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第2部
第39話 「スピード・プリンセス×2」
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オリエの哄笑が続くなかで、ジュニアがマリカを抱く腕を離しマリカをそっと脇へどける。
どうしたの? マリカがそう疑問に思う間もあらばこそ、ジュニアはその巨体でもって猛然とオリエに向かってチャージした。 オリエを亡き者にして一挙に問題をかたずようというのだ。
オリエは拳銃を手にしていたが、銃に不慣れなこともあり突然のチャージに対応できない。 まごつくオリエに猛然と迫るジュニア。
雄牛のごときジュニアの巨体に激突されればオリエの圧死は必至。 オリエが「ひっ」と声を上げ身をすくませたそのとき! オリエとジュニアの間に激しく光る小さな人影が割り込み、何がどうなったかジュニアが転倒した。
だがオリエの危機はまだ終わらない。 転倒したジュニアがオリエのほうへと勢いよく倒れ込む。 オリエがジュニアの巨体に押しつぶされる!
と思われた瞬間、オリエの周囲ですべてが停止し世界が低いざわめきで満たされた。 加速したミツキがオリエに触れて、彼女をスピード・プリンセスにせしめたのである。
「なんなのこれ?」
初めてのスピード・プリンセスにとまどうオリエ。
ミツキは素っ気ない口調でオリエに指示を出す。
「こっちへおいで。 ジュニアの体に潰されちゃうよ」
ミツキに手を引かれて、オリエはジュニアが倒れ込む予定の地点から遠ざかった。 ミツキがオリエの手を離すと、オリエの世界に音と動きが戻り、ジュニアの巨体が予定地に倒れ込んで部屋を揺らす。 ずずーん。
「今のは何だったの?」
だがミツキはオリエの問いかけに答えず、突き放すように言う。
「早くなんとかしなよ」
ジュニアはミツキに膝の裏を何度も何度も蹴られて転んだだけだ。 起き上がればまた襲って来る。
促されてオリエは、床に転ぶジュニアに銃を突き付ける。
「早くこの部屋から出て行きな。 下手な真似をしたら撃ち殺すよ」
堂に入った恫喝ぶりだ。
ジュニアに銃を突き付けながらオリエはミツキのほうを向いた。
「よくやったわ、トオルちゃん」
ジュニアに放ったのとは対照的な猫なで声である。
◇❖◇
無言で床から起き上がったジュニアは、オリエのほうを一顧だにせずマリカに歩み寄り肩を抱いた。
「帰ろう、マリカ」
そのジュニアの言動にオリエは激高した。
「その女は置いてけっつってんだろうが!」
ジュニアはオリエを無視して、マリカの肩を抱いたまま部屋の戸口から連れ出そうとする。
このまま帰れるかも。 マリカが胸を撫で下ろしつつあるとき、部屋の中からパンと発砲音。 ジュニアの動きが止まり、ジュニアが声を漏らす。
「ぐっ」
まさかジュニアが撃たれた!? マリカが信じられない思いでいると、パン、パン、パンと規則正しい間隔で3回の発砲音。 オリエは拳銃に残っていた4発の銃弾すべてをジュニア目がけて撃ち尽くしてしまった。
ジュニアの体がぐらりと前に傾く。
「マ、リカ...」
ジュニアは苦しそうに呻くと、マリカを抱いていた腕をほどいて前のめりに廊下に倒れ込んだ。 彼が腕をほどいたのは自分が倒れるのにマリカを巻き込まないためだ。
ズーンと大きな音を立てて倒れ込んだジュニアの首から背中にかけて、おびただしい量の血で真っ赤に染まっている。 どこをどう撃たれたのかはっきりしないが、致命傷なのはマリカにも分かった。
「ジュニアっ!」
拳銃で人を撃つなんて! マリカもさっきオリエ目がけて発砲したが、あれはあくまでも威嚇射撃のつもりだった。 オリエは4発もの弾丸を冷徹にジュニアの体に撃ち込んだのだ。
マリカの目前でジュニアの体から大量の血が流れだし、彼の衣服をずぶ濡れにしてゆく。
呆然としている暇はない。 早く《治癒》の呪文を唱えなくては。 マリカはオリエの苛烈さに動揺する心を鎮められないままに、詠唱を開始する。
「ワーラワン・レストース...」
だが呪文の途中で、マリカの背中をドンっと衝撃が襲う。
「きゃっ」 悲鳴を上げるマリカ。
オリエがマリカの背中を突き飛ばしたのだ。
「余計なことすんじゃないわよ。 共用女の分際で」
「ちが...」 私は共用女なんかじゃない。
「治したら意味ないじゃん!」 私が撃った銃弾が無駄になるじゃん。
マリカは弱々しく哀願する。
「ジュニアを治させて。 お願いよ」
オリエと問答しているうちにもジュニアは着実に死に近づいている。 《治癒》を使えば確実に助かるが、オリエがそれを許してくれない。 ジュニアを助けたところでマリカは共用女にされるのに、ジュニアを助けることさえできない。 あまりにも思うようにならない状況に、とうとうマリカは泣き出してしまった。 うえぇっ、ぐすっ。
涙ながらにマリカはオリエに訴える。
「どうして酷いことばかりするのっ? もう許して」 ミツキはあなたのものになったし、頬の傷だって《治癒》で治したじゃない。
マリカの惨めな姿にオリエは胸がすく思いだった。 ミツキを悪用して驕り高ぶっていた派閥ボスが今、泣きっ面でオリエに情けを乞うているのだ。
「うふふ、いい気味。 もっと泣きなさい」 それが辛酸の味というものよ。 たっぷり舐めなさい。
「うえっ、うぇーん」
泣きじゃくるマリカ。
そのマリカの肩に小さな手が置かれる感触があり、耳元で声がする。
「泣きやみなよ」
そしてマリカの世界が低いざわめきに満ちる。 彼女がかつて何度も体験した世界。 スピード・プリンセスの世界だ。
マリカは泣くのをやめて、声のした方を振り向いた。
「ミツキ...」 あなた私のことを忘れてるんじゃ?
「驚いたでしょ? これはスピード・プリンセス。 いま君の時間は100倍速で流れてるんだ」
「ええ、知っているわ」 スピード・プリンセスって名付けたのは私だもの。
「知ってたの?」 物知りだね。「まあいいや。 オリエの邪魔は入らないから、落ち着いて《治癒》を唱えるといいよ」
見ればオリエはマリカに顔を向けた状態で固まっている。 オリエの顔に張り付くのは「たっぷり舐めなさい」と言わんばかりのドス黒い笑顔。
オリエの笑顔にゾッとして、マリカはオリエから目を背けミツキの可愛い顔へと視線を戻した。
「ありがとうミツキ」 私のことを忘れても、優しいところは変わってないのね。
瀕死のジュニアを治すため、マリカは《治癒》の呪文を詠唱する。
「ワーラワン・レストース・メリトース・ダビノス」
《治癒》の呪文は滞りなく完成し、ジュニアの体が淡く白い光に包まれた。
ジュニアの体組織の修復は遅々として進まないが、それはマリカとジュニアで時間の流れる早さが違うからだ。 スピード・プリンセスが解除されればすぐに、ジュニアは回復を完了するだろう。
「自分の傷も治しなよ。 ひどいことになってるよ?」
マリカの頬はオリエの強烈なビンタで腫れ上がり、オリエの右手についていた血とマリカ自身の血とで顔中が血だらけである。
「うん、そうする」
ミツキの勧めに従ってマリカは自分にも《治癒》をかけた。 淡い光がマリカ自身の体を包み、オリエに痛めつけられた体の痛みが消えてゆく。 《治癒》には疲労回復の効果もあるので頭もスッキリ。 マリカは熟睡から目覚めた直後のようにリフレッシュした。
どうしたの? マリカがそう疑問に思う間もあらばこそ、ジュニアはその巨体でもって猛然とオリエに向かってチャージした。 オリエを亡き者にして一挙に問題をかたずようというのだ。
オリエは拳銃を手にしていたが、銃に不慣れなこともあり突然のチャージに対応できない。 まごつくオリエに猛然と迫るジュニア。
雄牛のごときジュニアの巨体に激突されればオリエの圧死は必至。 オリエが「ひっ」と声を上げ身をすくませたそのとき! オリエとジュニアの間に激しく光る小さな人影が割り込み、何がどうなったかジュニアが転倒した。
だがオリエの危機はまだ終わらない。 転倒したジュニアがオリエのほうへと勢いよく倒れ込む。 オリエがジュニアの巨体に押しつぶされる!
と思われた瞬間、オリエの周囲ですべてが停止し世界が低いざわめきで満たされた。 加速したミツキがオリエに触れて、彼女をスピード・プリンセスにせしめたのである。
「なんなのこれ?」
初めてのスピード・プリンセスにとまどうオリエ。
ミツキは素っ気ない口調でオリエに指示を出す。
「こっちへおいで。 ジュニアの体に潰されちゃうよ」
ミツキに手を引かれて、オリエはジュニアが倒れ込む予定の地点から遠ざかった。 ミツキがオリエの手を離すと、オリエの世界に音と動きが戻り、ジュニアの巨体が予定地に倒れ込んで部屋を揺らす。 ずずーん。
「今のは何だったの?」
だがミツキはオリエの問いかけに答えず、突き放すように言う。
「早くなんとかしなよ」
ジュニアはミツキに膝の裏を何度も何度も蹴られて転んだだけだ。 起き上がればまた襲って来る。
促されてオリエは、床に転ぶジュニアに銃を突き付ける。
「早くこの部屋から出て行きな。 下手な真似をしたら撃ち殺すよ」
堂に入った恫喝ぶりだ。
ジュニアに銃を突き付けながらオリエはミツキのほうを向いた。
「よくやったわ、トオルちゃん」
ジュニアに放ったのとは対照的な猫なで声である。
◇❖◇
無言で床から起き上がったジュニアは、オリエのほうを一顧だにせずマリカに歩み寄り肩を抱いた。
「帰ろう、マリカ」
そのジュニアの言動にオリエは激高した。
「その女は置いてけっつってんだろうが!」
ジュニアはオリエを無視して、マリカの肩を抱いたまま部屋の戸口から連れ出そうとする。
このまま帰れるかも。 マリカが胸を撫で下ろしつつあるとき、部屋の中からパンと発砲音。 ジュニアの動きが止まり、ジュニアが声を漏らす。
「ぐっ」
まさかジュニアが撃たれた!? マリカが信じられない思いでいると、パン、パン、パンと規則正しい間隔で3回の発砲音。 オリエは拳銃に残っていた4発の銃弾すべてをジュニア目がけて撃ち尽くしてしまった。
ジュニアの体がぐらりと前に傾く。
「マ、リカ...」
ジュニアは苦しそうに呻くと、マリカを抱いていた腕をほどいて前のめりに廊下に倒れ込んだ。 彼が腕をほどいたのは自分が倒れるのにマリカを巻き込まないためだ。
ズーンと大きな音を立てて倒れ込んだジュニアの首から背中にかけて、おびただしい量の血で真っ赤に染まっている。 どこをどう撃たれたのかはっきりしないが、致命傷なのはマリカにも分かった。
「ジュニアっ!」
拳銃で人を撃つなんて! マリカもさっきオリエ目がけて発砲したが、あれはあくまでも威嚇射撃のつもりだった。 オリエは4発もの弾丸を冷徹にジュニアの体に撃ち込んだのだ。
マリカの目前でジュニアの体から大量の血が流れだし、彼の衣服をずぶ濡れにしてゆく。
呆然としている暇はない。 早く《治癒》の呪文を唱えなくては。 マリカはオリエの苛烈さに動揺する心を鎮められないままに、詠唱を開始する。
「ワーラワン・レストース...」
だが呪文の途中で、マリカの背中をドンっと衝撃が襲う。
「きゃっ」 悲鳴を上げるマリカ。
オリエがマリカの背中を突き飛ばしたのだ。
「余計なことすんじゃないわよ。 共用女の分際で」
「ちが...」 私は共用女なんかじゃない。
「治したら意味ないじゃん!」 私が撃った銃弾が無駄になるじゃん。
マリカは弱々しく哀願する。
「ジュニアを治させて。 お願いよ」
オリエと問答しているうちにもジュニアは着実に死に近づいている。 《治癒》を使えば確実に助かるが、オリエがそれを許してくれない。 ジュニアを助けたところでマリカは共用女にされるのに、ジュニアを助けることさえできない。 あまりにも思うようにならない状況に、とうとうマリカは泣き出してしまった。 うえぇっ、ぐすっ。
涙ながらにマリカはオリエに訴える。
「どうして酷いことばかりするのっ? もう許して」 ミツキはあなたのものになったし、頬の傷だって《治癒》で治したじゃない。
マリカの惨めな姿にオリエは胸がすく思いだった。 ミツキを悪用して驕り高ぶっていた派閥ボスが今、泣きっ面でオリエに情けを乞うているのだ。
「うふふ、いい気味。 もっと泣きなさい」 それが辛酸の味というものよ。 たっぷり舐めなさい。
「うえっ、うぇーん」
泣きじゃくるマリカ。
そのマリカの肩に小さな手が置かれる感触があり、耳元で声がする。
「泣きやみなよ」
そしてマリカの世界が低いざわめきに満ちる。 彼女がかつて何度も体験した世界。 スピード・プリンセスの世界だ。
マリカは泣くのをやめて、声のした方を振り向いた。
「ミツキ...」 あなた私のことを忘れてるんじゃ?
「驚いたでしょ? これはスピード・プリンセス。 いま君の時間は100倍速で流れてるんだ」
「ええ、知っているわ」 スピード・プリンセスって名付けたのは私だもの。
「知ってたの?」 物知りだね。「まあいいや。 オリエの邪魔は入らないから、落ち着いて《治癒》を唱えるといいよ」
見ればオリエはマリカに顔を向けた状態で固まっている。 オリエの顔に張り付くのは「たっぷり舐めなさい」と言わんばかりのドス黒い笑顔。
オリエの笑顔にゾッとして、マリカはオリエから目を背けミツキの可愛い顔へと視線を戻した。
「ありがとうミツキ」 私のことを忘れても、優しいところは変わってないのね。
瀕死のジュニアを治すため、マリカは《治癒》の呪文を詠唱する。
「ワーラワン・レストース・メリトース・ダビノス」
《治癒》の呪文は滞りなく完成し、ジュニアの体が淡く白い光に包まれた。
ジュニアの体組織の修復は遅々として進まないが、それはマリカとジュニアで時間の流れる早さが違うからだ。 スピード・プリンセスが解除されればすぐに、ジュニアは回復を完了するだろう。
「自分の傷も治しなよ。 ひどいことになってるよ?」
マリカの頬はオリエの強烈なビンタで腫れ上がり、オリエの右手についていた血とマリカ自身の血とで顔中が血だらけである。
「うん、そうする」
ミツキの勧めに従ってマリカは自分にも《治癒》をかけた。 淡い光がマリカ自身の体を包み、オリエに痛めつけられた体の痛みが消えてゆく。 《治癒》には疲労回復の効果もあるので頭もスッキリ。 マリカは熟睡から目覚めた直後のようにリフレッシュした。
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