしている。
「......仕方ないなぁ。全くもう」
フェイはリゼを起こす事を諦め、一緒のベッドに入る。リゼの髪から、花のようないい香りが漂う。
既に寝息を立てているリゼの額にキスをし、フェイも目を閉じる。彼女自身とても疲労していたので、あっという間に眠りに落ちて行った。
(ありがとうございました、師匠)
心の中でライナに礼を言う。ライナは(良いのじゃ、我が愛弟子よ)と優しく返してくれた。
自室として与えられたフェイの部屋で日記などを読んでいると、リゼが帰ってきた。
「ただいま、フェイ!」
リゼは帰って来るなり、フェイを抱きしめた。そしてキスの嵐をお見舞いする。
「おかえりリゼ姉」
フェイはリゼのキスに、未だに慣れてはいない。実際はかなり動揺している。だが本当のフェイになり切る為、自然な振る舞いでリゼにキスを返した。
「待たせてすまない。何も問題はなかったか?」
リゼはそう言って微笑んだ。フェイは今日一日を振り返るが、特に問題はなかったと思い返す。冒険者ギルドでの一件は、話すような事でもないと考えた。
「うん。何も問題はなかったよ。今日はね、冒険者ギルドに行って退会手続きをしてきた。それから、父さんと母さんにも改めて挨拶して来たよ。二人とも少し寂しそうだったけど、『頑張って』って言ってた」
「そうか、なら良かった。では早速だが、シェイプシフターのレクチャーを始めるぞ」
「うん、お願い」
「よし、では一旦自室に戻って必要な物を取って来る。すまないが、もう少しだけ待っていてくれ」
「わかった」
リゼはそう言ってフェイの部屋を出て行き、少ししてから一冊の本を持って戻って来た。
「これは、私の先祖が書き記したもの。世には出回っていない、我がニーベルゲン家だけに伝わる秘伝書だ」
フェイはそれを受け取り、ページをめくる。本は厚く、字がびっしりと書き連ねられていた。
「人間は生態系の頂点ではない。シェイプシフターから見れば、我々は家畜も同然なのだ。だが、だからと言って黙って捕食される訳にはいかない。ニーベルゲン家は、奴らに対抗する手段を長年研究し、そして戦って来た。今からその全てをフェイ、お前に伝授する」
フェイは凄まじい記憶力と理解力で、次々と知識を吸収して行った。
昨日、「本当のフェイ」の全てを自分の知識として吸収し、身につけた時と同様に。
フェイは夕食も食べずに、シェイプシフターについて学習した。途中リゼから休憩を勧められても、休む事はなかった。それくらい集中していた
リゼもそれに付き合い、休む事なく授業を続けた。結果として、フェイはまたも半日と立たずに知識の全てを吸収してしまったのだった。
「ふぅ......全くお前には驚かされるな。本当に凄い記憶力だ。優秀な者でも、覚えるのに数週間はかかる情報量だと言うのに」
「ふふっ、ありがとうリゼ姉。ライナ師匠にも、剣の修行の時に褒められたよ。飲み込みが早いってね」
「そうだろう。もしかしたら、お前のユニークスキルである【光速剣】の影響なのかも知れないな、その記憶力は。光の速さを視認出来る動体視力と、記憶力、判断力、洞察力が結びついているんだ......それはともかく、ふぁぁー、眠い。もう真夜中だ、寝よう」
「そうだね、寝ようか。明日から、私も出勤出来るかな?」
「ああ、もちろんだ。特務部能力者対策課、暗殺係としてな。お前にとっては初出勤だが、知識は充分にある。よろしく頼むぞ。それと昨日も話したが、他の者はフェイが行方不明だとは知らない。あえて秘密にしてあるんだ。任務中に頭を打って記憶障害になり、入院していたが復帰した、と説明するつもりだ。話を合わせてくれ」
「了解。こちらこそよろしく、リゼ姉」
「ああ、お前ならきっと大丈夫だ。さぁ、早く寝よう。もう部屋に戻る元気もないよ。ここで寝かせてくれ」
リゼはそう言ってフラフラと歩き、フェイのベッドに倒れ込んだ。
「ちょっとリゼ姉! 私はどこで寝ればいいの?」
「そんなの、一緒に寝ればいいじゃないか。昔は良く一緒に寝ただろう?」
リゼはどうやら、眠すぎて意識が朦朧としているらしい。フェイを本物のフェイと勘違いしている。
「......仕方ないなぁ。全くもう」
フェイはリゼを起こす事を諦め、一緒のベッドに入る。リゼの髪から、花のようないい香りが漂う。
既に寝息を立てているリゼの額にキスをし、フェイも目を閉じる。彼女自身とても疲労していたので、あっという間に眠りに落ちて行った。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる