死に別れた縁と私と異界の繋

海林檎

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「姫雛?····あ~帰ってきたんだ!!」

 お茶を汲みに行った際にムギと会い結は姫雛について聞いてみた。

「姫雛は長が町の長になった時からずっと長を支えて来た妖の1人だよ」

 領主であった父が先の戦で亡くなり己が新しい頭領になった時に町を復興に尽力した一人が姫雛だ。


「戦?」

「私は生まれていなかったんだけど数百年前に大きな戦があったんだって」

 国土全土を巻き込み海外の神々までもが参戦した戦争。
 その戦で幾軍の兵が死に陸空海全てが荒れた。
 その影響は人間界にも及んだらしい。

 その戦で繋の両親も巻き込まれ死去したとの事だった。

 戦争後はボロボロになった土地の復興に明け暮れ大変な時代を皆過ごした。

「この町がここまで回復したのもほんの二百年前からだよ」

 百年生きられるか分からない結からすれば遠過ぎる歴史である。

 スケールが大き過ぎてピンと来ない。



 そんな時代を生き抜いてきた繋達は一体何歳なのだろうか。
 お茶の入った湯呑みを乗せたお盆を持ってゆっくり歩きながら結は考える。



「想像出来ないから聞かないでおこう」

 結は自己完結をした。



「何が?」


 結の独り言に誰かが質問をする。
 顔を上げれば姫雛だった。

 姫雛はゆっくりと結の方へと近付いてくる。

「あ····いえ···」

 先程の顔を歪ませた時の姫雛を思い出して少しだけ緊張をする結は

「あの···姫雛さんのお茶も一緒に持ってきたんですけど····」

 もう何処かに行ってしまうのだろうか。
 せっかく帰ってきたのならもう少しゆっくりしても良いのではと思っていた事を口にする前に

「気安く呼ばないでくれる?」

「····すみません」

 目の敵にされている事を自覚して言葉が小さくなる。

 怖気付いている結を姫雛はジッと見詰めて「何でこんな小娘が?」と、疑問に思う。

 どう見ても顔もスタイルも自分よりも劣っている小娘を傍におく繋に姫雛は納得がいかなかった。


「アンタって何ができるの?」

「····え?」

「何が出来るのかって聞いてるの」


 特技や能力的なもので自分に勝てるものがあるのか。
 何もないだろう。
 人間なんて神々が作り出した未完成な生き物だ。



 姫雛は完全に結を見下していた。




 下に見ているからこそ繋が結を選んだ事が許せなかった。




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