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追放ざまぁ殺人事件編。

第15話 事件が起こったみたいです。

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 朝食を終え、能対課の部屋に入り各々の机に向かうメンバー達。

 フェイも自分の机に着席し、置いてある書類や資料などを手に取る。それには過去の事件の事や、未解決事件の手掛かり、それに対する所感などが記されている。

 それらを読み漁っていると、机の上に置いてある写真立てが目に入った。

 真ん中にリゼがいて、その隣にはフェイ。そして二人を囲むように、クライス、ミント、シャルティアの三人が寄り添っている。全員が笑顔だった。

 フェイはその写真を眺めながら、本物のフェイの事を思った。

(フェイはきっと生きてる。必ず君を見つけ出すからね。待っていて、フェイ)

 フェイは誓いを新たにし、再び資料に視線を戻した。

 能対課メンバーの席は男女が向かい合うように配置されていて、同性同士は隣あっている。

 課長であるリゼの席は離れていて、窓際に一人で座っている。

 ふと視線を感じて隣の席にいるシャルティアを見る。彼女はフェイの机にある写真をジッと見つめていた。

「この時は、楽しかったね」

 優しく微笑むシャルティア。フェイの正体はフェレルである為、この写真を撮った時の記憶など当然持ってはいない。だが、知っているふりをしなければならないのだ。

「うん、楽しかった。とっても」

 そう言って微笑み返す。するとシャルティアの顔から笑みが消えた。

「だけどもう、この頃には戻れないかも知れないね」

 そう語ったシャルティアの声は震えていた。目には涙が滲んでいる。

 フェイは言葉に詰まった。何故、この頃には戻れないのだろう。その言葉の持つ意味は何だろうか。

 メンバーの誰かが仲違いしているのだろうか。それとも、単純に時間の経過の事を言っているのか。それとも......フェイがフェイではないと、バレているのか。

 言葉の意図を、推し量る。現在の状況、シャルティアの表情、声、あらゆる事柄から推測し、答えを選択した。

「まぁ、そうかもね。だけどあの事ならもう、私は気にしてないよ」

 シャルティアはそれを聞いて、ハッと目を見開く。そして涙をポロポロとこぼし、「ごめんね。ありがとう」と言った。フェイの答えは正しかったようだ。

 シャルティアの正面に座っていたミントが心配そうにシャルティアを見る。

「シャルティアさん、どうしたんですか? 何故泣いて......」

「ほっとけミント。きっと二人の問題だ」

 クライスがミントの言葉を遮る。彼は納得した様子で「そうだね」と呟いた。

 その後は何事もなかったように、それぞれが自分の書類仕事を片付けていく。

 それからしばらくして、能対課の入り口ドアをノックする音が聞こえた。

「どうぞ」

 リゼが張りのあるハスキーボイスでノックに答える。

「失礼します」

 ドアが開いて、総務課の憲兵が中に入ってくる。

「能力者案件、変死事件です。場所は宿屋兼食事処『猪突猛進亭』。対象者は冒険者の男女一組。二人共死亡。第一発見者は同じパーティーの仲間達です」

「わかった。即対応する」

「よろしくお願い致します」

 総務課の憲兵は書類をリゼに手渡し、会釈をして去っていった。

「みんな聞いてたな。集まってくれ」

 まずフェイが立ち上がり、その後に続いて全員が立ち上がる。そしてリゼの前に集まった。

「全員この書類に目を通してくれ。おそらく他殺だと思うが、現場でシャルティアの判断を仰ぐように。それからフェイが復帰した為、彼女に本件の舵取りを任せる。早く現場での勘を取り戻して欲しいからな。私はここに待機して、バックアップに専念させてもらう。何かあったら連絡してくれ。応援が必要なら駆けつけさせるし、情報が必要なら調べる。さて、それでは今からみんなにアドファニカ様の祝福を与えよう。心を落ち着けて、肩の力を抜いてくれ」

「はい!」

 フェイ達は敬礼し、それから手を降ろして自然体になった。

 リゼは目を閉じて、白杖を上にかざした。フェイ達も同様に目を閉じ、リラックスする。

「我が偉大なる神、秩序を司りしアドファニカよ。この者達の姿を保つ祝福を与え給え」

 リゼの白杖が輝き、続いてフェイ達の体が光る。

 この『形状記憶』の祝福をかけておけば肉体の状態を維持し、軽い怪我ならすぐに治る。もしも大怪我をした時は、リゼに『形状回復』をかけてもらえば、元の状態に戻る事が出来る。

「これで大丈夫だ。よし、行って来い! 気をつけてな!」

「はい! 行ってきます!」

  フェイ達はビシッと敬礼し、部屋を出て行く。

「よっしゃ! 復帰一発目、頑張ろうなフェイ! 俺がバッチリ守ってやるから、安心して捜査してくれよ!」

 クライスがそう言って、フェイの肩を力強く抱いた。

「うん、ありがとうクライス」

 フェイはクライスに笑顔を返す。

「僕もいますよ、フェイさん」

「うん。よろしくねミント」

 前に躍り出てきたミントとハイタッチをかわしながら、庁舎の出口を目指す。

 シャルティアも颯爽とフェイの横を歩く。彼女は無言でフェイを見つめていた。フェイはシャルティアと目線を交わして軽く微笑むと、また前を向いて歩く。

(シャルティアの事は気になるけど、今は捜査に集中しなきゃ)

 フェイは歩きながら、もう一度書類に目を通した。
 



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