50 / 72
一年:学期末考査~一学期中間考査
第四十四話
しおりを挟む
一人でメシ食って。狭いベッドで一人で寝て。朝起きてもそこには俺一人。
少し前までこれが当たり前だったのにな。
今じゃ耐えられないくらい、寂しくてしょうがない。
成績発表日を境に、凪がうちに来なくなった。
あれから凪とは一言も言葉を交わしていない。
そんな関係のまま、春休みに入ってしまった。
凪が俺の生活から消えてから、なにもやる気が起きなくなった。
メシを食うのも億劫だ。勉強なんてできるはずもない。
何もせずにぼうっとベッドで寝転がっていると、勝手に一日が過ぎていった。
浮かれていたんだ、俺。
俺と凪は、やっぱりただのクラスメイトだった。
〝学年二位が学年一位の言うことをなんでも聞く〟という勝負だけで繋がっていた、ただのクラスメイト。
ああ。この感覚知っている。
勘違いして、犬みたいに尻尾振って、バカみたいに懐いて、好きになって――
突然、俺が見ていた世界が全部嘘だったという現実を目の前に突き付けられる。
世界が揺らぐ。
何も信じられなくなって、家の外に出るのも怖くなる。
だから人付き合いは苦手なんだ。
いつだって上手くいかない。
だから捨てたはずなのに。
どうして俺は懲りずに〝友だち〟を作ってしまったんだろう。
◇
あのときと同じ。そう、同じなだけ。
すっぱり割り切って、なにもかも忘れて、誰ともかかわらずに一人で生きていけばいいだけ。
単純なことだ。答えはもうはっきり分かっている。
「……いやだ……」
分かっているのに……
あのときは捨てることができたのに。
「凪……」
凪と過ごした日々のことだけは忘れたくない。
凪がそばにいない毎日なんていやだ。
たとえまた辛いことがあったとしても、それでもいい。
このまま凪と離ればなれるのはいやだ。
俺はゆっくりと上体を起こした。
俺、何日風呂に入っていないっけ。頭かゆすぎ。
ガシガシと髪を洗いながら、凪のことを考える。
あいつが俺から離れた理由。
俺が学年二位じゃなくなったから。
どうしてそれで離れていった?
俺が思いのほかアホで呆れたから。興味を失ったから。
……たぶん違う。
あいつは最後に謝っていた。
俺があんな順位になったのを、自分のせいだと考えていた。
俺の勉強する時間を奪ったから。
《俺が……理玖が大事にしてたこと、蔑ろにさせた》
あんなに学年一位を目指して頑張っていた俺が、凪に夢中になりすぎて勉強しなくなったから。
もしかしたら凪は、俺の唯一の取柄を奪ってしまったと思ったのかもしれない。
「……」
もしそうなら……
今回のことは、前とは全然違ってくる。
凪は俺のために、俺から離れようとした。
それって、俺のことを大事に思ってくれているからこそしたことなんじゃねえのって、思った。
「だったら……」
俺はまだ、凪を失ったわけじゃないはずだ。
そう思わないとやっていけないし。
だって俺、凪のことはどうしても諦められないから。
諦められないのなら、風呂も入らず寝ているだけじゃダメだろ、俺。
お前がいても俺は大丈夫だぞって、あいつに教えてやるんだ。
それと――
あの修学旅行の日のことも、俺はもう全く気にしていないって、教えてやるんだ。
あいつ、ずっとそのことを気にしていたから。
全部安心させて、凪に戻ってきてもらうんだ。
〝学年二位が学年一位の言うことをなんでも聞く〟
そんな勝負がなくたって、俺たちは一緒にいられるんだぞって、あいつに言ってやる。
少し前までこれが当たり前だったのにな。
今じゃ耐えられないくらい、寂しくてしょうがない。
成績発表日を境に、凪がうちに来なくなった。
あれから凪とは一言も言葉を交わしていない。
そんな関係のまま、春休みに入ってしまった。
凪が俺の生活から消えてから、なにもやる気が起きなくなった。
メシを食うのも億劫だ。勉強なんてできるはずもない。
何もせずにぼうっとベッドで寝転がっていると、勝手に一日が過ぎていった。
浮かれていたんだ、俺。
俺と凪は、やっぱりただのクラスメイトだった。
〝学年二位が学年一位の言うことをなんでも聞く〟という勝負だけで繋がっていた、ただのクラスメイト。
ああ。この感覚知っている。
勘違いして、犬みたいに尻尾振って、バカみたいに懐いて、好きになって――
突然、俺が見ていた世界が全部嘘だったという現実を目の前に突き付けられる。
世界が揺らぐ。
何も信じられなくなって、家の外に出るのも怖くなる。
だから人付き合いは苦手なんだ。
いつだって上手くいかない。
だから捨てたはずなのに。
どうして俺は懲りずに〝友だち〟を作ってしまったんだろう。
◇
あのときと同じ。そう、同じなだけ。
すっぱり割り切って、なにもかも忘れて、誰ともかかわらずに一人で生きていけばいいだけ。
単純なことだ。答えはもうはっきり分かっている。
「……いやだ……」
分かっているのに……
あのときは捨てることができたのに。
「凪……」
凪と過ごした日々のことだけは忘れたくない。
凪がそばにいない毎日なんていやだ。
たとえまた辛いことがあったとしても、それでもいい。
このまま凪と離ればなれるのはいやだ。
俺はゆっくりと上体を起こした。
俺、何日風呂に入っていないっけ。頭かゆすぎ。
ガシガシと髪を洗いながら、凪のことを考える。
あいつが俺から離れた理由。
俺が学年二位じゃなくなったから。
どうしてそれで離れていった?
俺が思いのほかアホで呆れたから。興味を失ったから。
……たぶん違う。
あいつは最後に謝っていた。
俺があんな順位になったのを、自分のせいだと考えていた。
俺の勉強する時間を奪ったから。
《俺が……理玖が大事にしてたこと、蔑ろにさせた》
あんなに学年一位を目指して頑張っていた俺が、凪に夢中になりすぎて勉強しなくなったから。
もしかしたら凪は、俺の唯一の取柄を奪ってしまったと思ったのかもしれない。
「……」
もしそうなら……
今回のことは、前とは全然違ってくる。
凪は俺のために、俺から離れようとした。
それって、俺のことを大事に思ってくれているからこそしたことなんじゃねえのって、思った。
「だったら……」
俺はまだ、凪を失ったわけじゃないはずだ。
そう思わないとやっていけないし。
だって俺、凪のことはどうしても諦められないから。
諦められないのなら、風呂も入らず寝ているだけじゃダメだろ、俺。
お前がいても俺は大丈夫だぞって、あいつに教えてやるんだ。
それと――
あの修学旅行の日のことも、俺はもう全く気にしていないって、教えてやるんだ。
あいつ、ずっとそのことを気にしていたから。
全部安心させて、凪に戻ってきてもらうんだ。
〝学年二位が学年一位の言うことをなんでも聞く〟
そんな勝負がなくたって、俺たちは一緒にいられるんだぞって、あいつに言ってやる。
390
あなたにおすすめの小説
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜
春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、
癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!?
トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。
彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!?
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて――
運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない!
恋愛感情もまだわからない!
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。
個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!?
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする
愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ!
月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新)
基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!
「これからも応援してます」と言おう思ったら誘拐された
あまさき
BL
国民的アイドル×リアコファン社会人
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
学生時代からずっと大好きな国民的アイドルのシャロンくん。デビューから一度たりともファンと直接交流してこなかった彼が、初めて握手会を開くことになったらしい。一名様限定の激レアチケットを手に入れてしまった僕は、感動の対面に胸を躍らせていると…
「あぁ、ずっと会いたかった俺の天使」
気付けば、僕の世界は180°変わってしまっていた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
初めましてです。お手柔らかにお願いします。
ムーンライトノベルズさんにも掲載しております
ハイスペックストーカーに追われています
たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!!
と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。
完結しました。
今日もBL営業カフェで働いています!?
卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ
※ 不定期更新です。
日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが
五右衛門
BL
月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。
しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──
借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます
なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。
そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。
「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」
脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……!
高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!?
借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。
冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!?
短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。
無自覚両片想いの鈍感アイドルが、ラブラブになるまでの話
タタミ
BL
アイドルグループ・ORCAに属する一原優成はある日、リーダーの藤守高嶺から衝撃的な指摘を受ける。
「優成、お前明樹のこと好きだろ」
高嶺曰く、優成は同じグループの中城明樹に恋をしているらしい。
メンバー全員に指摘されても到底受け入れられない優成だったが、ひょんなことから明樹とキスしたことでドキドキが止まらなくなり──!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる