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第1部
第50話 「夢にまで見たスピード・プリンセス?」
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クマが溺死したのを見計らって、コモノたちがクマのもとへ向かい何やら作業を始めた。 血抜きとやらを行うそうだが、マリカは興味がないからノー・タッチだ。 それよりもマリカはさっきの現象のことをミツキに訊きたくて仕方がなかった。
「ねえミツキ、さっきのはなんだったの? あなたの黄金の輝きに私も包まれたと思ったら、あなた以外は止まってた」
ミツキはマリカにだけ聞こえる小さな声で答える。
「止まってたわけじゃないさ。 すごくゆっくり動いてただけ」
ミツキの声が小さいので、自然とマリカも小さな声になる。
「じゃあクイックリングは自分が素早くなるんじゃなくて、周囲を遅くするから素早いように見えるということ?」
「いや、クイックリングは自分の時間の流れを速めることで行動速度を上げるんだ。 そして修練しだいで、その効果を他の人や物に広げられる。 俺はさっき、加速の範囲をマリカにまで広げたんだ」
「するとさっきのが、夢にまで見たスピード・プリンセス? 思ってたのと違うんだけど」
マリカは、スピード・プリンセスになれば自分が風を切って素早く動けるのだと思っていた。 さっきのあれでは、マリカ自身の動く速度は普段と変わらない。 少なくとも体感的には。
マリカの様子を窺っていたミツキが興味津々な様子で尋ねる。
「ねえ、スピード・プリンセスってなに?」
マリカは赤面する。 あら、うっかり口に出しちゃってた? 「スピード・プリンセス」は私の中でだけ使うはずのプライベートな言葉なのに。 自分で自分のことをプリンセスだなんて、やだ恥ずかしい。
でもミツキ相手ならなんとかなるかも。 「スピード」はともかく「プリンセス」の意味まではミツキは知らないかも。 マリカはミツキの無知に賭けることにした。
「スピード・プリンセスはね、『素早い女の子』を意味する言葉なの」
しかしミツキは、からかうように言う。
「『素早いお姫さま』じゃないの?」
(くっ、意味を知ってたのね! 分かってて尋ねるなんてイヤらしい子!)
でもミツキ相手なら、まだ手遅れじゃないかも。 ここで諦めたら一生プリンセス呼ばわり。 ここが踏ん張りどころよ、マリカ!
マリカは乱雑な嘘をミツキにぶつける。
「えっとね、『プリンセス』には意味が2つあるの。 1つはあなたの言う通り『お姫さま』っていう意味だけど、それに加えて『単なる普通の女の子』って意味もあるのよ? この2つ目の意味は知らない人も多いのだけれど... 『スピード・プリンセス』の『プリンセス』はそっちの意味なの」
「ふーん、『プリンセス』って2つ意味があったのか」
ミツキはマリカが3秒で思い付いた嘘にコロリと騙されてしまった。
ミツキは平静を装うが、悔しさを隠し切れない。
「まあ俺にとっちゃ、そんなのどうでもいいことだけどな」
おまけに捨てゼリフまで吐いてしまった。 これでは「悔しいです」と宣言するようなものだ。
マリカはミツキを諭すように優しく言う。
「まあ、ミツキったら。 どうでもいいだなんて言わないで? 勉強になって良かったじゃない」
しかし彼女の胸中は発言とは正反対である。
(あなたの言う通りよミツキ、『プリンセス』の意味なんてどうでもいいことなの。 だからこの話はもうお終いにしましょう)
「ねえミツキ、さっきのはなんだったの? あなたの黄金の輝きに私も包まれたと思ったら、あなた以外は止まってた」
ミツキはマリカにだけ聞こえる小さな声で答える。
「止まってたわけじゃないさ。 すごくゆっくり動いてただけ」
ミツキの声が小さいので、自然とマリカも小さな声になる。
「じゃあクイックリングは自分が素早くなるんじゃなくて、周囲を遅くするから素早いように見えるということ?」
「いや、クイックリングは自分の時間の流れを速めることで行動速度を上げるんだ。 そして修練しだいで、その効果を他の人や物に広げられる。 俺はさっき、加速の範囲をマリカにまで広げたんだ」
「するとさっきのが、夢にまで見たスピード・プリンセス? 思ってたのと違うんだけど」
マリカは、スピード・プリンセスになれば自分が風を切って素早く動けるのだと思っていた。 さっきのあれでは、マリカ自身の動く速度は普段と変わらない。 少なくとも体感的には。
マリカの様子を窺っていたミツキが興味津々な様子で尋ねる。
「ねえ、スピード・プリンセスってなに?」
マリカは赤面する。 あら、うっかり口に出しちゃってた? 「スピード・プリンセス」は私の中でだけ使うはずのプライベートな言葉なのに。 自分で自分のことをプリンセスだなんて、やだ恥ずかしい。
でもミツキ相手ならなんとかなるかも。 「スピード」はともかく「プリンセス」の意味まではミツキは知らないかも。 マリカはミツキの無知に賭けることにした。
「スピード・プリンセスはね、『素早い女の子』を意味する言葉なの」
しかしミツキは、からかうように言う。
「『素早いお姫さま』じゃないの?」
(くっ、意味を知ってたのね! 分かってて尋ねるなんてイヤらしい子!)
でもミツキ相手なら、まだ手遅れじゃないかも。 ここで諦めたら一生プリンセス呼ばわり。 ここが踏ん張りどころよ、マリカ!
マリカは乱雑な嘘をミツキにぶつける。
「えっとね、『プリンセス』には意味が2つあるの。 1つはあなたの言う通り『お姫さま』っていう意味だけど、それに加えて『単なる普通の女の子』って意味もあるのよ? この2つ目の意味は知らない人も多いのだけれど... 『スピード・プリンセス』の『プリンセス』はそっちの意味なの」
「ふーん、『プリンセス』って2つ意味があったのか」
ミツキはマリカが3秒で思い付いた嘘にコロリと騙されてしまった。
ミツキは平静を装うが、悔しさを隠し切れない。
「まあ俺にとっちゃ、そんなのどうでもいいことだけどな」
おまけに捨てゼリフまで吐いてしまった。 これでは「悔しいです」と宣言するようなものだ。
マリカはミツキを諭すように優しく言う。
「まあ、ミツキったら。 どうでもいいだなんて言わないで? 勉強になって良かったじゃない」
しかし彼女の胸中は発言とは正反対である。
(あなたの言う通りよミツキ、『プリンセス』の意味なんてどうでもいいことなの。 だからこの話はもうお終いにしましょう)
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