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高校生編 7月
落ちこぼれのオレ ~青竹side~
しおりを挟むどうしても、守りたかった。
いつもいつも、兄貴と比べられてたオレ。
とっくの昔に、失望されていたオレ。
そんなオレに、光を与えてくれたのは、他でもない、羽菜だったから。
でも。
所詮オレは、落ちこぼれだった。
***
『放課後、あの公園で待ってるからねっ!』
『おう。』
オレたちはよく、放課後に公園で待ち合わせてた。
そのまま公園でとりとめのない話をすることもあれば、デパートに行ったりしたこともあった。
その日も、そう。
いつもと同じ、穏やかで・・・幸せな時間がくると、そう信じていた。
オレたちに迫っていた惨劇に、どうして気付くことができただろうか。
『っ、羽菜!?』
放課後、先に公園についたのは、羽菜だった。
あとから、そのことをどれだけ悔やんだか。
どうしてもっと急がなかったんだと、どうして羽菜と一緒に行かなかったのかと、自分を責めた。
オレが公園に着いたとき、すでにその惨劇は始まっていた。
『イヤアッ!さ、皐月っ!助けてっ!!!』
公園には、目を疑うほどの数の妖怪が集まってきていた。
能力者でもなく、対抗するすべのない羽菜は・・・オレが駆け付けたときにはもう、瀕死の状態だった。
『わ・・・我が名は青竹 皐月。青竹の血を受け継ぐもの。我が名の下に、我が力を行使する。風よ、羽菜を助けろ!!』
落ちこぼれ。
役立たず。
このときほど、自分に張られたレッテルを意識した日はない。
オレは、グレて、反抗して、何の修行もしてこなかったんだ・・・
かろうじて文言の基本的な唱え方ぐらいは知っていたが、それだけ。
有効な力の使い方も、全く知らなかった。
結局、落ちこぼれのオレにできたのは、その場にそよ風を吹かせるぐらいで・・・
羽菜は、死んだ。
オレの、せいで。
ちゃんと修行していれば、と思った。
その後、妖怪の気配に気づいた能力者たちが駆け付けて、なんとか妖怪たちを退治したようだった。
その中には兄貴・・・青竹 翔もいて、それがさらにオレの劣等感を掻き立て・・・どうしようもない無力感に陥った。
大切な人一人守れない、落ちこぼれの、バカなオレ。
苦くてつらい思い出は、深く心に刻まれて・・・離れることは、なかった。
だから、か?
あの日、あの公園で、『あの日』の再現のように現れた妖怪と戦って、倒れたオレを助けてくれたお前を見た時に・・・どうしようもなく、アイツと重ねてしまったのは。
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