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高校生編 6月
肉食獣再び
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「ソイツは俺の獲物だ。勝手に取るな。」
肉食獣のうなり声が、私と碧館先輩との間に割り込んできた。
碧館先輩が怪訝そうな顔をして私と『彼』を見比べている。
・・・一難去って、また一難。
これ以上碧館先輩と二人で話すのは嫌だったから、人が来てくれたのは嬉しい。
でも、その人も問題だもんなあ・・・
聞かなかったふりしてこのまま帰っちゃおうかな、とそんなことを考えたんだけど、どんどん近づいてくる『彼』の気配が私の逃走を許してはくれなかった。
「蒼来、こっちへ来い。」
「・・・なぜですか。」
「俺が俺のものを取り戻すのに理由が必要か?」
だ、れ、が、あなたのものなんですか!
傲慢なその物言いにムカッとして私は『彼』の方へ向き直った。
茶色の瞳を光らせて、私を見ている『彼』に言い放つ。
「私が、いつ、富金原先輩のものになったんですか。全く覚えがありませんが。」
眉を吊り上げて先輩を睨むが、あまり効果はなかったようで、先輩は面白そうに私を眺め、ニヤリと口の端をあげて笑った。
「俺がそうと決めた瞬間からお前は俺のものなんだよ。知らなかったんなら覚えとけ。」
一旦そこで言葉を止めた富金原先輩は、碧館先輩をチラリと見、そしていきなり私を抱き寄せた。
「えっ!?」
「蒼来、お前はもう俺のものなんだ。簡単に他の男を近寄らせるなよ?そこにいる碧館とか、紫月とか・・・カイ、とかな。」
私の耳元に口を寄せ、肉食獣はそうささやいてきた。
わざわざ碧館先輩には聞こえない大きさでささやいてくるものだから、碧館先輩にどう思われているのか気が気ではない。
でも・・・カイ。
たった二文字のその言葉が、怒りで熱くなっていた頭を冷静にしてくれる。
私を避けるようにして出て行ってしまったカイお兄ちゃん。
でも、カイお兄ちゃんは、ずっとずっと前から、もちろん今も、私が普通の高校生活を送れるように力を尽くしてくれている。
朱雲家の目をかいくぐって私の存在を隠し通し、この学園に入学させるには、大変な労力が必要だったはず。
『光陰部には近づかないほうが良い』
私が普通の学園生活を送るために、カイお兄ちゃんが注意してくれたこと。
簡単に破っていいものじゃ、ない!
私を閉じ込めようとする先輩の腕から合気道の要領でスルリと抜け出しひねりあげた。
予想していなかった私の反撃に目を見開き驚く二人の先輩を後目に、私は走り出した。
「もう金輪際、私に関わらないでください!」
拒絶の言葉を吐き捨てて、私はその場を去った。
後ろで二人が何やら言っていた気がするが・・・
納得してくれることを祈る他ない。
もう本当に、関わらないでください!頼むから!
肉食獣のうなり声が、私と碧館先輩との間に割り込んできた。
碧館先輩が怪訝そうな顔をして私と『彼』を見比べている。
・・・一難去って、また一難。
これ以上碧館先輩と二人で話すのは嫌だったから、人が来てくれたのは嬉しい。
でも、その人も問題だもんなあ・・・
聞かなかったふりしてこのまま帰っちゃおうかな、とそんなことを考えたんだけど、どんどん近づいてくる『彼』の気配が私の逃走を許してはくれなかった。
「蒼来、こっちへ来い。」
「・・・なぜですか。」
「俺が俺のものを取り戻すのに理由が必要か?」
だ、れ、が、あなたのものなんですか!
傲慢なその物言いにムカッとして私は『彼』の方へ向き直った。
茶色の瞳を光らせて、私を見ている『彼』に言い放つ。
「私が、いつ、富金原先輩のものになったんですか。全く覚えがありませんが。」
眉を吊り上げて先輩を睨むが、あまり効果はなかったようで、先輩は面白そうに私を眺め、ニヤリと口の端をあげて笑った。
「俺がそうと決めた瞬間からお前は俺のものなんだよ。知らなかったんなら覚えとけ。」
一旦そこで言葉を止めた富金原先輩は、碧館先輩をチラリと見、そしていきなり私を抱き寄せた。
「えっ!?」
「蒼来、お前はもう俺のものなんだ。簡単に他の男を近寄らせるなよ?そこにいる碧館とか、紫月とか・・・カイ、とかな。」
私の耳元に口を寄せ、肉食獣はそうささやいてきた。
わざわざ碧館先輩には聞こえない大きさでささやいてくるものだから、碧館先輩にどう思われているのか気が気ではない。
でも・・・カイ。
たった二文字のその言葉が、怒りで熱くなっていた頭を冷静にしてくれる。
私を避けるようにして出て行ってしまったカイお兄ちゃん。
でも、カイお兄ちゃんは、ずっとずっと前から、もちろん今も、私が普通の高校生活を送れるように力を尽くしてくれている。
朱雲家の目をかいくぐって私の存在を隠し通し、この学園に入学させるには、大変な労力が必要だったはず。
『光陰部には近づかないほうが良い』
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簡単に破っていいものじゃ、ない!
私を閉じ込めようとする先輩の腕から合気道の要領でスルリと抜け出しひねりあげた。
予想していなかった私の反撃に目を見開き驚く二人の先輩を後目に、私は走り出した。
「もう金輪際、私に関わらないでください!」
拒絶の言葉を吐き捨てて、私はその場を去った。
後ろで二人が何やら言っていた気がするが・・・
納得してくれることを祈る他ない。
もう本当に、関わらないでください!頼むから!
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