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六
一
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集縁祭前日に結達の町に火ノ神がやって来た。
「火ノ神様。わざわざこの町まで足を運んで頂きましてありがとうございます」
町の長として繋が火ノ神を自らもてなす。
繋の傍に屋敷の使用人、そして結も共に火ノ神に拝謁をする。
「報告書を読むのが遅くなって申し訳ない」
まさか人間がこの世界に紛れ込んでいたなんて思ってもみなかったと、火ノ神は西の国の君主であると言うのに頭を下げる。
西の火ノ神は腰の低い真面目そうな印象だと結は思った。
ガタイのいい高身長な見た目にフワフワした尻尾にモフモフの犬耳。
犬の神でもあるとは説明を受けていたが····
モフモフしたい·····
実は結は無類の犬好きでもあった。
実家は賃貸な為、飼えないが休日には犬カフェに行って癒されていた。
「その娘が未来の下界から紛れ込んだ人間か?」
「はい。名を葉山結と····結?」
結の頭の中は「モフりたい」一色になっている。ムギが
「結~?おーい結ってば~····」
結の目線の先を見て納得した。
魅力的な尻尾がそこにある。
「君主。あのお嬢さん君主の尾っぽに興味あるみたいですよ」
火ノ神の家臣の青緑色の髪色をした男性がボソリと耳打ちをする。
「··········」
ちょっとそれは····と、火ノ神が尻尾を隠す。
「あ····もふもふ····」
余程あの尻尾がお気に召したそうだ。
名残惜しそうな目で見ていた結に再びムギが名前を呼んだ。
「······はっ!!」
正気に戻った結が「すみません!あまりにも素敵な尻尾だったので····」と、慌てて頭を下げて謝罪をする。
「あ、いや·····」
自分の尻尾を褒められて悪い気はしない火ノ神は少し照れ臭そうに自分の頬をポリポリと掻く。
「············長?」
火ノ神の尻尾に魅了された結を見て繋も自分にも尻尾が生えないだろうかだなんて密かに思っていた。
「長····あのね····」
それは無理なんじゃないかなと、ムギが何とも言えない表情で繋に向かって優しい声色で言ったのは言うまでもないだろう。
「火ノ神様。わざわざこの町まで足を運んで頂きましてありがとうございます」
町の長として繋が火ノ神を自らもてなす。
繋の傍に屋敷の使用人、そして結も共に火ノ神に拝謁をする。
「報告書を読むのが遅くなって申し訳ない」
まさか人間がこの世界に紛れ込んでいたなんて思ってもみなかったと、火ノ神は西の国の君主であると言うのに頭を下げる。
西の火ノ神は腰の低い真面目そうな印象だと結は思った。
ガタイのいい高身長な見た目にフワフワした尻尾にモフモフの犬耳。
犬の神でもあるとは説明を受けていたが····
モフモフしたい·····
実は結は無類の犬好きでもあった。
実家は賃貸な為、飼えないが休日には犬カフェに行って癒されていた。
「その娘が未来の下界から紛れ込んだ人間か?」
「はい。名を葉山結と····結?」
結の頭の中は「モフりたい」一色になっている。ムギが
「結~?おーい結ってば~····」
結の目線の先を見て納得した。
魅力的な尻尾がそこにある。
「君主。あのお嬢さん君主の尾っぽに興味あるみたいですよ」
火ノ神の家臣の青緑色の髪色をした男性がボソリと耳打ちをする。
「··········」
ちょっとそれは····と、火ノ神が尻尾を隠す。
「あ····もふもふ····」
余程あの尻尾がお気に召したそうだ。
名残惜しそうな目で見ていた結に再びムギが名前を呼んだ。
「······はっ!!」
正気に戻った結が「すみません!あまりにも素敵な尻尾だったので····」と、慌てて頭を下げて謝罪をする。
「あ、いや·····」
自分の尻尾を褒められて悪い気はしない火ノ神は少し照れ臭そうに自分の頬をポリポリと掻く。
「············長?」
火ノ神の尻尾に魅了された結を見て繋も自分にも尻尾が生えないだろうかだなんて密かに思っていた。
「長····あのね····」
それは無理なんじゃないかなと、ムギが何とも言えない表情で繋に向かって優しい声色で言ったのは言うまでもないだろう。
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