能力者は正体を隠す

ユーリ

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幼児編

新しい家

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「着いたよ、ソラ。」

え、ここ?
ウソでしょ、だって、この家・・・

「うっわあ、やっぱりお金持ちだあ・・・」
思わず声が漏れる。
今はまだ姿を隠しているけど、人はいないし、そんな気配もないから安心だ。

「え、そうかな。本邸よりも結構小さいよ?」
「いやでも、小さいって言っても十分立派な家だし、あの本邸に加えてこんな家まで
持っているなんて、ありえない・・・」

生まれて初めて外に出た五歳児が言うことじゃないだろうなと思いながら言う。
お兄ちゃんは苦笑しながら門を開ける。

「とりあえず、家に入ろう。僕の家の使用人は僕自身が雇っていて、父に仕えているわけではないから安心して。ああでも、紹介するのは落ち着いてからにしようか。」
「うん。」
「よし、じゃあ行こう。」

これから私が生活する場所。
なんだかドキドキするな。
お兄ちゃんと共に扉を開け、家の中に足を踏み入れた。

「お帰りなさいませ、カイ様。」
「ただいま。」

声をかけてくる使用人達に返事をしながら、お兄ちゃんは足を止めない。
ピカピカの階段を上がる。
二階、三階、四階。
なんで子供に四階建ての立派な家をポンと買い与えられるんだろう。
ホント、朱雲家の財力は謎。
四階の、一番奥の部屋の前でお兄ちゃんは立ち止まる。
鍵を開け、中に入る。

「ふーっ」

いつのまにか詰めていた息が零れる。

「ここは、僕の寝室だよ。この家の一階には、使用人の部屋や厨房がある。二階は、全部図書室。蔵書数はかなり多いよ。自由に読んでいいからね。もちろん、持ち出しも大丈夫。三階では食事をしたり、運動ができる。四階の部屋は全部僕の部屋だよ。寝室や修行部屋、勉強部屋があるよ。自由に使って良いからね。」

家に図書室、運動ができる場所。
なんか、すごい!!
特に図書室には心惹かれる。
毎日行けるかも!

「ソラの部屋は、四階に空き部屋が三室あるから、使って良いよ。部屋の使い方は寝室、修行部屋、勉強部屋、でいいかな。」
「うん!ありがとう、お兄ちゃん!」

三室も、いいのかな。 
そう思いつつも、嬉しくてたまらない。
お礼を言うと、お兄ちゃんはちょっと考えてから、ちょっと頬を染めてこう言った。

「ソラ、もしよければ、なんだけど、僕のこと、カイお兄ちゃんって呼んでくれない?」

カイお兄ちゃん・・・

「うん、もちろん!これからよろしくね、カイお兄ちゃん。」

早速そう呼んでみると、カイお兄ちゃんは嬉しそうに笑った。
やっぱり、笑顔が綺麗だなあ。
今は7歳だけど、成長すればモテるんだろうなあと思う。

「ソラ、今日は3月1日で、火曜日なんだ。僕、これからちょっと修行して、朝食を食べてから学校に行かなくちゃいけないんだ。朝食の時にみんなにソラのこと紹介するから、ソラは家で好きなことしてていいよ。」

よし、図書室に行こう!
でもって、本を読みまくる!
うわあ、楽しみ!

「うん、分かった。ところで、修行って何するの?」

ちょっと疑問に思って尋ねてみる。

「えっと、僕もソラも、力を持っているんだけど、その力を使って術を発動できるようになるためには、修行が必要なんだ。まあ、ソラは最初から使えてるけどね。朝と夜に一時間ずつ、修行するのが決まりなんだ。ソラも、する?」

修行は弥生の時からしてた。
修行の内容、同じかなあ?
まあ、私は術が使えているとはいえ、まだまだ未熟だ。
修行は必要。
それに何より、修行は潜在能力を引き出すだけではなく、潜在能力そのものを伸ばせる。

「うん、私もする。」
「じゃあ、行こうか。」
「うん!」

笑顔で頷いてから、ふと考える。
なんで私、今日初めて会った人にこんなに懐いてるんだろう。
弥生の時から、人一倍警戒心は強かったのに。
カイお兄ちゃんには、不思議な魅力がある。
思わずついて行ってしまうような。
この人は大丈夫だ、と何の根拠もないのに安心してしまうんだ。
カイお兄ちゃんと話していると、何だかとても心地良い。
ポカポカと暖かい心に戸惑いを覚えるけど、悪い気分ではないんだ。
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