大天使の娘です。ある日人間界に落ちてしまいました。

ユーリ

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なんだか緊張します

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「っ、通してください!」
「だからダメだと・・・」

部屋から出るとき、アレン様から地下牢までの道筋をお聞きしました。
そのあと、何やら私を引き留めていたようでしたが、知ったことではありません。

「お願いします、通してください!」
「無理だと言っているだろう!そもそもお前、何者だ!?」

ただ今地下牢へと続く階段の前で、衛兵さんと睨み合い中です。

「通してやれ。」

そこへ鶴の一声が。
・・・鶴にしては、かなり低い声ですが。

「っ!殿下!?」
「彼女の身元は私が証明する。通してやれ。」
「はっ!」

さっきまでの態度とは一変、私を通してくれた衛兵さん。
おそるおそる後ろを振り返ると、そこには金髪碧眼の美しい人がいました。
彼は私の視線に気づくと、目を細めました。

「初めまして、だね。私はこの国の第一王子にして、王位継承権第一位。フィリップだ。どうぞよろしく。」
「・・・レオン様の、お兄様、ですか?」

第一王子、ということは、そうですよね?

「そういうことになるね。それよりも、行かなくていいのかい?地下牢に会いたい人がいるのだろう?一緒に下りよう。」
「は、はい。」

一緒に下りる・・・
なんだか緊張します。
レオン様とはまた違う美しさ。
レオン様は、なんといえばいいのでしょうか、野性味あふれる、と言いますか、動物で例えるのならライオンみたいな、強さが感じられる美しさなのですけれど、この方は、強い、というよりも、優雅、という言葉が一番似合います。
強さが感じられないわけではないのです。
でも、あふれんばかりの気品がすべてを包み込んでいるかのような・・・

「残念だな。」
「え?」

不意にため息交じりに繰り出された言葉に、目を瞬かせました。

「こんなに美しい聖女なら、レオンよりも私が見つけ出したかった。」

そしたら今頃君は私の宮にいたのにね、と憂いを帯びた表情で吐き出す殿下。
美しい、と言われたことには全力で否定したいのですが、せっかくのお世辞を否定するのも失礼にあたりそうなのでただ、ありがとうございます、とだけ言いました。

階段の終わりが見えてきました。
あの先にリリーが、と思うと、駆け出したいような、足を止めてしまいたいような、複雑な気分に陥ります。

「ねえ、エリン。」
「は、はい?」

初めて名前を呼ばれました・・・
というか、私の名前知っていたんですね。
殿下が足を止めました。
つられて私も止まります。
殿下が私の方をまっすぐに向いて・・・



「ねえ、私の妃にならない?」




大きな爆弾を、投下しました。
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