【完結】【番外編】ナストくんの淫らな非日常【R18BL】

ちゃっぷす

文字の大きさ
24 / 29
ナストとフラストとヴァルア

6話【ナストとフラストとヴァルア】

しおりを挟む
 三か月後――

 夜の食事を終えたとき、フラスト様に背後から声をかけられた。

「俺の部屋に来るか?」
「は、はい。お願いします」
「そうか。では、待っている」

 それだけ言って、フラスト様は速足でその場を去った。
 あれから僕は、八日に一度、フラスト様にお世話になっている。ヴァルア様が帰ってきてくれるかもしれないと期待して、七日間は我慢するようにしているのだ。

 だが、この三カ月間でヴァルア様が一週間以内に帰ってきてくれた日は四度だけだった。しかたない。今はとても忙しい時期なのだと、フラスト様が言っていた。

 僕は一度自分の寝室に戻り、下着を外した。この下着を付けていたらフラスト様が嫌がるのだ。
 フラスト様の部屋を訪れると、フラスト様がソファに座って分厚い資料に目を通していた。彼は紙に目を落としたまま僕を手招きした。隣に腰掛けると、肩を抱き寄せられた。

「何を読んでいるんですか?」
「教会監視団体の報告書だ。お前の恋人はよく頑張っているぞ」
「そうですか。それを聞いたらヴァルア様が喜ぶでしょうね」
「絶対に言うんじゃないぞ」
「どうしてでしょうか」
「なぜ分からんのだ」

 フラスト様はその資料をテーブルに戻し、次の資料に目をやった。先ほどとは打って変わり、苛立った様子でぶつくさぼやいている。

「全く。父上のそばには役に立たん奴しかおらんのか。また俺が尻拭いをするハメに……」
「……」
「なぜこんな簡単なこともまともにできん。全く理解ができん。あいつらに脳みそはついているのか」
「……」

 僕がぴとっとフラスト様の体にくっつくと、一瞬フラスト様の愚痴が止まった。それでも彼は資料から目を離さず、すぐに愚痴をこぼし始めた。

「……」

 フラスト様と密着しているだけで、僕のペニスからカウパーがこぼれた。膨張しすぎて痛いくらいなのに、フラスト様はまだ仕事に勤しんでいる。
 僕は唇を尖らせ、フラスト様の左手をそっと僕のペニスに触れさせた。

「……」
「……」

 フラスト様は資料を見つめたまま、僕のペニスを指でなぞる。

「あっ……」
「まだ何もしていないのに、こんなに興奮していたのか」
「んっ……、だって、僕……」
「八日も我慢していたものな」
「はい……っ、あ……っ」

 フラスト様は資料を放り投げ、僕の顔を引き寄せた。長いキスをしながらペニスを握り、動かす。

「んっ、あっ……」
「全く。静かに隣り合うだけでは満足できんのか、お前は」
「……?」
「いや、今のは忘れろ」

 一度僕を射精させたあと、フラスト様は僕を抱き上げ、ベッドまで連れて行った。

「言っておくが、俺だって我慢していたんだ」

 ベッドに落とされた僕は、覆いかぶさるフラスト様の肩を抱き、夢中になってフラスト様のキスに応えた。
 長いキスが終わると、フラスト様は吐息を漏らした。

「長かった」
「はい。長いキスでした」
「違う。この八日間のことだ」

 包みを解くように、そっと僕の服を脱がせる。フラスト様はいつも全裸になった僕をしばらく見つめてから、僕の体を指でなぞる。

「何度見ても美しいな、お前は」

 普段は僕と目すら合わせないし、口を開けばつっけんどんな言葉しか出てこない。フラスト様がこんなことを言うのは、ベッドの上でだけだ。
 彼のそういった言葉を聞くたびに、胸がとくとくと波打ってしまうから困る。

「あ、あまり見ないでください」
「我儘を言うな」
「んっ……」

 フラスト様はいつも穏やかなセックスをする。僕の口からはいつも、激しい嬌声ではなく、微かな甘い声が漏れる。長い時間をかけて、まるで僕の体をじっくり味わうかのように、ゆっくりと僕を抱く。

「あぁっ……あっ、あっ……!!」

 僕は決まって、フラスト様より先に何度か絶頂を迎える。最後の方になると、心地よい疲れにくったりしてしまう。

「ナスト。もういいか」
「あっ……んっ、……はい……っ」
「ん」
「あぁぁっ……!!」

 フラスト様が激しく腰を打ち付けるのは、フラスト様が絶頂に達する直前だけだ。
 そして正に今、フラスト様が激しく動き始めた瞬間、ふわりと部屋のドアが開いた。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学で逃げ出して後悔したのに、大人になって再会するなんて!?

灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。 オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。 ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー 獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。 そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。 だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。 話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。 そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。 みたいな、大学篇と、その後の社会人編。 BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!! ※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました! ※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました! 旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」

俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜

小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」 魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で――― 義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!

ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる

cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。 「付き合おうって言ったのは凪だよね」 あの流れで本気だとは思わないだろおおお。 凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?

ざこてん〜初期雑魚モンスターに転生した俺は、勇者にテイムしてもらう〜

キノア9g
BL
「俺の血を啜るとは……それほど俺を愛しているのか?」 (いえ、ただの生存戦略です!!) 【元社畜の雑魚モンスター(うさぎ)】×【勘違い独占欲勇者】 生き残るために媚びを売ったら、最強の勇者に溺愛されました。 ブラック企業で過労死した俺が転生したのは、RPGの最弱モンスター『ダーク・ラビット(黒うさぎ)』だった。 のんびり草を食んでいたある日、目の前に現れたのはゲーム最強の勇者・アレクセイ。 「経験値」として狩られる!と焦った俺は、生き残るために咄嗟の機転で彼と『従魔契約』を結ぶことに成功する。 「殺さないでくれ!」という一心で、傷口を舐めて契約しただけなのに……。 「魔物の分際で、俺にこれほど情熱的な求愛をするとは」 なぜか勇者様、俺のことを「自分に惚れ込んでいる健気な相棒」だと盛大に勘違い!? 勘違いされたまま、勇者の膝の上で可愛がられる日々。 捨てられないために必死で「有能なペット」を演じていたら、勇者の魔力を受けすぎて、なんと人間の姿に進化してしまい――!? 「もう使い魔の枠には収まらない。俺のすべてはお前のものだ」 ま、待ってください勇者様、愛が重すぎます! 元社畜の生存本能が生んだ、すれ違いと溺愛の異世界BLファンタジー!

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました

ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載

処理中です...