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第15話 今後の対策。
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「は、葉月さん! 俺、本当に葉月さんの事が......うごおっ!」
「貴様は、黙っとれ!」
ふざけた事をのたまわったドラザエモンは、とりあえずぶん殴って大人しくさせた。
「まぁ、とにかくじゃ。わしの事を好いてくれる気持ちは嬉しいが、わしは守り神。村を守ると言う大事な役目がある。お主らの気持ちに答えてやるのは、この村が安泰を取り戻してからじゃ。それまでは、皆平等に扱うぞ。良いな」
木蓮、銀牙、日凛の三人はお互いに睨みあっていたが、俺の一言で一旦自分の居場所へと戻って座り込んだ。
「まっ、そう言う事なら仕方ないな。一時休戦だ。抜け駆けは許さないぜ」
「それはこっちのセリフだ、銀牙。俺はいつも目を光らせてるからな。銀杏様に不埒(ふらち)な事はするなよ」
「ねぇ、でもさ。銀杏ちゃんが僕たちの誰かに好意を持ってくれたら、それは別に構わないよね? 抜け駆けじゃないよね」
日凛が二人を見上げながら、両腕を頭の後ろに組む。
「まぁ、な......こっちから手をださないってんなら、いいんじゃねぇか?」
「確かに。その手があったか」
三人はお互いの顔を見合わせて、ウン、と頷く。そして三つの右拳を合わせる。
なんか、男同士暗黙の了解みたいなものがあったみたいです......。
色恋話はここまで。そこから先は俺の主導で、今後の対策を練る事にした。
「時に銀牙よ。お主、厄神である紅蓮に適当な報告をすると言っておったが、その辺りは大丈夫なのかの?」
「ああ。俺とドラザエモンは戦死したって事にしてあるし、手下の物ノ怪どもは黄泉の国に帰した。村の人間は全員食って、骨も残ってない。村は間違いなく滅んだから、もう手を出す必要は無い。そう報告するよう指示を出してある」
なるほど。でも、なんか引っかかるな。
「もしも紅蓮が様子を見に来たら、一発でバレてしまうと思うのじゃが......その辺はどうするつもりじゃ」
俺がそう問いかけると、銀牙はうーん、と唸った。
「まぁ、その時は仕方ない」
「なんじゃ」
「俺が出て行って、罰を受ける。俺が時間を稼いでいる間に、お前らは避難しろ」
そんな事、出来るわけがない。
「却下じゃ。わしは誰も犠牲にしたくないのでな。誰か、他に良い案はないか。紅蓮が様子を見に来る前に、手を打たねばなるまい」
銀牙が「ダメか」と言って頰を掻く。
「銀杏様。引っ越す、と言うのはどうでしょうか」
亜水がそう進言する。なるほど、単純だけど効果はあるかも知れない。
だけど一つ問題がある。
「ふむ、良いかも知れぬな。じゃが病人たちはどうする? 引っ越しともなれば荷物もかなり入り用じゃろう」
「うーむ、確かに」
腕を組んで唸る亜水。
「あの......もしかしたら私、どうにか出来るかも知れません」
これまで黙っていた累火が控えめに口を開く。そうか、累火の祈祷は病の回復も出来るんだ!
「おお、そうじゃの。では累火よ、わしと共に家々を回ろう。そして皆に元気になってもらうのじゃ」
「はい!」
累火は会心の笑みを見せた。きっと自分の力が村の役に立つ事が、嬉しいのだろう。
「銀牙、お主も来てくれぬか。怪我人もおるそうじゃからな。術で治療して欲しい」
「ああ、構わないぜ。協力させてくれ」
銀牙の承諾を得た俺は、彼と塁火を伴って、家の出口へと向かう。
「では、行ってくる」
俺が引き戸を開けると、亜水が「お待ちください」と引き止めた。
「村の者の家は私が把握しております。よろしければ一緒に参りますが」
「心配無用じゃ。わしは千里先も見通せる力を手に入れたのでな。村の全貌は把握しておる。亜水よ、お主は葉月と日凛をしっかりと守るのじゃ。まだ何が起こるかわからぬ。気は抜けぬのでな」
俺がそう言うと、亜水は納得した様子でコクリと頷いた。
「銀杏様、俺も行きます!」
木蓮が立ち上がり、銀牙と日凛がそちらを見る。
「木蓮よ。お主はドラザエモンがおかしな事をせぬよう、見張っておいてくれ。銀牙がわしとくる以上、そやつを抑えるにはお主の力が欠かせぬからの。頼んだぞよ」
木蓮がフッと笑う。頼られたと分かって喜んでいるようだ。
「わかりました。留守はお任せください」
「うむ。では行ってくるぞ」
家を出ると、外は薄暗くなり始めていた。夜になる前に全員を元気にしてあげたい。もし可能であれば、今日中に引っ越しもしたいんだけど......実は結構離れた場所に別の村がある。そこへ行って話が出来れば、もしかしたら受け入れてもらえるかも知れない。
ちなみに俺たちが現在いる霧隠れの村は、家の軒数二十軒ほど。家と家はそんなに離れていないから、割とすんなり回れると思う。
物ノ怪たちの突然の襲撃で、家を失った人々もいる。とりあえず近所付き合いがあった家族たちは、まとまってもらった。そしてそれぞれ無事な家へと入ってもらっている。
怪我人や病人の移動には、木蓮の式神や物ノ怪たちにも手伝ってもらった。そういやみんな怯えてたなぁ。
その辺のところも、きちんと説明しなきゃ。
そんな事を考えながら歩いていると、一軒めの家に到着。
俺は深呼吸して、声をかけた。
「貴様は、黙っとれ!」
ふざけた事をのたまわったドラザエモンは、とりあえずぶん殴って大人しくさせた。
「まぁ、とにかくじゃ。わしの事を好いてくれる気持ちは嬉しいが、わしは守り神。村を守ると言う大事な役目がある。お主らの気持ちに答えてやるのは、この村が安泰を取り戻してからじゃ。それまでは、皆平等に扱うぞ。良いな」
木蓮、銀牙、日凛の三人はお互いに睨みあっていたが、俺の一言で一旦自分の居場所へと戻って座り込んだ。
「まっ、そう言う事なら仕方ないな。一時休戦だ。抜け駆けは許さないぜ」
「それはこっちのセリフだ、銀牙。俺はいつも目を光らせてるからな。銀杏様に不埒(ふらち)な事はするなよ」
「ねぇ、でもさ。銀杏ちゃんが僕たちの誰かに好意を持ってくれたら、それは別に構わないよね? 抜け駆けじゃないよね」
日凛が二人を見上げながら、両腕を頭の後ろに組む。
「まぁ、な......こっちから手をださないってんなら、いいんじゃねぇか?」
「確かに。その手があったか」
三人はお互いの顔を見合わせて、ウン、と頷く。そして三つの右拳を合わせる。
なんか、男同士暗黙の了解みたいなものがあったみたいです......。
色恋話はここまで。そこから先は俺の主導で、今後の対策を練る事にした。
「時に銀牙よ。お主、厄神である紅蓮に適当な報告をすると言っておったが、その辺りは大丈夫なのかの?」
「ああ。俺とドラザエモンは戦死したって事にしてあるし、手下の物ノ怪どもは黄泉の国に帰した。村の人間は全員食って、骨も残ってない。村は間違いなく滅んだから、もう手を出す必要は無い。そう報告するよう指示を出してある」
なるほど。でも、なんか引っかかるな。
「もしも紅蓮が様子を見に来たら、一発でバレてしまうと思うのじゃが......その辺はどうするつもりじゃ」
俺がそう問いかけると、銀牙はうーん、と唸った。
「まぁ、その時は仕方ない」
「なんじゃ」
「俺が出て行って、罰を受ける。俺が時間を稼いでいる間に、お前らは避難しろ」
そんな事、出来るわけがない。
「却下じゃ。わしは誰も犠牲にしたくないのでな。誰か、他に良い案はないか。紅蓮が様子を見に来る前に、手を打たねばなるまい」
銀牙が「ダメか」と言って頰を掻く。
「銀杏様。引っ越す、と言うのはどうでしょうか」
亜水がそう進言する。なるほど、単純だけど効果はあるかも知れない。
だけど一つ問題がある。
「ふむ、良いかも知れぬな。じゃが病人たちはどうする? 引っ越しともなれば荷物もかなり入り用じゃろう」
「うーむ、確かに」
腕を組んで唸る亜水。
「あの......もしかしたら私、どうにか出来るかも知れません」
これまで黙っていた累火が控えめに口を開く。そうか、累火の祈祷は病の回復も出来るんだ!
「おお、そうじゃの。では累火よ、わしと共に家々を回ろう。そして皆に元気になってもらうのじゃ」
「はい!」
累火は会心の笑みを見せた。きっと自分の力が村の役に立つ事が、嬉しいのだろう。
「銀牙、お主も来てくれぬか。怪我人もおるそうじゃからな。術で治療して欲しい」
「ああ、構わないぜ。協力させてくれ」
銀牙の承諾を得た俺は、彼と塁火を伴って、家の出口へと向かう。
「では、行ってくる」
俺が引き戸を開けると、亜水が「お待ちください」と引き止めた。
「村の者の家は私が把握しております。よろしければ一緒に参りますが」
「心配無用じゃ。わしは千里先も見通せる力を手に入れたのでな。村の全貌は把握しておる。亜水よ、お主は葉月と日凛をしっかりと守るのじゃ。まだ何が起こるかわからぬ。気は抜けぬのでな」
俺がそう言うと、亜水は納得した様子でコクリと頷いた。
「銀杏様、俺も行きます!」
木蓮が立ち上がり、銀牙と日凛がそちらを見る。
「木蓮よ。お主はドラザエモンがおかしな事をせぬよう、見張っておいてくれ。銀牙がわしとくる以上、そやつを抑えるにはお主の力が欠かせぬからの。頼んだぞよ」
木蓮がフッと笑う。頼られたと分かって喜んでいるようだ。
「わかりました。留守はお任せください」
「うむ。では行ってくるぞ」
家を出ると、外は薄暗くなり始めていた。夜になる前に全員を元気にしてあげたい。もし可能であれば、今日中に引っ越しもしたいんだけど......実は結構離れた場所に別の村がある。そこへ行って話が出来れば、もしかしたら受け入れてもらえるかも知れない。
ちなみに俺たちが現在いる霧隠れの村は、家の軒数二十軒ほど。家と家はそんなに離れていないから、割とすんなり回れると思う。
物ノ怪たちの突然の襲撃で、家を失った人々もいる。とりあえず近所付き合いがあった家族たちは、まとまってもらった。そしてそれぞれ無事な家へと入ってもらっている。
怪我人や病人の移動には、木蓮の式神や物ノ怪たちにも手伝ってもらった。そういやみんな怯えてたなぁ。
その辺のところも、きちんと説明しなきゃ。
そんな事を考えながら歩いていると、一軒めの家に到着。
俺は深呼吸して、声をかけた。
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