大天使の娘です。ある日人間界に落ちてしまいました。

ユーリ

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感謝しかありません

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「レオン様?」

話って・・・なんでしょうか。
レオン様の背後にはアレン様もいて、二人とも、私とリリーを見ていました。

「そこにいる、リリーという娘。その妹の、エリーだったか?たった今、保護に成功した。」
「え・・・」
「う、うそ・・・!」

信じられない、とでもいうように目を見開いたリリー。
レオン様を見ると、少し服がくたびれているように見えました。
もしかして・・・エリーさんを保護するために、頑張ってくれたのでしょうか。
いや、もしかしなくても、そうです。

「ほら。」

レオン様は後ろを振り向き、アレン様に視線を送りました。
アレン様も頷いて、ゆっくりとその背中にいた、小さな女の子を前に押し出しました。
栄養が足りていないことが一目でわかる、やせた体。
着ているものもボロボロですが、その顔はリリーそっくりで。
この子がエリーさんなのだと、すぐに分かりました。

「エリー、なの・・・?」

緊張したような、かすれた声が、リリーの口から洩れます。

「お姉、ちゃん・・・?」

交わった視線。
次の瞬間、リリーは大粒の涙をこぼしていました。
よかった、よかった、とつぶやきながら。
きっと、エリーさんはリリーのことが分からなかったはずです。
攫われた当時、物心もついていなかったのですから。
でも、何かを感じたのか、おそるおそるこちらに寄ってきて、リリーの頭を撫で始めました。

「泣か、ないで。」

姉妹の再会に、胸が熱くなるのを感じながら、私も幼馴染や、父さまのことを思い出していました。
今頃みんなは、どうしているんでしょうか。
こんなふうに、再会、できるのでしょうか・・・

「おい、エリン。」
「は、はい!」

ぼんやりとしているところにレオン様から声をかけられ、慌てて反応しました。

「リリーは、お前を攫うのに加担した。本来なら、相応の処罰を受けてもらうのだが・・・事情もあるし、今回だけは特例として、エリン、お前に処罰の内容を決めてもらう。」

どうする?と視線で問われ、私は迷わず口を開きました。

「では・・・・」

その内容に、レオン様とアレン様は目を見開き、それから相好をくずして笑いました。
許可をだしたレオン様が地下牢から出ていきました。
気付けばいつのまにか、フィリップ様もいなくなっています。

アレン様が地下牢から出る直前、そっと私の耳に口を寄せました。

「エリン様。本来レオン様は、情状酌量なんて言葉とは縁のないお方です。事情があろうとなかろうと、罪は罪。・・・なぜか今回は、違いましたけどね。」

今の、レオン様には秘密ですよ?といたずらっぽく微笑んだアレン様。

「・・・はい。」

エリーさんを保護するために奮闘してくれて。
普段はかけない温情をかけて。

「ありがとうございますと、お伝えください。」

本当に、感謝しかありません。

「アレン様も、ありがとうございました。」

ぺこりと頭を下げると、アレン様は目をみはって、それから照れくさそうに、もう一度笑ったのでした。
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