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今日から憲兵編。

第9話 例の奴らについて学びました。

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 冒険者ギルドから出たライナは、再びフェレルの姿へ戻る。フェレルはフェイの姿になり、リゼの屋敷へと戻って来ていた。

(ありがとうございました、師匠)

 心の中でライナに礼を言う。ライナは(良いのじゃ、我が愛弟子よ)と優しく返してくれた。

 自室として与えられたフェイの部屋で日記などを読んでいると、リゼが帰ってきた。

「ただいま、フェイ!」

 リゼは帰って来るなり、フェイを抱きしめた。そしてキスの嵐をお見舞いする。

「おかえりリゼ姉」

 フェイはリゼのキスに、未だに慣れてはいない。実際はかなり動揺している。だが本当のフェイになり切る為、自然な振る舞いでリゼにキスを返した。

「待たせてすまない。何も問題はなかったか?」

 リゼはそう言って微笑んだ。フェイは今日一日を振り返るが、特に問題はなかったと思い返す。冒険者ギルドでの一件は、話すような事でもないと考えた。

「うん。何も問題はなかったよ。今日はね、冒険者ギルドに行って退会手続きをしてきた。それから、父さんと母さんにも改めて挨拶して来たよ。二人とも少し寂しそうだったけど、『頑張って』って言ってた」

「そうか、なら良かった。では早速だが、シェイプシフターのレクチャーを始めるぞ」

「うん、お願い」

「よし、では一旦自室に戻って必要な物を取って来る。すまないが、もう少しだけ待っていてくれ」

「わかった」

 リゼはそう言ってフェイの部屋を出て行き、少ししてから一冊の本を持って戻って来た。

「これは、私の先祖が書き記したもの。世には出回っていない、我がニーベルゲン家だけに伝わる秘伝書だ」

 フェイはそれを受け取り、ページをめくる。本は厚く、字がびっしりと書き連ねられていた。

「人間は生態系の頂点ではない。シェイプシフターから見れば、我々は家畜も同然なのだ。だが、だからと言って黙って捕食される訳にはいかない。ニーベルゲン家は、奴らに対抗する手段を長年研究し、そして戦って来た。今からその全てをフェイ、お前に伝授する」

 フェイは凄まじい記憶力と理解力で、次々と知識を吸収して行った。

 昨日、「本当のフェイ」の全てを自分の知識として吸収し、身につけた時と同様に。

 フェイは夕食も食べずに、シェイプシフターについて学習した。途中リゼから休憩を勧められても、休む事はなかった。それくらい集中していた

 リゼもそれに付き合い、休む事なく授業を続けた。結果として、フェイはまたも半日と立たずに知識の全てを吸収してしまったのだった。

「ふぅ......全くお前には驚かされるな。本当に凄い記憶力だ。優秀な者でも、覚えるのに数週間はかかる情報量だと言うのに」

「ふふっ、ありがとうリゼ姉。ライナ師匠にも、剣の修行の時に褒められたよ。飲み込みが早いってね」

「そうだろう。もしかしたら、お前のユニークスキルである【光速剣】の影響なのかも知れないな、その記憶力は。光の速さを視認出来る動体視力と、記憶力、判断力、洞察力が結びついているんだ......それはともかく、ふぁぁー、眠い。もう真夜中だ、寝よう」

「そうだね、寝ようか。明日から、私も出勤出来るかな?」

「ああ、もちろんだ。特務部能力者対策課、暗殺係としてな。お前にとっては初出勤だが、知識は充分にある。よろしく頼むぞ。それと昨日も話したが、他の者はフェイが行方不明だとは知らない。あえて秘密にしてあるんだ。任務中に頭を打って記憶障害になり、入院していたが復帰した、と説明するつもりだ。話を合わせてくれ」

「了解。こちらこそよろしく、リゼ姉」

「ああ、お前ならきっと大丈夫だ。さぁ、早く寝よう。もう部屋に戻る元気もないよ。ここで寝かせてくれ」

 リゼはそう言ってフラフラと歩き、フェイのベッドに倒れ込んだ。

「ちょっとリゼ姉! 私はどこで寝ればいいの?」

「そんなの、一緒に寝ればいいじゃないか。昔は良く一緒に寝ただろう?」

 リゼはどうやら、眠すぎて意識が朦朧としているらしい。フェイを本物のフェイと勘違いしている。

「......仕方ないなぁ。全くもう」

 フェイはリゼを起こす事を諦め、一緒のベッドに入る。リゼの髪から、花のようないい香りが漂う。

 既に寝息を立てているリゼの額にキスをし、フェイも目を閉じる。彼女自身とても疲労していたので、あっという間に眠りに落ちて行った。
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