Trypophobia

奈波実璃

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「……カ! エリカ!!」
 私は自分の名前を呼ぶ姉の声で目を覚ました。

「大丈夫!? あなた、うなされてたわよ!?」
 私は妙に明るい空に気がついて、壁に掛けられた時計を見上げた。
 時計は8時を指していた。
 どうやら半日も眠ってしまったようだ。

「ミ、ミキねぇ……。うん、まぁ大丈夫」
 私の様子に、ミキねぇはにっこりと微笑んだ。
 けれど、すぐに心配そうな表情に戻ってしまった。
「一人で大丈夫? 私、これから大学へ行くけど……。なんだったら、私も休もうか?」
「大丈夫ったら……ミキねぇじゃあるまいし。それに、学校休んだらお母さんやお父さんに悪いよ」
「そうだけど……」
「ほら、行ってきな」
 私は顔の筋肉をフル稼働して精一杯の笑顔を作った。

「そう……。それじゃ、お大事にね……って、私が言うのも変ね。いってきます」
 ミキねぇは困ったように笑うと、アパートから出ていった。

 アパートの一室に一人残される私。
 部屋がいつもよりも広く感じた。

 私はスマホを取り出して、検索エンジンを開いた。

『蓮の実 き』

 『蓮の実 気持ち悪い』と検索しようとして、ここで手を止めた。
 サジェストには『蓮の実 気持ち悪い』だけでなく、『蓮の実 キモい』『蓮の実 恐怖症』だとか、そういったものが出ていたのだ。

 私はとりあえず『蓮の実 恐怖症』を検索してみた。
 ーーもし蓮の実の画像が出てきたら、また気持ち悪くなるかも……。
 そんな不安もあったが、幸い画像は表示されなかった。

 私は検索結果に軽く目を通した。
 どうやら蓮の実が気持ち悪く思うのは『集合体恐怖症』というものが原因らしい。

 本当はもっと調べたかったけれど、下手なサイトにぶつかって蓮の実を拝むことになるのは嫌だ。
 とにかく、原因が分かっただけでも収穫だ。
 私はスマホの画面を切ると、再び布団に潜り込んだ。
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