おじ専女子の望まぬモテ期

蛭魔だるま

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「ゼミ決めた?」
「はい、私は南ちゃんとこで、この子は先生のとこですよ」
「マジで?嬉しいねー。さっきの説明酷かったから絶対誰も来てくれないと思ってた。影でアップルパイとか呼ばれてそうだし」
「私も!アップルパイ、好きです」

 きもい。やっと喋ったかと思えば、フォローになってない言葉を言ってしまった。

「じゃあ今度、美味しいアップルパイのお店教えて」

 松原先生は煙草を消し、吸い殻入れに入れた。
「はい!…あの、煙草のこと内緒にするんで、ゼミ入れてください」

 勢いで頭を下げながら言ってしまった。そんなことしてくれるわけないし、完全に終わった。私は先生がどんな顔しているか怖くて顔上げられなかった。

「ははっ俺脅されたの初めて。まあでも、その熱意を紙に書いてくれば受かると思うよ。脅し文句も添えてね。…あれ、これ贔屓に入るのかな?」
「セーフなんじゃないですか?質問してアピールするのと一緒で」
「それだ。じゃあ、君の志望理由読むの楽しみにしてるね」

 松原先生は私たちに手を振り喫煙所を後にした。

「はぁ…かっこいい」
「私たちもそろそろ行くか」

 私は先生の後ろ姿を見ながら頷く。潤香は煙草の匂い消しのために香水をつけた。

「ただいまー」
「遅かったねー」
「喫煙所で宗一郎と喋ってた」
「喫煙所で?」

 潤香が墓穴を掘った。

「宗一郎が喫煙所行くの見えたから、煙草吸ってるとこ見たくてこっそり覗いたらばれた」
「何してんの」

 真琴が笑った。いい嘘がつけたようだ。

「緋色がさー、マジで乙女の顔してんの。あんな顔初めて見たわ」
「マジでかっこよかった!全然上手く喋れなかったけど…」
「あんなにコミュ力のない緋色も初めて見た」
「何喋ったのさ」

 私たちは真琴と沙代里にさっきあったことを話しながら、志望書を書いた。

「あれ、でもさ、緋色名乗ってなくない?」
「え?」
「確かに」
「…あ」
「脅し文句書くしかないわ」
「嫌だわ」

 脅し文句は書かなかったけど、煙草吸う先生はかっこよかったですと一言添えておいた。
 どうか受かっていますように。
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