能力者は正体を隠す

ユーリ

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高校生編 4月

歓迎遠足

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歓迎遠足って、皆で目的地まで歩いて行くものだよね、普通。
ところが!光陰学園はなんと学園の敷地内で遠足するんです!
もう遠足じゃないよね、これ。
歓迎会、みたいな感じ。

でもこの光陰学園、セレブ学園なだけあって敷地が広く、本当の野原みたいなところがあるんだよね。
これがすっごく広くって、お昼はここでテーブルをセッティングしてご飯を食べるらしい。

今日の予定としては、まず全校レクリエーションがあって、それから自由時間、ご飯を食べてまた自由時間という、1人ぼっちには辛い自由時間の多さ。
一体何しろって言うの。
あーあ。
別に友達が欲しいってわけではないんだけどね。
友達いないんだって、憐れみの視線をかけられることが、嫌。
前までこんなこと思ってなかったんだけど、これも前世の私の性格を受け継いだ弊害、なのかな。

「それでは全校レクリエーションの説明を始めます。」

光陰部の人が司会を務めて、歓迎会が始まった。

「今年のレクリエーションは、鬼ごっこです。学園の敷地内ならどこに逃げても構いません。鬼は2年生がします。1,3年生の生徒は、鬼に捕まってしまったらこちらの円の中に入って下さい。」

そう示された円はとても広く、ソファーなどもある快適空間だ。
野原の真ん中にあるとはいえ、今は4月で暑くもなく、寒くもない。
おまけに日傘やらお菓子やらあるんだから早い内に捕まってしまっても暇にはならないだろう。

「鬼に捕まってしまっても、復活は可能です。まだ鬼に捕まっていない人が円の中に
いる人にタッチすればまた円の外に出て逃げることができます。」

それって、ケイドロと呼ばれるゲームじゃないだろうか。
いや、絶対そうだよね。

「ゲーム終了時に捕まっていない人には素敵な賞品がありますよ。制限時間は九十分。それでは1,3年生の皆さんは逃げて下さい。5分後に2年生が走り出します。」

九十分って、長い。
体力には自信があるけど、正直ちょっと面倒だなって思ってしまったり。
とりあえず、どこかに隠れよう、かな。

んー、何だかみんな、校舎の中に向かってるみたい。
確かに校舎には隠れるところが沢山。
でも、鬼だって校舎に探しに行くよね、きっと。
じゃあ私は裏をかいて、鬼が行こうとしないような場所に行こうかな。

そうだ、森に行こう。
生粋のお嬢様、お坊ちゃまなら森に行こうなんて思いもしないよね。
私、結構森の中の空気が好きだから問題ない。
よし、森に決めた。
早速方向転換し、森を目指して走った。
時計をチラッと見る。


鬼が動き出すまで、あと二分。
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