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第15話 力の使い方。
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漆黒の古城のような独特な趣きのある建物、魔術ギルド。ここで製造されている魔術機構の品々は、もはや人々の生活に無くてはならない物となっている。
魔術機構、そしてその動力源となる魔石を販売している魔術屋では、有料で占いもやっている。
ギルドは魔術屋の他にも、罪人を捕まえて裁く「裁定者」の派遣、城への王宮魔術士の派遣、傭兵、魔術学校の経営、等々幅広く手がけている。
俺の保護者である賢者オースティンがギルドマスターを務める、王都最大のギルドだ。
俺が今、目指す物の答え。きっとここにはそれがある。
そんな思いで足早に向かう。到着すると、賢者オースティンが入り口の所で待っていてくれた。彼のスキルは、先人達の膨大な「記憶の貯蔵庫」にアクセスする「アカシックレコード」。知りたい事を即座に検索出来、予知に近いような事も出来るらしい。
オースティンの案内で、魔術ギルド内にある彼の執務室に赴く。ゆったりとしたソファーにかけて向かい合うと、彼は静かに話し始めた。
「お前のスキル『ちからをためる』は、非常に特異なスキルだ。その特異性から、使いこなせる者は極めて少ない。と言うよりもティム、お前以外に使いこなせた者は、過去にたったの一人だけだ。お前が二十年も力を溜め続けるまで、私もその特異性には気付いていなかった」
「その一人ってのは、一体誰なんだ爺ちゃん」
「うむ。その前に少し、昔話をしよう。その昔。闇の女神であるテネブラエの眷属、モンスター達が地上を支配していた時代があった。モンスターの奴隷となっていた種族【人間】達の中で、唯一立ち上がった者がいた」
「勇者ライトメインだろ。知ってるよ。て言うか、誰でも知ってる」
「そうだな。誰でも知っている伝説だ。モンスター達を迷宮へと閉じ込めた勇者、ライトメイン。だが彼の素性やそのスキルを知る者はいない。【アカシックレコード】で、真の歴史を紐解く事が出来る私を除いてはな」
そこでオースティンは話を区切り、俺をジッと見つめた。
「まさか、ライトメインが持っていたスキルってのは......」
「そのまさかだ。彼のスキルは【ちからをためる】。お前のスキルと同じだ、ティム。私も最近知ったのだがな」
俺は頭に落雷が落ちたかのような衝撃を受けた。まさか、伝説の勇者のスキルと、俺のスキルが同じだったなんて。
「魔人率いる魔狼が襲撃して来た際、お前が見せた圧倒的な力。アカシックレコードに残る過去の人間達の記憶によれば、勇者ライトメインも同じように凄まじい力で、モンスターを制圧していったようだ。だが彼は二十年も力を溜めてはいない。それどころか、彼は洗礼でスキルをもらったばかりの十五歳の少年だった。しかも最初から、そして常にパワフルに振る舞っていたようだ。つまり、短い【溜め】であっても、強力な力を生み出す方法は存在する」
「そうか。つまりレベルが1になってしまった俺でも、勇者ライトメインのような強さになれる。そう言う訳だな爺ちゃん」
オースティンは大きく頷く。
「そうだ。私が【アカシックレコード】で見つけた、いくつかの手がかりがある。それを頼りに、力の使い方を身につけるのだ。お前は再び強くならなくてはならない。そして英雄の勲章を、必ず取り戻せ」
「勲章の事、知ってたのか爺ちゃん」
「当然だ。テネブラエの力で隠蔽されているものは分からないが、それ以外ならばほぼ把握している。お前が今まで何をしていたのかもな。シュミラに感謝する事だ」
「ああ、そうだな。本当に」
太陽のように優しく暖かい、シュミラの笑顔が目に浮かぶ。
オースティンは「フッ」と笑うと立ち上がり、執務室室の奥にある扉に手をかける。
「では訓練所に移動だ。来い」
「訓練所か。初めてだ」
俺は立ち上がり、オースティンの後に続く。扉の向こうは真っ暗で、何も見えない。
オースティンは迷うことなく中へ入る。俺もそれに倣い、足を進めた。
「なっ、どうなってんだ!?」
真っ暗だった筈の室内は、一瞬にして陽光の差し込む広い部屋へと変わった。見上げると大きな天窓があり、真っ白な雲が浮かんでいるのが見える。
部屋の作りはシンプルだった。床も壁も真っ白で、調度品は何も無い。
振り返ると、いつの間にか扉は閉まっていた。閉じる音は一切しなかった筈なのに、不思議だ。
「先程の扉は魔術だ。ティムは初体験だったか。その名も【魔扉】。思い浮かべた部屋の扉へと【重ねる】事が出来る。簡単に言えば、好きな部屋に移動出来る便利な扉だ」
オースティンはそう言いながら、俺の正面に立った。お互いが向かい合う形だ。
「へぇ。じゃあ入浴中の女の子がいる風呂場へも行けるって訳か」
「まぁな。だがそんな事をすれば、『エッチ!』とビンタを喰らうだけでは済まんぞ。法に触れるからな。裁定者によって裁かれてしまう」
「わかってるよ。冗談さ」
「ならいい。裁定者に目を付けられる事は、死を意味するからな。それが例え、私であっても」
オースティンは一瞬、悲しげな目をした。だがすぐに「フッ」と微笑する。
「さて、訓練を始めよう。私が【アカシックレコード】で掴んだ手がかりは二つ。いずれもライトメイン自身が、友人に語った言葉だ。一つは【力は自分の物だけでは無く、外からも得る事が出来る】と言う物だ」
「外からも? どう言う意味だろう」
「私なりに、いくつかの仮説はある。だがティム、答えはお前自身が見つけるのだ。二つ目は【力は一箇所に集める事で、効果的に高める事が出来る】と言う物だ」
「なるほど。それはわかる気がする。やってみる価値はありそうだ」
今まで俺は、漠然と力を溜めていた。そのせいで、全身のあらゆる力が発揮される事なく溜め込まれていったのだ。モンスターを倒すと体から放たれる不思議な光、通称「経験値」も、昇華される事なく溜められていた。
余談だが、「レベル」の概念があるのは、日常的にモンスターを狩り、「経験値」を取得出来る冒険者のみ。王国軍の兵士や、村を守る騎士にはレベルが無い。
「うむ。以上の事を踏まえ、自分なりに戦ってみろ。考える時間は十分。それが過ぎたら、魔術人形と戦ってもらうぞ」
「たった十分かよ!?」
「ダラダラ考えていても答えは出ない。切迫した危機にこそ、閃きは舞い降りるのだ」
「くそ! わかったよ!」
確かにオースティンの言う事には一理ある。こいつは真剣に取り掛かる必要がありそうだ。オースティンは、こう言った事には手加減しないタチなのだ。下手したら、マジで殺されてしまう可能性もある。
俺は意識を思考に集中した。
まずわかりやすい所から。「力を一箇所に集める」ってのは、練習すれば行けそうな気がする。
魔狼戦でエクストラスキル「究極の肉体」を得た時、俺は拳によって衝撃波を放つ事が出来た。なら、拳に力を集中する事で、衝撃波を撃てるようになるかも知れない。
よし、いっちょやってみっか。
「ふんっ」
右拳に「力」を集中して集める。そしてお気に入りの構え、すなわち左手を前に突き出し、右拳を腰に据えるあの構えを取る。
1、2、3。とりあえず三秒。
「はぁっ! あれ?」
衝撃波は出ない。三秒じゃ足りないのかも知れない。だが力を一箇所に集める事は、割と簡単に出来そうだった。後は溜める時間の調整だ。
何度か時間を変えてチャレンジしてみる。すると十秒溜める事で、威力は弱いが「衝撃波」を撃てる事がわかった。
「よし!」
思わずガッツポーズを取る。ちなみに俺の衝撃波くらいでは、この部屋の壁はびくともしないようだ。
オースティンは、俺の試行錯誤をじっと見つめている。その表情は、いつもより厳しい。
時間はあと五分。よし次、「力は外からも得られる」って奴だ。これはどう言う意味だろうか。
単純に考えれば、外の力......大気中にある「魔素」と呼ばれる魔力の素を吸収するって事だろう。だけどそれじゃ、魔術士がやる事と変わらない。しかも彼らは、印を結んだり、呪文を唱える事でそれを為(な)す。
うーん。それを簡易的に出来るって事なんだろうか。
「爺ちゃん、ライトメインは魔術の素養もあったの?」
俺の質問に、オースティンは片眉をクイッとあげる。
「ん? いや、そんな証言や記録は【アカシックレコード】には無いな」
「そっか......」
だとすれば。もう一つの可能性は、敵の力。攻撃して来た相手の力を吸収するって事かも知れない。
だがそれは、実戦で試すしか無いだろう。
「十分経ったぞ。考えはまとまったか?」
「ああ、なんとなく。とりあえずやってみるさ」
「そうか。いいだろう。戦いの中で見つけるものもある。では【魔術人形】を召喚するぞ」
オースティンはそう言って、宝石を地面においた。それから複雑な印を結び、呪文を唱える。
「出でよ! クリスタル・ファミリア!」
地面に輝く魔法陣が出現し、その中心にある宝石が、みるみる大きな人形へ変化する。
「立て、クリスタル。あの男を倒せ」
まるで糸の切れた操り人形のように、クシャッと項垂れていた「クリスタル」だったが、オースティンの号令によってシャキーン! と立ち上がる。
立ち上がったクリスタルの身長は、俺よりちょっと大きい。その全身は、輝く宝石を滑らかに加工したような姿で、殴られたらすごく痛そうだ。上下の黒い紳士服を身にまとい、顔はしっかりした人間の顔立ちである。中性的な美しい顔で、頭には黒いシルクハットを被っている
「かしこまりました、ご主人様」
クリスタルはオースティンを振り返る事なく答えると、武術のような構えを取った。それは俺の友人、武術士キングスリーを彷彿させる。つまりこいつ、多分強い。
「よっしゃ! かかってこい!」
溜める時間が必要な為、基本的に俺は「待ち」の戦闘スタイルになる。お気に入りの構えを取り、力を溜める。
こいつを倒して、俺はもう一度英雄になる。シュミラ、お前の兄として、お前を守れる男になって見せる!
待ってろよ、シュミラ!
魔術機構、そしてその動力源となる魔石を販売している魔術屋では、有料で占いもやっている。
ギルドは魔術屋の他にも、罪人を捕まえて裁く「裁定者」の派遣、城への王宮魔術士の派遣、傭兵、魔術学校の経営、等々幅広く手がけている。
俺の保護者である賢者オースティンがギルドマスターを務める、王都最大のギルドだ。
俺が今、目指す物の答え。きっとここにはそれがある。
そんな思いで足早に向かう。到着すると、賢者オースティンが入り口の所で待っていてくれた。彼のスキルは、先人達の膨大な「記憶の貯蔵庫」にアクセスする「アカシックレコード」。知りたい事を即座に検索出来、予知に近いような事も出来るらしい。
オースティンの案内で、魔術ギルド内にある彼の執務室に赴く。ゆったりとしたソファーにかけて向かい合うと、彼は静かに話し始めた。
「お前のスキル『ちからをためる』は、非常に特異なスキルだ。その特異性から、使いこなせる者は極めて少ない。と言うよりもティム、お前以外に使いこなせた者は、過去にたったの一人だけだ。お前が二十年も力を溜め続けるまで、私もその特異性には気付いていなかった」
「その一人ってのは、一体誰なんだ爺ちゃん」
「うむ。その前に少し、昔話をしよう。その昔。闇の女神であるテネブラエの眷属、モンスター達が地上を支配していた時代があった。モンスターの奴隷となっていた種族【人間】達の中で、唯一立ち上がった者がいた」
「勇者ライトメインだろ。知ってるよ。て言うか、誰でも知ってる」
「そうだな。誰でも知っている伝説だ。モンスター達を迷宮へと閉じ込めた勇者、ライトメイン。だが彼の素性やそのスキルを知る者はいない。【アカシックレコード】で、真の歴史を紐解く事が出来る私を除いてはな」
そこでオースティンは話を区切り、俺をジッと見つめた。
「まさか、ライトメインが持っていたスキルってのは......」
「そのまさかだ。彼のスキルは【ちからをためる】。お前のスキルと同じだ、ティム。私も最近知ったのだがな」
俺は頭に落雷が落ちたかのような衝撃を受けた。まさか、伝説の勇者のスキルと、俺のスキルが同じだったなんて。
「魔人率いる魔狼が襲撃して来た際、お前が見せた圧倒的な力。アカシックレコードに残る過去の人間達の記憶によれば、勇者ライトメインも同じように凄まじい力で、モンスターを制圧していったようだ。だが彼は二十年も力を溜めてはいない。それどころか、彼は洗礼でスキルをもらったばかりの十五歳の少年だった。しかも最初から、そして常にパワフルに振る舞っていたようだ。つまり、短い【溜め】であっても、強力な力を生み出す方法は存在する」
「そうか。つまりレベルが1になってしまった俺でも、勇者ライトメインのような強さになれる。そう言う訳だな爺ちゃん」
オースティンは大きく頷く。
「そうだ。私が【アカシックレコード】で見つけた、いくつかの手がかりがある。それを頼りに、力の使い方を身につけるのだ。お前は再び強くならなくてはならない。そして英雄の勲章を、必ず取り戻せ」
「勲章の事、知ってたのか爺ちゃん」
「当然だ。テネブラエの力で隠蔽されているものは分からないが、それ以外ならばほぼ把握している。お前が今まで何をしていたのかもな。シュミラに感謝する事だ」
「ああ、そうだな。本当に」
太陽のように優しく暖かい、シュミラの笑顔が目に浮かぶ。
オースティンは「フッ」と笑うと立ち上がり、執務室室の奥にある扉に手をかける。
「では訓練所に移動だ。来い」
「訓練所か。初めてだ」
俺は立ち上がり、オースティンの後に続く。扉の向こうは真っ暗で、何も見えない。
オースティンは迷うことなく中へ入る。俺もそれに倣い、足を進めた。
「なっ、どうなってんだ!?」
真っ暗だった筈の室内は、一瞬にして陽光の差し込む広い部屋へと変わった。見上げると大きな天窓があり、真っ白な雲が浮かんでいるのが見える。
部屋の作りはシンプルだった。床も壁も真っ白で、調度品は何も無い。
振り返ると、いつの間にか扉は閉まっていた。閉じる音は一切しなかった筈なのに、不思議だ。
「先程の扉は魔術だ。ティムは初体験だったか。その名も【魔扉】。思い浮かべた部屋の扉へと【重ねる】事が出来る。簡単に言えば、好きな部屋に移動出来る便利な扉だ」
オースティンはそう言いながら、俺の正面に立った。お互いが向かい合う形だ。
「へぇ。じゃあ入浴中の女の子がいる風呂場へも行けるって訳か」
「まぁな。だがそんな事をすれば、『エッチ!』とビンタを喰らうだけでは済まんぞ。法に触れるからな。裁定者によって裁かれてしまう」
「わかってるよ。冗談さ」
「ならいい。裁定者に目を付けられる事は、死を意味するからな。それが例え、私であっても」
オースティンは一瞬、悲しげな目をした。だがすぐに「フッ」と微笑する。
「さて、訓練を始めよう。私が【アカシックレコード】で掴んだ手がかりは二つ。いずれもライトメイン自身が、友人に語った言葉だ。一つは【力は自分の物だけでは無く、外からも得る事が出来る】と言う物だ」
「外からも? どう言う意味だろう」
「私なりに、いくつかの仮説はある。だがティム、答えはお前自身が見つけるのだ。二つ目は【力は一箇所に集める事で、効果的に高める事が出来る】と言う物だ」
「なるほど。それはわかる気がする。やってみる価値はありそうだ」
今まで俺は、漠然と力を溜めていた。そのせいで、全身のあらゆる力が発揮される事なく溜め込まれていったのだ。モンスターを倒すと体から放たれる不思議な光、通称「経験値」も、昇華される事なく溜められていた。
余談だが、「レベル」の概念があるのは、日常的にモンスターを狩り、「経験値」を取得出来る冒険者のみ。王国軍の兵士や、村を守る騎士にはレベルが無い。
「うむ。以上の事を踏まえ、自分なりに戦ってみろ。考える時間は十分。それが過ぎたら、魔術人形と戦ってもらうぞ」
「たった十分かよ!?」
「ダラダラ考えていても答えは出ない。切迫した危機にこそ、閃きは舞い降りるのだ」
「くそ! わかったよ!」
確かにオースティンの言う事には一理ある。こいつは真剣に取り掛かる必要がありそうだ。オースティンは、こう言った事には手加減しないタチなのだ。下手したら、マジで殺されてしまう可能性もある。
俺は意識を思考に集中した。
まずわかりやすい所から。「力を一箇所に集める」ってのは、練習すれば行けそうな気がする。
魔狼戦でエクストラスキル「究極の肉体」を得た時、俺は拳によって衝撃波を放つ事が出来た。なら、拳に力を集中する事で、衝撃波を撃てるようになるかも知れない。
よし、いっちょやってみっか。
「ふんっ」
右拳に「力」を集中して集める。そしてお気に入りの構え、すなわち左手を前に突き出し、右拳を腰に据えるあの構えを取る。
1、2、3。とりあえず三秒。
「はぁっ! あれ?」
衝撃波は出ない。三秒じゃ足りないのかも知れない。だが力を一箇所に集める事は、割と簡単に出来そうだった。後は溜める時間の調整だ。
何度か時間を変えてチャレンジしてみる。すると十秒溜める事で、威力は弱いが「衝撃波」を撃てる事がわかった。
「よし!」
思わずガッツポーズを取る。ちなみに俺の衝撃波くらいでは、この部屋の壁はびくともしないようだ。
オースティンは、俺の試行錯誤をじっと見つめている。その表情は、いつもより厳しい。
時間はあと五分。よし次、「力は外からも得られる」って奴だ。これはどう言う意味だろうか。
単純に考えれば、外の力......大気中にある「魔素」と呼ばれる魔力の素を吸収するって事だろう。だけどそれじゃ、魔術士がやる事と変わらない。しかも彼らは、印を結んだり、呪文を唱える事でそれを為(な)す。
うーん。それを簡易的に出来るって事なんだろうか。
「爺ちゃん、ライトメインは魔術の素養もあったの?」
俺の質問に、オースティンは片眉をクイッとあげる。
「ん? いや、そんな証言や記録は【アカシックレコード】には無いな」
「そっか......」
だとすれば。もう一つの可能性は、敵の力。攻撃して来た相手の力を吸収するって事かも知れない。
だがそれは、実戦で試すしか無いだろう。
「十分経ったぞ。考えはまとまったか?」
「ああ、なんとなく。とりあえずやってみるさ」
「そうか。いいだろう。戦いの中で見つけるものもある。では【魔術人形】を召喚するぞ」
オースティンはそう言って、宝石を地面においた。それから複雑な印を結び、呪文を唱える。
「出でよ! クリスタル・ファミリア!」
地面に輝く魔法陣が出現し、その中心にある宝石が、みるみる大きな人形へ変化する。
「立て、クリスタル。あの男を倒せ」
まるで糸の切れた操り人形のように、クシャッと項垂れていた「クリスタル」だったが、オースティンの号令によってシャキーン! と立ち上がる。
立ち上がったクリスタルの身長は、俺よりちょっと大きい。その全身は、輝く宝石を滑らかに加工したような姿で、殴られたらすごく痛そうだ。上下の黒い紳士服を身にまとい、顔はしっかりした人間の顔立ちである。中性的な美しい顔で、頭には黒いシルクハットを被っている
「かしこまりました、ご主人様」
クリスタルはオースティンを振り返る事なく答えると、武術のような構えを取った。それは俺の友人、武術士キングスリーを彷彿させる。つまりこいつ、多分強い。
「よっしゃ! かかってこい!」
溜める時間が必要な為、基本的に俺は「待ち」の戦闘スタイルになる。お気に入りの構えを取り、力を溜める。
こいつを倒して、俺はもう一度英雄になる。シュミラ、お前の兄として、お前を守れる男になって見せる!
待ってろよ、シュミラ!
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