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第36話 厄災の神。
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その女の名は、紅蓮(ぐれん)と言った。狼の耳と尻尾を持ち、銀色の美しい髪がサラサラと流れている。白い肌に、桜色の唇。凛とした眼差し。その姿は、死んだ妹、輝夜とよく似ていた。
紅蓮は妹を溺愛していた。妹が死んだ時、彼女は世界を滅ぼそうとすら考えた程だ。彼女には、それを行うだけの力があった。
彼女は厄神。増えすぎた人間を 、疫病や災害で減らす役割を持っている。
だが彼女は直接、その役割を実行する事は出来ない。現世(うつしよ)の人間を常世に招き、眷属とする。彼らに力を分け与え、役割を実行させるのだ。
だが、その役割を果たすべく使命を与えた二人の眷属は、行方を眩ましたままだ。もう数日が過ぎている。
災害の銀牙。疫病の緑爪。やはりどちらも死んだと考えるのが妥当かもしれない。
銀牙は戦死した、と彼の配下の物ノ怪から聞いてはいたが、信じられなかった。信じたくなかった。
紅蓮は彼を気にっていた。思いは告げていないが、愛していた。
「銀牙......もう一度逢いたいぞ......」
溜息と共に、独り言が漏れる。
紅蓮と物ノ怪たちの住まう宮殿は、黄泉の国に入ってすぐの所にある。もしも生者が黄泉の国に迷い込んで来た場合、送り返す役割があるのだ。
だが死者の魂に出会う事はない。高くそびえる壁の向こうに、死者の住む区域がある。死んだものは、直接そこへ行く事になっているのだ。
(ああ、いっその事、死んでしまおうか。そうすればお前に逢えるのか?銀牙。それに、輝夜にも逢えるしな......)
いつも考えては見る。だが、彼女は厄神。大切な役目がある。そう易々と死ぬわけには行かない。
「ご報告します! 紅蓮様!」
紅蓮の物思いを打ち消すように、配下の物ノ怪が声を張り上げる。いつのまに部屋に入ってきたのだろう。ここは紅蓮の書斎だ。鍵はかけていない為、誰でも入室出来るが、ノックは義務付けている。それが聞こえないほどに、紅蓮は思考に集中していたようだ。
「やかましいな。一体何事だ」
「はい!先程、緑爪様の配下の鼠が一匹帰還致しまして......緑爪様は戦死した模様です」
やはりか......。どうやら相当な手練れが、あの村にはいるようだ。紅蓮は深くため息をつく。
「予想はしていた。もう下がっていいぞ」
紅蓮は物ノ怪に命じたが、下がる気配はない。
「もう一つご報告がございます。銀牙様は、生きておいでです」
「な!? なんだと!」
何という事だ!良かった!生きていてくれた!紅蓮の顔が、歓喜にほころぶ。
だが、生きていたのならば、何故連絡をよこさないのか。今度はその疑念が頭をよぎる。
「して、銀牙は今どこにおるのだ」
「はっ。銀牙様は現在、白金と名を変え、霧隠れの村に滞在しております。どうやら、守り神である銀杏と、恋仲になったようです」
「なんだとぉー!」
怒りに血液が沸騰する。
「おのれ小娘! 我の愛しい人を、横取りするとは、不届き千万!許さぬぞ!黄角はおるか!」
「はっ!ここに!」
音もなく現れたのは、紅蓮の眷属最後の一人。黄角である。頭に巨大な角があり、目は一つ。武者のような鎧を身にまとっている。
「軍を全てお前の指揮下とする! 今すぐ霧隠れの村を滅ぼせ! ただし! 銀牙だけは生かして捕らえよ。良いな」
「はっ! 全てこの俺にお任せください! では行ってまいります」
「うむ、任せたぞ!」
来た時と同様に、音もなく消え去る黄角。
(あやつの力は、人間の男を無力化する。銀杏の力は、配下に力を与える能力だと以前聞いた。侍の男と、陰陽師の男が主力らしい。其奴らさえ封じてしまえば、容易く打ち倒せよう)
紅蓮は安らかな気持ちになった。まもなく銀牙に逢える。そうしたら......今こそ想いを伝えよう。愛していると。
それから数刻が経ち日も暮れ始めた頃。ようやく黄角が帰還した。
「おお、帰ったか。銀牙はどこなのだ?早く会わせてくれ」
紅蓮は、はやる気持ちを抑える事が出来なかった。
「そ、それがその、任務に、失敗致しました......」
「なんだと貴様! よくもおめおめと逃げ帰ってきたな!」
紅蓮は凄まじい形相で激昂する。
「ひぃぃっっ!申し訳ございません! 報告をと思いまして!その......聞いていた情報と全く違い、敵の主力に男はおりませんでした。そ、そのかわり、妖艶な美女と、美少女ばかりで......ウヘヘ」
黄角はじゅるりとヨダレをすする。
「つ、つまり、敵の主力はどういう訳か、女ばかりだったのです。俺の能力は通じませんでした。しかも、滅法強く......グフ♡」
「もう良い! 下がれ!」
「はっ! 」
黄角が姿を消すと、紅蓮は部屋中の装飾品に当たり散らし、壊しまくった。
「おのれ! 銀杏め! この上は、我が自ら赴いてくれるわ!」
紅蓮はふんふんと鼻歌を歌いながら、旅支度を始めた。彼女は感情の起伏が激しいのだ。霧隠れの村に行けば銀牙に逢えると考え、すでに上機嫌である。
人間に直接干渉してはいけない為、紅蓮は長らく宮殿から出ていない。常世に行くのは久しぶりであり、それも楽しみの一つであった。
「黄角よ!今一度参れ!」
「はっ! およびですか!?」
黄角は若干慌てながら、素早く姿を現した。
「我はちぃと、霧隠れの村に行ってくる。銀杏に話を付けにな」
よいしょとリュックを背負う紅蓮。和装姿には、かなり違和感がある。だがもちろん、誰もそんな事は忠告出来ない。理由は簡単。紅蓮を怒らせると怖いからだ。
「ですが紅蓮様、良いのですか? 人間には干渉できないのでは?」
黄角のその言葉で、紅蓮は眉間に皺を寄せる。
「貴様が失敗するから、我が行かねばならなくなったんだろーが! ちぃとは反省せいや!」
「ひぃぃっ!すいません!」
黄角は怯えて、縮こまった。
「それに人間には手を出さぬ。あくまでも我は銀杏に話をつけるだけ。戦う気もない。まぁ、奴の返答次第ではあるがな」
「わかりました。留守はお任せください。お気をつけて」
「うむ、行ってくる......神速歩!」
印を結び、高速移動の術を発動する。次の瞬間には、紅蓮は霧隠れの村についていた。
「むむっ! 何だこれは......まるで都ではないか! 確かに数日前までは、朽ちかけた家が数件あるだけの寂れた村だったはず。一体何が起こったと言うのだ?」
村の入り口で、紅蓮は立ち尽くした。目前には、立派な屋敷が何棟も並んでおり、暖簾のかかった商店もいくつか見える。
紅蓮が呆然と屋敷を眺めていると、中から人が出てきた。人の良さそうな中年の男だ。しかも満面の笑みである。
「お嬢ちゃん、そのいでたち......もしかして銀杏様のお知り合いかい?」
「なんだ貴様は。人間ごときが軽々しく話しかけるでない。我は厄神。名は紅蓮なるぞ。恐れるがいい......だが丁度良いな。我は確かに銀杏に用事がある。即座に案内せよ」
「やっぱりそうか。いやね、そろそろ知り合いの狼娘が、この新都にやってくると、銀杏様がおっしゃってたんでね。一目でわかったよ。ささ、こっちだよ」
新都? 霧隠れの村ではないのか?場所を間違ったのだろうか。だがこの男は銀杏の元へ案内してくれると言う。
案内されるままに進む。
「ささ、まずはこちらで旅の疲れを癒してください。ここはね、風呂屋です。きっと都の方からも、この追放の都を訪ねてくる人がいるだろうってんでね、旅人向けの施設も結構あるんですよ。まぁ、ここの住人も触れ合いの場として活用してますがね」
「な、風呂、だと?」
中に入ると番頭がおり、いらっしゃいと声をかけてきた。
暖簾が二つかかっており、男湯、女湯、と書いてある。
(これは面白い。人間が集団で風呂に入ると言う訳か)
紅蓮は初めての経験に心を躍らせていた。そして男湯の方に入り、驚く男たちを尻目に服を脱ぎ捨てる。
番頭が慌てて止めに入り、事無きを得る。
「ふーっ! 極楽、極楽♡」
幸せそうに湯船に浸かる紅蓮に興味を持ったのか、女たちが自然と周りに集まる。いつしか紅蓮は、彼女たちと仲良くなっていた。
(人間と関わってしまったな。だが、まぁいい。今回は厄災を与えにきた訳ではないからな)
そんな事を考えながら、銀牙にあった時の事を考え、丹念に体を洗う、紅蓮であった。
紅蓮は妹を溺愛していた。妹が死んだ時、彼女は世界を滅ぼそうとすら考えた程だ。彼女には、それを行うだけの力があった。
彼女は厄神。増えすぎた人間を 、疫病や災害で減らす役割を持っている。
だが彼女は直接、その役割を実行する事は出来ない。現世(うつしよ)の人間を常世に招き、眷属とする。彼らに力を分け与え、役割を実行させるのだ。
だが、その役割を果たすべく使命を与えた二人の眷属は、行方を眩ましたままだ。もう数日が過ぎている。
災害の銀牙。疫病の緑爪。やはりどちらも死んだと考えるのが妥当かもしれない。
銀牙は戦死した、と彼の配下の物ノ怪から聞いてはいたが、信じられなかった。信じたくなかった。
紅蓮は彼を気にっていた。思いは告げていないが、愛していた。
「銀牙......もう一度逢いたいぞ......」
溜息と共に、独り言が漏れる。
紅蓮と物ノ怪たちの住まう宮殿は、黄泉の国に入ってすぐの所にある。もしも生者が黄泉の国に迷い込んで来た場合、送り返す役割があるのだ。
だが死者の魂に出会う事はない。高くそびえる壁の向こうに、死者の住む区域がある。死んだものは、直接そこへ行く事になっているのだ。
(ああ、いっその事、死んでしまおうか。そうすればお前に逢えるのか?銀牙。それに、輝夜にも逢えるしな......)
いつも考えては見る。だが、彼女は厄神。大切な役目がある。そう易々と死ぬわけには行かない。
「ご報告します! 紅蓮様!」
紅蓮の物思いを打ち消すように、配下の物ノ怪が声を張り上げる。いつのまに部屋に入ってきたのだろう。ここは紅蓮の書斎だ。鍵はかけていない為、誰でも入室出来るが、ノックは義務付けている。それが聞こえないほどに、紅蓮は思考に集中していたようだ。
「やかましいな。一体何事だ」
「はい!先程、緑爪様の配下の鼠が一匹帰還致しまして......緑爪様は戦死した模様です」
やはりか......。どうやら相当な手練れが、あの村にはいるようだ。紅蓮は深くため息をつく。
「予想はしていた。もう下がっていいぞ」
紅蓮は物ノ怪に命じたが、下がる気配はない。
「もう一つご報告がございます。銀牙様は、生きておいでです」
「な!? なんだと!」
何という事だ!良かった!生きていてくれた!紅蓮の顔が、歓喜にほころぶ。
だが、生きていたのならば、何故連絡をよこさないのか。今度はその疑念が頭をよぎる。
「して、銀牙は今どこにおるのだ」
「はっ。銀牙様は現在、白金と名を変え、霧隠れの村に滞在しております。どうやら、守り神である銀杏と、恋仲になったようです」
「なんだとぉー!」
怒りに血液が沸騰する。
「おのれ小娘! 我の愛しい人を、横取りするとは、不届き千万!許さぬぞ!黄角はおるか!」
「はっ!ここに!」
音もなく現れたのは、紅蓮の眷属最後の一人。黄角である。頭に巨大な角があり、目は一つ。武者のような鎧を身にまとっている。
「軍を全てお前の指揮下とする! 今すぐ霧隠れの村を滅ぼせ! ただし! 銀牙だけは生かして捕らえよ。良いな」
「はっ! 全てこの俺にお任せください! では行ってまいります」
「うむ、任せたぞ!」
来た時と同様に、音もなく消え去る黄角。
(あやつの力は、人間の男を無力化する。銀杏の力は、配下に力を与える能力だと以前聞いた。侍の男と、陰陽師の男が主力らしい。其奴らさえ封じてしまえば、容易く打ち倒せよう)
紅蓮は安らかな気持ちになった。まもなく銀牙に逢える。そうしたら......今こそ想いを伝えよう。愛していると。
それから数刻が経ち日も暮れ始めた頃。ようやく黄角が帰還した。
「おお、帰ったか。銀牙はどこなのだ?早く会わせてくれ」
紅蓮は、はやる気持ちを抑える事が出来なかった。
「そ、それがその、任務に、失敗致しました......」
「なんだと貴様! よくもおめおめと逃げ帰ってきたな!」
紅蓮は凄まじい形相で激昂する。
「ひぃぃっっ!申し訳ございません! 報告をと思いまして!その......聞いていた情報と全く違い、敵の主力に男はおりませんでした。そ、そのかわり、妖艶な美女と、美少女ばかりで......ウヘヘ」
黄角はじゅるりとヨダレをすする。
「つ、つまり、敵の主力はどういう訳か、女ばかりだったのです。俺の能力は通じませんでした。しかも、滅法強く......グフ♡」
「もう良い! 下がれ!」
「はっ! 」
黄角が姿を消すと、紅蓮は部屋中の装飾品に当たり散らし、壊しまくった。
「おのれ! 銀杏め! この上は、我が自ら赴いてくれるわ!」
紅蓮はふんふんと鼻歌を歌いながら、旅支度を始めた。彼女は感情の起伏が激しいのだ。霧隠れの村に行けば銀牙に逢えると考え、すでに上機嫌である。
人間に直接干渉してはいけない為、紅蓮は長らく宮殿から出ていない。常世に行くのは久しぶりであり、それも楽しみの一つであった。
「黄角よ!今一度参れ!」
「はっ! およびですか!?」
黄角は若干慌てながら、素早く姿を現した。
「我はちぃと、霧隠れの村に行ってくる。銀杏に話を付けにな」
よいしょとリュックを背負う紅蓮。和装姿には、かなり違和感がある。だがもちろん、誰もそんな事は忠告出来ない。理由は簡単。紅蓮を怒らせると怖いからだ。
「ですが紅蓮様、良いのですか? 人間には干渉できないのでは?」
黄角のその言葉で、紅蓮は眉間に皺を寄せる。
「貴様が失敗するから、我が行かねばならなくなったんだろーが! ちぃとは反省せいや!」
「ひぃぃっ!すいません!」
黄角は怯えて、縮こまった。
「それに人間には手を出さぬ。あくまでも我は銀杏に話をつけるだけ。戦う気もない。まぁ、奴の返答次第ではあるがな」
「わかりました。留守はお任せください。お気をつけて」
「うむ、行ってくる......神速歩!」
印を結び、高速移動の術を発動する。次の瞬間には、紅蓮は霧隠れの村についていた。
「むむっ! 何だこれは......まるで都ではないか! 確かに数日前までは、朽ちかけた家が数件あるだけの寂れた村だったはず。一体何が起こったと言うのだ?」
村の入り口で、紅蓮は立ち尽くした。目前には、立派な屋敷が何棟も並んでおり、暖簾のかかった商店もいくつか見える。
紅蓮が呆然と屋敷を眺めていると、中から人が出てきた。人の良さそうな中年の男だ。しかも満面の笑みである。
「お嬢ちゃん、そのいでたち......もしかして銀杏様のお知り合いかい?」
「なんだ貴様は。人間ごときが軽々しく話しかけるでない。我は厄神。名は紅蓮なるぞ。恐れるがいい......だが丁度良いな。我は確かに銀杏に用事がある。即座に案内せよ」
「やっぱりそうか。いやね、そろそろ知り合いの狼娘が、この新都にやってくると、銀杏様がおっしゃってたんでね。一目でわかったよ。ささ、こっちだよ」
新都? 霧隠れの村ではないのか?場所を間違ったのだろうか。だがこの男は銀杏の元へ案内してくれると言う。
案内されるままに進む。
「ささ、まずはこちらで旅の疲れを癒してください。ここはね、風呂屋です。きっと都の方からも、この追放の都を訪ねてくる人がいるだろうってんでね、旅人向けの施設も結構あるんですよ。まぁ、ここの住人も触れ合いの場として活用してますがね」
「な、風呂、だと?」
中に入ると番頭がおり、いらっしゃいと声をかけてきた。
暖簾が二つかかっており、男湯、女湯、と書いてある。
(これは面白い。人間が集団で風呂に入ると言う訳か)
紅蓮は初めての経験に心を躍らせていた。そして男湯の方に入り、驚く男たちを尻目に服を脱ぎ捨てる。
番頭が慌てて止めに入り、事無きを得る。
「ふーっ! 極楽、極楽♡」
幸せそうに湯船に浸かる紅蓮に興味を持ったのか、女たちが自然と周りに集まる。いつしか紅蓮は、彼女たちと仲良くなっていた。
(人間と関わってしまったな。だが、まぁいい。今回は厄災を与えにきた訳ではないからな)
そんな事を考えながら、銀牙にあった時の事を考え、丹念に体を洗う、紅蓮であった。
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