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フェイの足跡とミントの呪い編。

第39話 最強と最速、勝負です。

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「さて。ではいくつか質問をさせてもらうよ」

 フェイトはそう言って、人差し指を立てた。

「まず一つ目。君はフェイ・ワズナックの館を訪れた事がある?」

「いや、ないよ」

 フェイは無表情で答える。

「ふーん。確かに君の心にその光景は見えないな。嘘じゃないみたいだ」

「当然」

 反抗的なフェイの態度に、フェイトは少し苛立った。何より、心が読みにくい。心理的なテクニックなどでは禁呪「精神感応」は防げない筈だが、それでもフェイの心はモヤがかかったように見づらかった。

 思い返すと、アーティーもそうだった。二人の共通点はなんだろうか。フェイトは少しだけ考えたが、今のところ良い答えは出ない。ならば一旦保留だ。フェイトは人差し指に加えて、中指も立てる。

「では二つ目だ。君はフェイ・ワズナックを殺したな?」

 断定的な質問で攻めてみる。

「殺してない。会った事もないよ」

 だが憮然とした態度でフェイは答えた。今度も、彼女の心は見えない。

「ふむ、成る程な。よく分かったよ。君の心からは、フェイ・ワズナックと出会った記憶も、殺した記憶も見つからない。だが、だからと言って無実とは言い切れないんだ。何故なら、そこにいるリゼの心には、君がフェイ・ワズナックの館に行き彼女を殺した、という会話の記憶があるからだ」

 フェイトがそう告げると、リゼはビクリと震えた。

「そんな、私は......!」

 リゼは動揺している。どうやら読みが当たったようだ。フェイトは、本当はそんな記憶など読んではいない。「精神感応」は現在の思考、思念、しか読み取れない。記憶を想起していればそれを読み取れるが、そうでない場合は過去の記憶までは読めないのだ。

 つまり、今のはハッタリ。カマをかける、という奴だ。

「リゼ姉、大丈夫。今のはハッタリだよ。何も答える必要はない。今尋問を受けているのは、私なんだから」

「へぇ......君、すごいね。やるじゃないか」

 ズバリとこちらの意図を読んでくるフェイに、フェイトは少しだけ驚いた。

「さぁ、これで私が犯人じゃないってわかったでしょ? 尋問が済んだのなら、出て行って」

 フェイはひざまずいていた姿勢から立ち上がり、部屋の出入り口であるドアを指し示した。

「まだ、質問は終わっていないよフェイ。どうも引っかかるんだ。これは勘なんだけどね、僕の勘はよく当たるんだ。それによれば、真犯人はアーティーではなく君だ、フェイ・ニーベルゲン。だがこのままでは埒があかない。よって、君の体に直接聞いてみる事とする」

 フェイトはパチンと指を鳴らす。すると瞬時に、フェイトとフェイの体が別の場所へと移動した。

「ここは何処?」

 フェイは突然の瞬間移動にも冷静だ。

「ここはね、僕の遊び場。外界から切り離された、僕が作った特殊な空間だよ。僕が許可しない限りは、出入りが出来ない。つまり、君がここから出るには僕の許可が必要だ」

「へぇ。それって最高だね」

 フェイは面白くなさそうにそう言った。

「さぁ、フェイ。ここで僕と遊ぼう。一対一の対決をするんだ。ルールはない。君が僕を降参させる事が出来たら、君の勝ち。君が降参したら、僕の勝ち。負けた方が勝った方の言う事を聞く。どう?」

「それはいいけど、真犯人がどうとかって話はどうなったの?」

 フェイの問いに、フェイトはニヤリと笑う。

「そんなの、どうせ君は言わないし、わかりっこないよ。だから、僕が勝ったら君を犯人にする。実際にやっていようとやっていまいと関係ない。誤解はしないで欲しいんだけど、いつもこんなふうに犯人を作ってる訳じゃないよ。ちゃんと真実を見極めてる。今回は特殊なケースだ。君が少し、手強いから」

「成る程ね。認めるよ。そう言う事なら、勝負に乗ってあげる。私も、あなたに頼みたい事があるから」

 フェイが誘いに乗ってきた。フェイトは久々に気分が昂揚するのを感じていた。このフェイ、きっと只者ではない。今まで無敵だった自分とも、きっといい勝負が出来ると確信していた。

「それじゃあ行くよ、フェイ!」

「ええ、勝負よ!」

 こうして世界最強の魔法使いと、世界早速の憲兵の戦いが始まった。


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