【完結】【R18BL】夏休みに落ちた恋【オメガバース】

ちゃっぷす

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夏休み上旬

28話 8月3日:おっぱい

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 ナナさんに怜の事情――オメガ性が高すぎて大量の抑制剤を飲まなければいけないこと――を相談すると、薬を飲まなくてもいいように対処してくれた。行き帰りはダイキさんが車で迎えに来てくれることになったし、バーベキューは穴場でほとんど誰もいない小さな川ですることになった。

 それを怜に伝えると、ぽわぽわとした表情になった。見開いたこいつの目から、小さな星屑が零れ落ちそうだ。

「あ、ありがとう」
「お礼は先輩たちに言うんだな」
「うん……」

 バーベキュー当日、俺の家の前までナナさん一行が迎えに来てくれた。セックスをしていた俺たちは(おしゃれで美人なよそいきの怜の姿を見て興奮してしまったんだよ)、大慌てで服を着て、家を出る。

「おーい、こっちこっちー!」

 ナナさんが車から降りて駆け寄ってきたのだが、俺らとの距離が五メートルくらいになったとき、「あんたたちねえ!」と呆れたような声を上げた。

「くっさ!! セックスしてたでしょ!!」
「えっ! くさいっすか!?」
「強烈なアルファとオメガ臭!! あんたら私らを誘惑したいの!?」
「げっ……。す、すみません……」
「ほんと、もうちょっと考えてよね!」

 ぷんぷんと頬を膨らませて説教をするナナさんは、怜の姿を見て目を輝かせた。

「わぁ~!! こりゃまたすごいオメガさんだ……! はじめまして、私ナナよ!」
「は、はじめまして。高浜です……」
「うわあ~……そりゃ朱鷺くんが夢中になるわけだ……」

 照れくさそうに俯いた怜の隣で、俺はムスッと唇を尖らせる。

「ちょっとナナさん。俺は別に、こいつの容姿とオメガ臭に釣られたわけじゃないっすよ」
「あら」

 ナナさんはキョトンとしたかと思えば、腹をかかえて笑った。

「あはは! そっかそっか! これは失礼!!」

 そしてふと顔を上げ、口をあんぐり開ける。

「……え? 朱鷺くん、何それ……」
「あ? これですか? 首輪ですけど」
「オメガ用の……?」
「はい」
「どうして……」

 俺は親指で怜をクイと指さした。

「嫌がるこいつに無理やり首輪付けさせたんで、ついでに俺も付けました。これでフェアでしょ」
「そ、そう……」

 そのとき、ちょっとだけナナさんの瞳がうるんだ気がした。
 だがすぐに笑顔に戻り、怜の腕にしがみついた。ナナさんのおっぱいが怜の腕にぶにぶに当たっていたので思わず俺は怒気をはらんだ叫び声を上げた。

「あーーーー! ちょっと、何してんすかナナさん! 怜から離れろ!!」
「うるさいなあ。いいじゃん、別に。狙ってなんかないわよ」
「怜がおっぱいの良さを知ったらどうすんですかボケ! 俺にはそんなおっぱいないんだぞ!!」

 俺たちの会話を聞いていた怜が、無表情でナナさんのおっぱいを鷲掴みにした。

「あーーーーーーー!! れ、怜!! なにしてんだお前ーーーー!!」
「へえ。たぷたぷしてるね」
「やめろおおおおおそれ以上揉むな戻れなくなるぞお前ぇぇぇっ!!」

 絶叫している俺を、おっぱいを揉みながら無表情で眺める怜。
 おっぱいを揉みしだかれているのに、ニコニコと赤ちゃんを見るような目で怜を見ているナナさん。

「柔らかくて気持ちいいね」
「やめろおおおおおお!!」

 キュ、と怜が服越しにナナさんの乳首をつまんだ。

「ンッ♡」
「こりこりしてるね」
「あああああああああーーーーー!!」

 耐えきれず、俺は地面に崩れ落ちた。もう見たくない。怜がおっぱいを揉んでいるところなんて見たくない。なんでそんなことするんだ怜きさまああああ……っ!

 しばらくナナさんのおっぱいを堪能していた怜は、何事もなかったかのようにパッと手を離した。

「僕、このおっぱいに勝ったのかあ」
「そうよ、怜くん。このおっぱいだけじゃなくて、それプラス、割と良いオメガのおちんちん二本セットにも勝ったんだよっ」
「それはすごい」
「でしょでしょ! ほんとにすごいことだよお!」
「えへへ。嬉しい」

 俺はうずくまっていたので怜の表情が見えなかったが、そのあとすぐにナナさんが「きゃー! かわいい~!」と言って怜に抱き着いたのは分かった。
 その後、俺たちは車に乗り、マサルさんとダイキさんに挨拶をしてから川に向かった。

 大学生オメガたちは、俺よりも怜に話しかけていた。たぶん、怜の緊張をほぐそうとしてくれていたんじゃないかと思う。みんな気さくで、優しくて、川に到着したころには、怜の緊張感や警戒心はすっかりなくなっていた。
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