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おまけ:夏休み
夏休み-2
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夏休みに入ったばかりの、ある日の昼。
仲の良い友人たちとのグループチャットが賑やかだった。
俺は勉強の合間にチャットの内容を見てはいたものの、反応はしていなかった。
そんな中、Cがこんなチャットをした。
《8月14日、みんな予定あるー?》
それに対して、他の友だちが《ないよー!》《ヒマー》などと返している。
俺もその日は予定がなかったので、《ない》とだけ返しておいた。
するとCがまた発言する。
《夏祭りあるじゃん? みんなで行こうよー!》
俺は唾を呑み込んだ。
夏祭り。友だちと、夏祭り……!
そういえば、ついこの間、凪が夏祭りのチラシを持ち帰っていたな。
夏祭りってあれだろ。いっぱい並んでいる屋台の間を歩いて、焼きそばとか焼きトウモロコシとか買ってさ。金魚すくいとか、射的とかやってはしゃいで、最後に花火を見る、アレだろ……!?
そんなイベントに、俺は今、友だちに誘われている。
そ、そそ、そんな、青春の一ページを、俺はとうとう、刻むことができるっていうのか……!?
スマホを持つ手が震えている。これは夢かもしれないと、何度も疑った。
やばい。心臓がバクバクする。
友人たちは次々と返事をしている。
《えっ、最高じゃん! 行こ行こ!!》
《俺も行く!! 全員浴衣で集合な!》
ゆ か た !?
浴衣を着た友だちと、夏祭り!?
「はっ……はぁ……はぁぁ……っ!!」
感情が昂りすぎて過呼吸になりそうだ。
お、俺たち、その前に海に遊びに行く予定まであるのに……!
その上夏祭りイベントまでやっちゃうのか!? たった一カ月間でそんな、そんなイベントたくさんして大丈夫なのか!?
俺は呼吸を整えてから《行く》と返した。
しかし――
《ごめん。俺と理玖はパス》
と、俺のすぐあとに凪のメッセージが入った。
「えっ」
俺がフリーズしている間に、Cが《だよねー! りょ!》と返していた。
「……」
昂っていた気分が、ちょっとずつ沈んでいく。
なんで? 俺、行きたかったのに。なんで凪が勝手に俺の予定まで口出すんだよ。
お前が予定あって行けなくても、俺一人でも行きたかった……
夕方、凪が帰ってきた。凪も俺も不機嫌な顔をしている。
「……ただいま」
「……おかえり」
なんでお前までそんな顔をしているんだよ。
凪は無言でシャワーを浴びに行き、俺は無言で凪の服を洗濯機に突っ込む。
数十分後、シャワーを浴びた凪が無言でソファに腰掛けた。俺はそんな凪に目もくれず、無言でテレビを見続けた。
しばらくして、凪が口を開く。
「怒ってんの?」
俺はそれでも頑なにテレビから目を離さなかった。
「そんなにみんなと夏祭り行きたかった?」
俺はムスッとしたまま、テレビからちょっと目を逸らした。
「理玖、そういうの憧れてるもんな」
分かってんなら、なんで俺の分までキャンセルしたんだよ。
俺は質問に質問で返す。
「お前はなんで怒ってんの?」
俺、なんもしてないだろ。お前が怒る道理なんかひとつもなくねえか。
凪は「俺は……」と呟き、俯いたまま言葉を続ける。
「嫉妬してるだけ」
は? 誰に嫉妬してんだよ。嫉妬するタイミングなんかなかっただろう。
その疑問をそのまま口に出すと、凪は恨みがましい目でこちらを見た。
「……俺、いっつも友だちに負ける」
「……?」
「理玖は友だちが大好きだから、いっつも……」
「お、おい。意味が分からん。どういうこと」
確かに俺は、最近やっとできた友だちのことを大切に思っているし、好きではあるが……
凪はためらいを見せたあと、声を絞り出した。
「俺、は……。夏祭り、理玖と二人で行きたかったんだ……」
「!?」
「夏祭りのチラシ見せても理玖の反応薄かったから……興味ないのかと思ってたのに」
「いや、それは……あの……」
「なのに、Cに誘われたら即答でOK出して……」
違う。凪が夏祭りのチラシを持ち帰ったときはだな。別世界の話だと思って何も感じていなかったんだよ!
まさか俺が夏祭りなんていうイベントに参加できるなんて思わねえじゃん!!
「チャットだけでも、理玖のテンション上がってたの分かったよ。あー、俺とじゃなくて友だちと行きたかったんだって思った」
「ちが……」
「でも、ごめん」
凪は俺を抱き寄せ、乱暴なキスをした。
「俺も友だちのこと好きだけど、友だちに理玖取られるのだけは無理だから」
「凪……ちょっと……」
「理玖の気持ちは分かってるけど、理玖が俺より友だち選ぶのだけは無理だから」
「おい……俺の話を聞け……」
「だから、今年の夏は俺と二人で夏祭り行って。おねがい」
ここに繋ぎとめておきたいという気持ちからだろうか。
それとも凪なしでは生きていけないことを思い知らせるためだろうか。
はたまたぐちゃぐちゃになった感情をうまく言葉にできない苛立ちからだろうか。
凪はその場に俺を押し倒し、荒っぽく俺を抱いた。
「んぃぃぃ……っ!!」
「来年はさ……友だちとみんなで行こう……っ。でも、今年は俺と二人で行ってよっ……」
「あっ! んっ、んんっ、凪……っ、ちょ、おまっ……激しいって……っ!! 痛いっ……!」
「理玖、夏祭り行ったことないんでしょ……っ。俺、友だちに理玖のはじめて取られたくない……っ。だから、今年はさ……っ、理玖のはじめての夏祭りはさ……っ、俺にちょうだいよ……っ」
相当頭に来ていたようだ。凪はそのまま腰を振り続け、俺の中に精液を注ぎ込んだ。中出しはおろか、生ですることも、過去にそのせいで俺が腹を壊したために「二度としない」と凪は言っていたのに。
「は……、んん……っ」
俺の意思を全く無視して身勝手に中出しされたはずなのに。
凪の精液が、今俺の中にあることに、喜びを感じてしまった。
それと、こんなくだらないことで理性を吹き飛ばすほどに嫉妬する凪にも。
やりたいことをやるだけやってから、やっと理性が戻って来たのだろう。
凪は顔を青くして「ごめん」と消え入りそうな声を出した。
俺はぐったりしたまま両腕を広げる。
「おい……。やるならもうちょっとマシなセックスしろ……」
「……ごめん」
「ほら。ん」
「……」
促されるまま、凪は俺を抱きしめキスをする。
キスのあと、俺は凪を抱きしめたまま言った。
「言っとくけど、お前が俺を祭りに誘ったの、今日がはじめてだぞ」
「……でも」
「チラシ持ってきただけじゃ分かんねえよ……」
「……ごめん」
こいつは人の顔色ばっかり窺うからな……。俺が興味なさそうな顔をしていたから、断られることに怯えて誘うに誘えなかったんだろうが……。
「お前と友だちに同時に誘われたら、お前を選ぶに決まってるだろ」
「……」
「こんなことしなくたって……無理強いしなくたって、俺はちゃんと、お前を選ぶよ」
今までこいつは、愛されたい人に選ばれたことがなかったから。
だから、こんな不器用なことをしてしまうんだろう。
そんなこいつが危うくて、危うければ危ういほど愛おしくなって。
俺はどんどん、こいつのことを好きになってしまうんだ。
仲の良い友人たちとのグループチャットが賑やかだった。
俺は勉強の合間にチャットの内容を見てはいたものの、反応はしていなかった。
そんな中、Cがこんなチャットをした。
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それに対して、他の友だちが《ないよー!》《ヒマー》などと返している。
俺もその日は予定がなかったので、《ない》とだけ返しておいた。
するとCがまた発言する。
《夏祭りあるじゃん? みんなで行こうよー!》
俺は唾を呑み込んだ。
夏祭り。友だちと、夏祭り……!
そういえば、ついこの間、凪が夏祭りのチラシを持ち帰っていたな。
夏祭りってあれだろ。いっぱい並んでいる屋台の間を歩いて、焼きそばとか焼きトウモロコシとか買ってさ。金魚すくいとか、射的とかやってはしゃいで、最後に花火を見る、アレだろ……!?
そんなイベントに、俺は今、友だちに誘われている。
そ、そそ、そんな、青春の一ページを、俺はとうとう、刻むことができるっていうのか……!?
スマホを持つ手が震えている。これは夢かもしれないと、何度も疑った。
やばい。心臓がバクバクする。
友人たちは次々と返事をしている。
《えっ、最高じゃん! 行こ行こ!!》
《俺も行く!! 全員浴衣で集合な!》
ゆ か た !?
浴衣を着た友だちと、夏祭り!?
「はっ……はぁ……はぁぁ……っ!!」
感情が昂りすぎて過呼吸になりそうだ。
お、俺たち、その前に海に遊びに行く予定まであるのに……!
その上夏祭りイベントまでやっちゃうのか!? たった一カ月間でそんな、そんなイベントたくさんして大丈夫なのか!?
俺は呼吸を整えてから《行く》と返した。
しかし――
《ごめん。俺と理玖はパス》
と、俺のすぐあとに凪のメッセージが入った。
「えっ」
俺がフリーズしている間に、Cが《だよねー! りょ!》と返していた。
「……」
昂っていた気分が、ちょっとずつ沈んでいく。
なんで? 俺、行きたかったのに。なんで凪が勝手に俺の予定まで口出すんだよ。
お前が予定あって行けなくても、俺一人でも行きたかった……
夕方、凪が帰ってきた。凪も俺も不機嫌な顔をしている。
「……ただいま」
「……おかえり」
なんでお前までそんな顔をしているんだよ。
凪は無言でシャワーを浴びに行き、俺は無言で凪の服を洗濯機に突っ込む。
数十分後、シャワーを浴びた凪が無言でソファに腰掛けた。俺はそんな凪に目もくれず、無言でテレビを見続けた。
しばらくして、凪が口を開く。
「怒ってんの?」
俺はそれでも頑なにテレビから目を離さなかった。
「そんなにみんなと夏祭り行きたかった?」
俺はムスッとしたまま、テレビからちょっと目を逸らした。
「理玖、そういうの憧れてるもんな」
分かってんなら、なんで俺の分までキャンセルしたんだよ。
俺は質問に質問で返す。
「お前はなんで怒ってんの?」
俺、なんもしてないだろ。お前が怒る道理なんかひとつもなくねえか。
凪は「俺は……」と呟き、俯いたまま言葉を続ける。
「嫉妬してるだけ」
は? 誰に嫉妬してんだよ。嫉妬するタイミングなんかなかっただろう。
その疑問をそのまま口に出すと、凪は恨みがましい目でこちらを見た。
「……俺、いっつも友だちに負ける」
「……?」
「理玖は友だちが大好きだから、いっつも……」
「お、おい。意味が分からん。どういうこと」
確かに俺は、最近やっとできた友だちのことを大切に思っているし、好きではあるが……
凪はためらいを見せたあと、声を絞り出した。
「俺、は……。夏祭り、理玖と二人で行きたかったんだ……」
「!?」
「夏祭りのチラシ見せても理玖の反応薄かったから……興味ないのかと思ってたのに」
「いや、それは……あの……」
「なのに、Cに誘われたら即答でOK出して……」
違う。凪が夏祭りのチラシを持ち帰ったときはだな。別世界の話だと思って何も感じていなかったんだよ!
まさか俺が夏祭りなんていうイベントに参加できるなんて思わねえじゃん!!
「チャットだけでも、理玖のテンション上がってたの分かったよ。あー、俺とじゃなくて友だちと行きたかったんだって思った」
「ちが……」
「でも、ごめん」
凪は俺を抱き寄せ、乱暴なキスをした。
「俺も友だちのこと好きだけど、友だちに理玖取られるのだけは無理だから」
「凪……ちょっと……」
「理玖の気持ちは分かってるけど、理玖が俺より友だち選ぶのだけは無理だから」
「おい……俺の話を聞け……」
「だから、今年の夏は俺と二人で夏祭り行って。おねがい」
ここに繋ぎとめておきたいという気持ちからだろうか。
それとも凪なしでは生きていけないことを思い知らせるためだろうか。
はたまたぐちゃぐちゃになった感情をうまく言葉にできない苛立ちからだろうか。
凪はその場に俺を押し倒し、荒っぽく俺を抱いた。
「んぃぃぃ……っ!!」
「来年はさ……友だちとみんなで行こう……っ。でも、今年は俺と二人で行ってよっ……」
「あっ! んっ、んんっ、凪……っ、ちょ、おまっ……激しいって……っ!! 痛いっ……!」
「理玖、夏祭り行ったことないんでしょ……っ。俺、友だちに理玖のはじめて取られたくない……っ。だから、今年はさ……っ、理玖のはじめての夏祭りはさ……っ、俺にちょうだいよ……っ」
相当頭に来ていたようだ。凪はそのまま腰を振り続け、俺の中に精液を注ぎ込んだ。中出しはおろか、生ですることも、過去にそのせいで俺が腹を壊したために「二度としない」と凪は言っていたのに。
「は……、んん……っ」
俺の意思を全く無視して身勝手に中出しされたはずなのに。
凪の精液が、今俺の中にあることに、喜びを感じてしまった。
それと、こんなくだらないことで理性を吹き飛ばすほどに嫉妬する凪にも。
やりたいことをやるだけやってから、やっと理性が戻って来たのだろう。
凪は顔を青くして「ごめん」と消え入りそうな声を出した。
俺はぐったりしたまま両腕を広げる。
「おい……。やるならもうちょっとマシなセックスしろ……」
「……ごめん」
「ほら。ん」
「……」
促されるまま、凪は俺を抱きしめキスをする。
キスのあと、俺は凪を抱きしめたまま言った。
「言っとくけど、お前が俺を祭りに誘ったの、今日がはじめてだぞ」
「……でも」
「チラシ持ってきただけじゃ分かんねえよ……」
「……ごめん」
こいつは人の顔色ばっかり窺うからな……。俺が興味なさそうな顔をしていたから、断られることに怯えて誘うに誘えなかったんだろうが……。
「お前と友だちに同時に誘われたら、お前を選ぶに決まってるだろ」
「……」
「こんなことしなくたって……無理強いしなくたって、俺はちゃんと、お前を選ぶよ」
今までこいつは、愛されたい人に選ばれたことがなかったから。
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