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ナストとヴァルア
1話【ナストとヴァルア】
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インキュバス・テールに淫紋を付けられ、そしてフラスト様のおかげで消えたあの日から一週間が経った。その翌日に一日中一緒に過ごしてから、また僕はヴァルア様と会えていない。
これは、もうひとつの未来の話。
「ねえ、アリス。お願いだから僕のペニスを楽にしてよ」
「いけません。私がナスト様に快感を与えるなんて、そんな恐れ多いことはとても」
「そんなこと言わずに、僕のためだと思ってさ。そうじゃないと僕どうにかなっちゃうよ」
いくらお願いしても、アリスは頑なに首を横に振った。ほんのり頬を赤らめている。
「で、でしたら、ナスト様ご自身でなさってください! あなたはもうご自身の体に触れていいのですよ」
「それができないから困ってるんだよ。できるならやってる」
長年触れてはいけないと言いつけられてきた体は、未だにその掟を破ることを拒絶する。
アリスが部屋を去ったあと、僕はベッドに腰掛け寝衣をめくり上げた。何もしていないのにペニスが勃起している。カウパーまで垂らしているのに、誰も僕に触れてくれない。
僕は、今日こそ自慰をするぞと意気込んだ。これからもきっと、ヴァルア様と会えない日の方が多いのだから、自分で性欲の処理くらいできるようにならねば。
ペニスに手を伸ばす。ペニスが快感を期待してぴくりと動いた。あと数ミリで握れるというところまではいけるのだが――
「やっぱりダメ!!」
どうしても、自身のペニスを握ることができない。
「辛い……」
ヴァルア様。早く帰って来てください。僕のペニスはもう限界です。自分ではまだどうしようもできないんです。
「うぅぅ……」
いや、ダメだ。ヴァルア様に甘えてばかりでは、僕はいつまで経っても成長できない。
自慰を。自慰をできるようにならねば。自慰を!
反り返っているペニスを握ろうと四苦八苦している最中に、ノックもなしにドアが開いた。
「ただいまナスト! ずっと一人にさせてごめ――」
「ヴァルア様……!!」
贈り物を抱えるヴァルア様が入って来た。勃起したペニスを丸出しにしている僕と目が合うや否や、彼はニコニコと上機嫌でベッドに腰掛ける。
「なにしてたの?」
「あっ、えっと、自慰を試みようとしていました。ヴァルア様がいない間も、自分でなんとかしないとと思って」
「そっか。でもできないのかい?」
「はい……なかなかペニスに触れなくて。でも、自慰の練習はまた今度にします」
「どうして?」
「え? ヴァルア様が帰ってきてくれたので、する必要がないです」
「そうかな?」
「?」
ヴァルア様は微笑んだまま、耳元で囁いた。
「気付いてる? 最近のフラストの視線」
「フラスト様の……ですか?」
「うん。隠してはいるけれど、君のことを熱っぽい目で見ているときがある」
「まさか。そんなわけありません」
「まず間違いないね。俺は勘がいいんだ。それに、君もときたま、フラストのことを……俺を見るときと同じ目で見ているときがある」
「ありえません。ヴァルア様とフラスト様の見分けくらいつきます」
「うーん。そういうことじゃないんだけどな。まあ、とにかく――」
ヴァルア様は僕の手を取り、唇を添えた。
「――このまま君に禁欲生活を強いていたら、望まない未来が待っていそうでね」
「?」
「その未来を見ないためにも、君には自慰を覚えてもらいたいわけだ」
「どんな未来ですか?」
「さあね。想像したくもない」
ヴァルア様が何を言っているのかさっぱり分からない。ヴァルア様はフラスト様を意識しすぎだ。確かに僕は先週フラスト様のペニスを肛門に入れたが、あれは淫紋を消すための行為でしかない。……そのことを忘れるほど、満たされた時を過ごしたのも確かだが。
「ほら。思い当たる節を見つけたね」
「む……」
「いけないね。いけない子だよ君は。俺以外の男になびいてどうするつもりだい」
「べ、別になびいているわけではありません」
「嘘はいけないよ。まったく。気に入らないなあ」
そうぼやきながら、ヴァルア様が僕の手を僕のペニスに近づけた。
「ほら。俺が手伝ってあげるから、今日で自慰を覚えよう」
「は、はい……。頑張ります」
ヴァルア様に握られている手をペニスに近づけられる度、僕は何度も拒絶した。それでもヴァルア様は根気よく付き合ってくれた。
「やっぱり無理です! ど、どうしても触れません! ダメですっ!!」
「大丈夫だって! ほら、指先だけでもツンと触れてごらん」
「……無理無理無理!! こわい!」
「何が怖いんだい。ナストのペニスはね、勃起しているときもぷにぷにしていて気持ちいいんだよ」
「知りませんよ!! あああおそろしいっ」
「こんなかわいいペニスのどこが恐ろしいんだ。俺のペニスは平気で触るのに」
そんな問答を、下手をしたら一時間ほど繰り返していたかもしれない。
とうとう業を煮やしたヴァルア様が、無理やり僕に自分のペニスを握らせた。
「うわぁぁぁぁっ!! ヴァルア様のばか! ヴァルア様のばかぁぁぁっ!! うわぁぁぁっ!!」
「えぇっ……泣くほどか……ご、ごめんねナスト……?」
「自分のペニスに触れてしまった……!! 呪われる! 穢れる……神の怒りに触れてしまうぅぅっ!! うああん、えぐっ、えぐぅぅっ」
鼻水を垂らして泣き叫ぶ僕を、ヴァルア様は狼狽えながらも慰める。しかしペニスを離させてはくれなかった。
「大丈夫だよナスト。自分に触れても神は怒らない。呪われないし穢れもしない。それは司祭の寝の葉もない嘘だったんだよ。君を弄ぶためのね」
「分かっています……っ!! 分かっているけどっ、こわいっ、こわいよぉぉぉっ……うえっ、えぐぅっ」
「君に呪いをかけたのは司祭だ。思った以上に強い呪いだったみたいだな……」
ヴァルア様は低い声で呟き、歯ぎしりをした。
「君はもう俺のものなんだぞ。いつまで司祭に憑りつかれているんだ」
これは、もうひとつの未来の話。
「ねえ、アリス。お願いだから僕のペニスを楽にしてよ」
「いけません。私がナスト様に快感を与えるなんて、そんな恐れ多いことはとても」
「そんなこと言わずに、僕のためだと思ってさ。そうじゃないと僕どうにかなっちゃうよ」
いくらお願いしても、アリスは頑なに首を横に振った。ほんのり頬を赤らめている。
「で、でしたら、ナスト様ご自身でなさってください! あなたはもうご自身の体に触れていいのですよ」
「それができないから困ってるんだよ。できるならやってる」
長年触れてはいけないと言いつけられてきた体は、未だにその掟を破ることを拒絶する。
アリスが部屋を去ったあと、僕はベッドに腰掛け寝衣をめくり上げた。何もしていないのにペニスが勃起している。カウパーまで垂らしているのに、誰も僕に触れてくれない。
僕は、今日こそ自慰をするぞと意気込んだ。これからもきっと、ヴァルア様と会えない日の方が多いのだから、自分で性欲の処理くらいできるようにならねば。
ペニスに手を伸ばす。ペニスが快感を期待してぴくりと動いた。あと数ミリで握れるというところまではいけるのだが――
「やっぱりダメ!!」
どうしても、自身のペニスを握ることができない。
「辛い……」
ヴァルア様。早く帰って来てください。僕のペニスはもう限界です。自分ではまだどうしようもできないんです。
「うぅぅ……」
いや、ダメだ。ヴァルア様に甘えてばかりでは、僕はいつまで経っても成長できない。
自慰を。自慰をできるようにならねば。自慰を!
反り返っているペニスを握ろうと四苦八苦している最中に、ノックもなしにドアが開いた。
「ただいまナスト! ずっと一人にさせてごめ――」
「ヴァルア様……!!」
贈り物を抱えるヴァルア様が入って来た。勃起したペニスを丸出しにしている僕と目が合うや否や、彼はニコニコと上機嫌でベッドに腰掛ける。
「なにしてたの?」
「あっ、えっと、自慰を試みようとしていました。ヴァルア様がいない間も、自分でなんとかしないとと思って」
「そっか。でもできないのかい?」
「はい……なかなかペニスに触れなくて。でも、自慰の練習はまた今度にします」
「どうして?」
「え? ヴァルア様が帰ってきてくれたので、する必要がないです」
「そうかな?」
「?」
ヴァルア様は微笑んだまま、耳元で囁いた。
「気付いてる? 最近のフラストの視線」
「フラスト様の……ですか?」
「うん。隠してはいるけれど、君のことを熱っぽい目で見ているときがある」
「まさか。そんなわけありません」
「まず間違いないね。俺は勘がいいんだ。それに、君もときたま、フラストのことを……俺を見るときと同じ目で見ているときがある」
「ありえません。ヴァルア様とフラスト様の見分けくらいつきます」
「うーん。そういうことじゃないんだけどな。まあ、とにかく――」
ヴァルア様は僕の手を取り、唇を添えた。
「――このまま君に禁欲生活を強いていたら、望まない未来が待っていそうでね」
「?」
「その未来を見ないためにも、君には自慰を覚えてもらいたいわけだ」
「どんな未来ですか?」
「さあね。想像したくもない」
ヴァルア様が何を言っているのかさっぱり分からない。ヴァルア様はフラスト様を意識しすぎだ。確かに僕は先週フラスト様のペニスを肛門に入れたが、あれは淫紋を消すための行為でしかない。……そのことを忘れるほど、満たされた時を過ごしたのも確かだが。
「ほら。思い当たる節を見つけたね」
「む……」
「いけないね。いけない子だよ君は。俺以外の男になびいてどうするつもりだい」
「べ、別になびいているわけではありません」
「嘘はいけないよ。まったく。気に入らないなあ」
そうぼやきながら、ヴァルア様が僕の手を僕のペニスに近づけた。
「ほら。俺が手伝ってあげるから、今日で自慰を覚えよう」
「は、はい……。頑張ります」
ヴァルア様に握られている手をペニスに近づけられる度、僕は何度も拒絶した。それでもヴァルア様は根気よく付き合ってくれた。
「やっぱり無理です! ど、どうしても触れません! ダメですっ!!」
「大丈夫だって! ほら、指先だけでもツンと触れてごらん」
「……無理無理無理!! こわい!」
「何が怖いんだい。ナストのペニスはね、勃起しているときもぷにぷにしていて気持ちいいんだよ」
「知りませんよ!! あああおそろしいっ」
「こんなかわいいペニスのどこが恐ろしいんだ。俺のペニスは平気で触るのに」
そんな問答を、下手をしたら一時間ほど繰り返していたかもしれない。
とうとう業を煮やしたヴァルア様が、無理やり僕に自分のペニスを握らせた。
「うわぁぁぁぁっ!! ヴァルア様のばか! ヴァルア様のばかぁぁぁっ!! うわぁぁぁっ!!」
「えぇっ……泣くほどか……ご、ごめんねナスト……?」
「自分のペニスに触れてしまった……!! 呪われる! 穢れる……神の怒りに触れてしまうぅぅっ!! うああん、えぐっ、えぐぅぅっ」
鼻水を垂らして泣き叫ぶ僕を、ヴァルア様は狼狽えながらも慰める。しかしペニスを離させてはくれなかった。
「大丈夫だよナスト。自分に触れても神は怒らない。呪われないし穢れもしない。それは司祭の寝の葉もない嘘だったんだよ。君を弄ぶためのね」
「分かっています……っ!! 分かっているけどっ、こわいっ、こわいよぉぉぉっ……うえっ、えぐぅっ」
「君に呪いをかけたのは司祭だ。思った以上に強い呪いだったみたいだな……」
ヴァルア様は低い声で呟き、歯ぎしりをした。
「君はもう俺のものなんだぞ。いつまで司祭に憑りつかれているんだ」
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