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第2部
第38話 「その女を置いて帰んなさい」
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マリカの《治癒》によってオリエの頬の傷は完全に治った。 元通りの美肌である。
「綺麗に治ったじゃねえか。 これで文句ねえだろ」
ジュニアはマリカの肩を抱き部屋の外へ向かう。 自宅にマリカを連れ帰って、心身ともに弱り切ったマリカを優しく労りマリカに少しでも愛されたい。 マリカは嫌がる素振りも見せず、ジュニアに抱かれるままに歩く。
マリカはもう精根尽き果てていた。 ミツキを失い、拳銃を奪われ、オリエに対する恐怖を骨身に刻み込まれた。 おまけにジュニアは優しくしてくれる。 マリカがジュニアを受け入れる条件は整っていた。
(もうジュニアに身を任せよう。 顔はとっても不細工だけど、私に頼れるのはもうこの人だけ)
マリカの中で実家の危機は、もはや遠い出来事である。 アガマサラ市への帰還など絵空事だったのだ。
部屋の外へ出ようとする2人の背中に、オリエの冷たい声が掛かる。
「待ちなさい」
振り返るジュニア。
「なんだ?」
「その女はここに置いていきなさい」
「なんだと?」
「その女は共用女にすることにしたわ」
オリエの言葉に、マリカの顔が青ざめる。
(共用女...? この私が共用女ですって?)
まるで悪い夢を見ているよう。 いま起こっていることが現実だと信じられなかった。 流刑地中の男に恋い求められる自分が共用女になることなど決してないと、マリカは心のどこかで高をくくっていた。
マリカの頭上でオリエに怒鳴るジュニアの声が聞こえる。
「なんだと!? 約束が違う!」
マリカはジュニアがもらう約束だった。
「あんたには悪いけど、気が変わったの。 その女は共用女に落としてやる」
オリエの言葉に怯えるマリカはジュニアの服をギュッと掴み、助けを求めてしがみつく。 助けてジュニア。 わたし怖い。 ジュニアはマリカを抱く腕に力をこめて、それに応える。
オリエはジュニアに向かって言う。
「アンタはもう帰っていいわよ。 その女を置いて帰んなさい」
とうてい承服できないジュニアが立ち尽くしていると、オリエが再び口を開いた。
「帰るついでに流刑地じゅうに触れ回ってちょうだい。 今日の... そうね午後8時から中央広場でマキハタヤ・マリカの輪姦ショーを開催するから集まれって。 その女の共用女としての第一歩よ。 そんな顔しないで顔役さん、あなたに最初にマリカを犯らせてあげるから」
オリエは怯えるマリカを見て、反応を楽しむように付け加える。
「うふふっ、今夜は楽しい夜になりそう。 ね、マリカさん?」
「ひ、避妊は...?」
見当違いとも言える質問だが、極限的な精神状態にあるマリカは男たちに犯される恐怖を飛び越えて、身寄りのない流刑地で妊娠することを恐れた。
「避妊? あははッ。 避妊なんてさせるわけないじゃない。 あんたバカ? 『避妊は?』だって。 サイコー。 あーはっはっはっ! 妊娠しないように、せいぜい踏ん張りなさい」
マリカは何も言えず、青ざめた唇をわなわなと震わせるばかり。
そんなオリエとマリカを眺めながらミツキは何かを考える様子だった。
「綺麗に治ったじゃねえか。 これで文句ねえだろ」
ジュニアはマリカの肩を抱き部屋の外へ向かう。 自宅にマリカを連れ帰って、心身ともに弱り切ったマリカを優しく労りマリカに少しでも愛されたい。 マリカは嫌がる素振りも見せず、ジュニアに抱かれるままに歩く。
マリカはもう精根尽き果てていた。 ミツキを失い、拳銃を奪われ、オリエに対する恐怖を骨身に刻み込まれた。 おまけにジュニアは優しくしてくれる。 マリカがジュニアを受け入れる条件は整っていた。
(もうジュニアに身を任せよう。 顔はとっても不細工だけど、私に頼れるのはもうこの人だけ)
マリカの中で実家の危機は、もはや遠い出来事である。 アガマサラ市への帰還など絵空事だったのだ。
部屋の外へ出ようとする2人の背中に、オリエの冷たい声が掛かる。
「待ちなさい」
振り返るジュニア。
「なんだ?」
「その女はここに置いていきなさい」
「なんだと?」
「その女は共用女にすることにしたわ」
オリエの言葉に、マリカの顔が青ざめる。
(共用女...? この私が共用女ですって?)
まるで悪い夢を見ているよう。 いま起こっていることが現実だと信じられなかった。 流刑地中の男に恋い求められる自分が共用女になることなど決してないと、マリカは心のどこかで高をくくっていた。
マリカの頭上でオリエに怒鳴るジュニアの声が聞こえる。
「なんだと!? 約束が違う!」
マリカはジュニアがもらう約束だった。
「あんたには悪いけど、気が変わったの。 その女は共用女に落としてやる」
オリエの言葉に怯えるマリカはジュニアの服をギュッと掴み、助けを求めてしがみつく。 助けてジュニア。 わたし怖い。 ジュニアはマリカを抱く腕に力をこめて、それに応える。
オリエはジュニアに向かって言う。
「アンタはもう帰っていいわよ。 その女を置いて帰んなさい」
とうてい承服できないジュニアが立ち尽くしていると、オリエが再び口を開いた。
「帰るついでに流刑地じゅうに触れ回ってちょうだい。 今日の... そうね午後8時から中央広場でマキハタヤ・マリカの輪姦ショーを開催するから集まれって。 その女の共用女としての第一歩よ。 そんな顔しないで顔役さん、あなたに最初にマリカを犯らせてあげるから」
オリエは怯えるマリカを見て、反応を楽しむように付け加える。
「うふふっ、今夜は楽しい夜になりそう。 ね、マリカさん?」
「ひ、避妊は...?」
見当違いとも言える質問だが、極限的な精神状態にあるマリカは男たちに犯される恐怖を飛び越えて、身寄りのない流刑地で妊娠することを恐れた。
「避妊? あははッ。 避妊なんてさせるわけないじゃない。 あんたバカ? 『避妊は?』だって。 サイコー。 あーはっはっはっ! 妊娠しないように、せいぜい踏ん張りなさい」
マリカは何も言えず、青ざめた唇をわなわなと震わせるばかり。
そんなオリエとマリカを眺めながらミツキは何かを考える様子だった。
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