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魔王討伐と臆病な勇者編。

第51話 ハサン王子は何か秘密がありそうです。

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「初めましてフェイさん。第一王子のハサンです」

 ハーラン王国第一王子、ハサンが謁見の間にやって来た。年齢はおそらく十代前半。金色の短髪と青い目。白く美しい顔をしている。彼はにこやかに右手を出し、フェイに握手を求めた。

「初めまして、フェイでふ」

 フェイグランドグマは噛みながら、ハサンの握手に応じた。

「おや......? 君、違うね」

 ハサン王子は訝しむ。

 セレスティンフェイはギクリとした。今まで変身が見破られた事は一度も無かった。

 セレスティンフェイフェイグランドグマの表情を見た。動揺はしていないようだ。笑顔を保っている。

「どうしたハサン。何が違うと言うのだ?」

 デオス王は眉をひそめる。

「いえ、父上。やはり彼女は他の者達とは違う、と言う意味です。ただならぬ強さをお持ちだ。お会いできて光栄です。是非、今度一緒にお食事でも」

「あ、はい。喜んで」

 笑顔で応じるフェイグランドグマ。ハサン王子は微笑んで、今度はセレスティンフェイを見つめる。

「勇者セレスティンだね。私からもお礼が言いたい。この国を救ってくれてありがとう」

 ハサンは握手を求めて来た。セレスティンフェイは拒む理由もないので、自然な流れで握手に応じる。

「いえ、それが僕の役目ですから。当然の事をしたまでです」

 微笑みを返すセレスティンフェイ。だが、ハサンは笑っていなかった。

「お久しぶりです、そしてジーク。いずれまた、決着をつける時が来るでしょう。その時までは、束の間の安息を」

 ハサンはボソボソと小声で話したので、周囲には聞こえていない様だった。フェイの背筋にゾクリ、と悪寒が走る。

(師匠、ハサン王子はもしかして)

 フェイは守護霊であるライナに頭の中で話しかけた。

(そうじゃ。ワシの弟。ワシはハーラン王国の王女だったが、出奔しゅっぽんして剣の修行に出たのじゃ)

 フェイはライナの説明を聞いて納得した。ハサンはセレスティンの正体がフェイフェレルである事も、その中にライナがいる事も見抜いている。そして彼が言っていたジークとは、おそらくフェレルの前世。

 英雄ジーク・フリーダムは勇者の始祖。勇者にしか反応しない石版が反応したのも、フェレルがジークの転生した姿だったからなのだ。

「......」

 ハサンにどう答えようか思いを巡らせていると、彼は話題を変えた。

「セレスティン、今度フェイを交えて会食でもしよう」

「......ええ、もちろん」

 挨拶を終えると、ハサンは何事もなかったように握手していた手を離した。

「気が済んだか、ハサン」

「ええ、ありがとうございます父上」

 デオス王と笑い合うハサンに、もはや怪しい雰囲気は無い。

 だが、フェイは自身の心に刻み込んだ。おそらく、このハサン王子こそが自分の天敵。いずれ、合間見えるのだろうと。



 
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