能力者は正体を隠す

ユーリ

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高校生編 4月

待ちに待った日

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とうとう、この日が来た。
待ち続けていた、この日。

今日、私は光陰学園という高校に入学する。
光陰学園というのは、幼等部から高等部まであるエスカレーター式の学校だ。
私は外部受験の合格生として入学する。
カイお兄ちゃんも、光陰学園に通っている。

そして、ここからが重要なのだが光陰学園の生徒会は光陰部と呼ばれており、これに入るには選挙に当選するわけではなく、生徒会長から指名されなければならないのだ。
選定の方法は不明。
ただ、光陰部に入るのは男女いずれも見目麗しい人ばかり。
だから一部の生徒の間では、容姿が選定の基準なのだと囁かれている。
まあ、それは全くの誤解。
本当の選定基準は、能力者であるか、否か。
そう、光陰学園とは国中の能力者が集まる学園なのだ。
能力者であるカイお兄ちゃんは勿論光陰部で、しかも生徒会長なんてすごい役職についている。

「ソラ、準備はできた?」

コンコンと扉が叩かれ、声がかかる。

「あ、うん!大丈夫だよ。」

真新しい鞄を手に取り、扉を開ける。
うう、眩しい・・・
カイお兄ちゃんは7歳の頃から将来イケメンになるだろうなとは思っていたけど、想像以上にかっこよくなりました。
中性的な美貌っていうのかな。
綺麗って言葉が似合う。
金髪碧眼で美貌のカイお兄ちゃんがかっこいいと評判の光陰学園の制服を着ると、もう言葉で表せないほど眩しい。
隣に並ぶのをためらってしまうくらい。

「ソラ、よく似合ってるよ。すごく可愛い。」

うーん、カイお兄ちゃんに言われてもなんか微妙・・・

「ありがと、カイお兄ちゃん。って、違った。えっと、朱雲先輩・・・?」

光陰学園に通う際、私が朱雲 蒼来だと、カイお兄ちゃんの妹だとばれてはいけない。
私は桐谷 蒼来と名字を変えて入学する。
ちなみに、桐谷の姓は前世の名字を使った。

まあ、別人を名乗る以上、カイお兄ちゃんとは赤の他人として接しなくてはいけない。
勿論、私が能力者だということも隠さなければならない。

「ソラに他人として接されるのは悲しいけど、ばれないようにしなくてはね。」

眉を下げて悲しそうな表情のカイお兄ちゃん。
どんな表情をしても美形は美形だなあ。
どうでもいいことを考えながら、家を出る。

車は別々で、それぞれサキとリンが運転する。
二台車があるのはすごいと思う。
うん、カイお兄ちゃんの能力はもう桁違いだからね・・・
じゃあねと手を振りリンが運転する車に乗り込む。

「友達、できるといいな。」

窓の外の景色を眺めながらポツリと呟く。

「きっとできます、ソラ様なら。」

どこか確信じみた声で言われ、胸がポカポカと暖かくなった。

「ありがとう、そうだといいな。」

カイお兄ちゃんの家に来てから、外に出たのは今日で二回目。
光陰学園の受験日以来だ。
毎日庭にでて日光は浴びていたけど、やっぱり何かが違う。
外に出れるようになったのが、すごく嬉しい。
気付けば夢中で外の景色を眺めており、あっという間に学園に到着していた。

「やっぱ、大きい学園だなあ・・・」

光陰学園って、お金持ちが通う学校みたいで、設備とかがもう学校の域を超えている。

「それではお嬢様、行ってらっしゃいませ。」

外面向けの完璧なメイドの礼をするリンにいってきます、と声をかけ、スウッと息を吸う。
今日から、やっと、普通の生活が送れるようになる。

フウッと息を吐き、凜と胸を張る。
リンとサキに叩き込んでもらった優雅な歩き方を意識して、歩き出す。
光陰学園では優雅な仕草をすることが大切なのだ。

今日は、桜が満開だ。
桜の精が祝福しているかのように、桜の花びらが風にのって降り注ぐ。

予感がする。

今日という日が、私の物語の本当の意味での、1ページになる予感が。
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