24 / 61
三
三
しおりを挟む
近々北で開催される 集縁祭と言う祭りがある。
各国の神々が集まり、その数日間は観光客が増える為、北から南までの国土が活気づく。
集縁祭は上級の神々しか参加出来ない為、参加出来ないもの達がこちらに流れつく。
その為、町は町で祭りを開くらしい。
「その数日間はむちゃくちゃ治安悪くなるから外出禁止な」
「···まぁ、良いけど」
祭りは来月。
色んな国の神や妖が来る為、国全体は潤うが悪魔や悪神等も遊びに来る為無法地帯になるとの事。
勿論警備隊を配置しているが、いつもより治安が悪くなるのには変わりない。
「ここに人間が居ると知れば間違いなく狙って来るからな」
捕まって食い殺されてしまうだろう。
繋達と一緒にいるから忘れそうになるがこの世界は結にとって危険に変わりないのだ。
「まぁ、話はこれくらいにして茶を入れてきてくれ」
「···あ、ぅん。わかった」
繋の机にある湯呑みを取り、お盆に乗せて「ついでだから何か甘い物をもってこよう」と、考えながら執務室の襖を開けようとした時だ。
----ガラリと、勝手に襖が開いた。
「··········」
目の前には鶴に似た大きな翼を生やした高身長の綺麗な女性。
思わず見惚れていたら女性の顔が歪んだ。
「誰?あんた」
女性は思いの外怖かった。
ここ、一週間以上この屋敷に世話になっているが、屋敷にこんな怖い美人を見た事ない。
「姫雛か」
「長。戻ったわよ」
風呂敷を持った姫雛と呼ばれた美女は結を押しのけて繋の傍に寄る。
「西中に羽毛の羽織売りつけてきたわ」
「ご苦労さん。あっちで良い烏でも捕まえてきたか?」
「あきちはいつでも長一筋よ」
妖艶な着物を纏った美女は机に乗って繋の頬を触れながら小さく笑う。
何だか強烈なお姉さんが登場してきたなと遠目で見た後に結は静かに襖を閉めた。
「······さっきの娘。あれ何よ?」
西の様々な町や村に自分の町の名産物の営業しに行き、取引をしていた姫雛は結の存在なんて知らないのは当たり前だろう。
どう見ても妖でもましてや神でもないのは目に見える。
「人間だ」
「人間!?」
何故この世界に人間がいるのだと姫雛は目を見開き驚愕する。
原因不明の何かによって迷い込み、帰れなくなったから保護をしている。
座敷わらしのイタズラでこの世界の食べ物を口にした事。
自分の身の回りの世話を仕事として与えている事を伝えると「信じられない」という顔をした。
「身の回りの世話なら私が···っ!」
「お前は別の仕事があるだろ。結が出来るのはそれしかなかったからさせているだけだ」
力も能力もない結ができる事が繋の秘書的役割。
それを目の前にいる繋の口から聞いた姫雛は顔を歪ませた。
各国の神々が集まり、その数日間は観光客が増える為、北から南までの国土が活気づく。
集縁祭は上級の神々しか参加出来ない為、参加出来ないもの達がこちらに流れつく。
その為、町は町で祭りを開くらしい。
「その数日間はむちゃくちゃ治安悪くなるから外出禁止な」
「···まぁ、良いけど」
祭りは来月。
色んな国の神や妖が来る為、国全体は潤うが悪魔や悪神等も遊びに来る為無法地帯になるとの事。
勿論警備隊を配置しているが、いつもより治安が悪くなるのには変わりない。
「ここに人間が居ると知れば間違いなく狙って来るからな」
捕まって食い殺されてしまうだろう。
繋達と一緒にいるから忘れそうになるがこの世界は結にとって危険に変わりないのだ。
「まぁ、話はこれくらいにして茶を入れてきてくれ」
「···あ、ぅん。わかった」
繋の机にある湯呑みを取り、お盆に乗せて「ついでだから何か甘い物をもってこよう」と、考えながら執務室の襖を開けようとした時だ。
----ガラリと、勝手に襖が開いた。
「··········」
目の前には鶴に似た大きな翼を生やした高身長の綺麗な女性。
思わず見惚れていたら女性の顔が歪んだ。
「誰?あんた」
女性は思いの外怖かった。
ここ、一週間以上この屋敷に世話になっているが、屋敷にこんな怖い美人を見た事ない。
「姫雛か」
「長。戻ったわよ」
風呂敷を持った姫雛と呼ばれた美女は結を押しのけて繋の傍に寄る。
「西中に羽毛の羽織売りつけてきたわ」
「ご苦労さん。あっちで良い烏でも捕まえてきたか?」
「あきちはいつでも長一筋よ」
妖艶な着物を纏った美女は机に乗って繋の頬を触れながら小さく笑う。
何だか強烈なお姉さんが登場してきたなと遠目で見た後に結は静かに襖を閉めた。
「······さっきの娘。あれ何よ?」
西の様々な町や村に自分の町の名産物の営業しに行き、取引をしていた姫雛は結の存在なんて知らないのは当たり前だろう。
どう見ても妖でもましてや神でもないのは目に見える。
「人間だ」
「人間!?」
何故この世界に人間がいるのだと姫雛は目を見開き驚愕する。
原因不明の何かによって迷い込み、帰れなくなったから保護をしている。
座敷わらしのイタズラでこの世界の食べ物を口にした事。
自分の身の回りの世話を仕事として与えている事を伝えると「信じられない」という顔をした。
「身の回りの世話なら私が···っ!」
「お前は別の仕事があるだろ。結が出来るのはそれしかなかったからさせているだけだ」
力も能力もない結ができる事が繋の秘書的役割。
それを目の前にいる繋の口から聞いた姫雛は顔を歪ませた。
0
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる