一番のクズは…

蛭魔だるま

文字の大きさ
35 / 36

番外編:出会い3

しおりを挟む
次の日、俺は待ち合わせ場所に1人でいた。

少し、早かったか?一応10分前に来てみたが、そもそもあいつがそんなに早くくるはずはなかった。

スマホをいじって待っていると電話がかかってきた。

「もしもしー、お前今どこにいんの?」

「なんかでかい時計ついてるビルのとこ」

「あ?どこだそれ」

「ねぇ、あっちじゃない?」

あいつの電話から女の声が聞こえた。たぶん噂の従妹だろう。

「あ、みーっけた」

にやにやしたあいつと申し訳なさそうにしている女が近づいてきた。

「待ち合わせ時間変わったのかと思ったよ」

「お前がわかりずれぇところで待ってんのが悪い」

「すみません、この馬鹿が用意遅くて」

ぺこぺこと女は頭を下げる。

「ああ、いやいいよ。こいつが遅刻するのはいつもだから。むしろ10分前行動した俺が馬鹿だったよ」

「だよな」

「「お前は反省しろ」」

その後、とりあえず俺らは適当な居酒屋に入って酒を飲んでいた。

「だからよ、お前もそろそろ彼氏作れって。今日の会だってそのためなんだから」

彼女は一瞬悲しそうな顔をした。惚れた相手から違う相手を好きになれなんて結構つらいことなんだろう。

俺ならお前こそ違う相手好きになれよっていいそうだけど。

「いや…うん…」

「俺の知り合いで一番いい男紹介してんだぜ。お前もいいよな、なんたって俺の可愛い従妹様だからな」

「ああ、確かにお前の従妹にしとくのはもったいないくらい可愛いな」

あ、ちょっと照れてる可愛い。

「付き合えば?ほら、真面目なお前が大好きな、俺と正反対の糞真面目タイプだし」

「俺は君さえ良ければ大歓迎だけど」

やりすぎたか。さっきもそうだけど今日会ったばかりのやつに、好きな人の前で口説かれたところで気持ち悪さが増すだけな気がしてきた。

「俺はお前が行き遅れないか心配なんだよ。それともなんだ、俺のオススメは不満か?」

あいつの声が少し低くなった。なぜかこいつが優位に立っている。

「ううん、そんなことない。素敵な人だなって思ってるけど…」

「けど?」

ちらりと彼女は俺を見てきた。

「私でいいのかなって思っただけだよ」

彼女はまた悲しそうに笑った。

この日は結局俺と彼女が連絡先を交換して終わった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

離婚した妻の旅先

tartan321
恋愛
タイトル通りです。

手を伸ばした先にいるのは誰ですか~愛しくて切なくて…憎らしいほど愛してる~【完結】

まぁ
恋愛
ワイン、ホテルの企画業務など大人の仕事、そして大人に切り離せない恋愛と… 「Ninagawa Queen's Hotel」 若きホテル王 蜷川朱鷺  妹     蜷川美鳥 人気美容家 佐井友理奈 「オークワイナリー」 国内ワイナリー最大手創業者一族 柏木龍之介 血縁関係のない兄妹と、その周辺の何角関係…? 華やかな人々が繰り広げる、フィクションです。

有名俳優の妻

うちこ
恋愛
誰もが羨む結婚と遺伝子が欲しかった そこに愛はいらない

ドリンクバーさえあれば、私たちは無限に語れるのです。

藍沢咲良
恋愛
同じ中学校だった澄麗、英、碧、梨愛はあることがきっかけで再会し、定期的に集まって近況報告をしている。 集まるときには常にドリンクバーがある。飲み物とつまむ物さえあれば、私達は無限に語り合える。 器用に見えて器用じゃない、仕事や恋愛に人付き合いに苦労する私達。 転んでも擦りむいても前を向いて歩けるのは、この時間があるから。 〜main cast〜 ・如月 澄麗(Kisaragi Sumire) 表紙右から二番目 age.26 ・山吹 英(Yamabuki Hana) 表紙左から二番目 age.26 ・葉月 碧(Haduki Midori) 表紙一番右 age.26 ・早乙女 梨愛(Saotome Ria) 表紙一番左 age.26 ※作中の地名、団体名は架空のものです。 ※この作品はエブリスタ、小説家になろうでも連載しています。

隣の夫婦 ~離婚する、離婚しない、身近な夫婦の話

紫さゆり
恋愛
オムニバス形式です。 理解し合って結婚したはずの梓、同級生との再会が思わぬことになる雅美、年下の夫のかつての妻に引け目を感じる千晴、昔の恋の後悔から前向きになれない志織。 大人の女性のストーリーです。

旦那様の愛が重い

おきょう
恋愛
マリーナの旦那様は愛情表現がはげしい。 毎朝毎晩「愛してる」と耳元でささやき、隣にいれば腰を抱き寄せてくる。 他人は大切にされていて羨ましいと言うけれど、マリーナには怖いばかり。 甘いばかりの言葉も、優しい視線も、どうにも嘘くさいと思ってしまう。 本心の分からない人の心を、一体どうやって信じればいいのだろう。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

不倫の味

麻実
恋愛
夫に裏切られた妻。彼女は家族を大事にしていて見失っていたものに気付く・・・。

処理中です...