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六
二
しおりを挟む火ノ神を屋敷に招き、話し合いが行われた。
「·····消えた赤い神社か····」
「この辺りにそんな神社を見た事がないんですが····」
火ノ神様なら何か知らないですか?と、繋は聞いてみる。
「上下界に繋がる祠なら確かにあったと聞いた事がある」
しかしそれは西ではなく南にあり、今は使われておらずにその力ももう無いと言う。
「海外なら動く要塞とかはあると言うが···その類いの神社があるなんて聞いた事はないな」
そんな要塞あるんだ·····。
繋と結は互いに目を合わせる。
「····家族に会えねぇのは···辛いよなぁ」
自分達も最善を尽くして帰る方法を探すから諦めるなと火ノ神は言ってくれた。
「····ありがとう、ございます」
家族に会えない気持ちを火ノ神は共感してくれた。
後で聞いた話で火ノ神は昔の戦争で家族と沢山の大切な仲間を失った過去がある。
そして未だにそれを引き摺っていると言う。
この世界の神や妖怪は深い傷を負っている者が多いのだと感じる。
繋だって家族を失っている。
「結」
重苦しい気持ちになっていれば火ノ神に名前を呼ばれた。
「その神社に来る前の事を詳しく知りたいんだが····」
「あ····はい」
学校の帰りに公園でブランコに乗って思い出に浸っていた時に視線を感じ小さな祠を見つけた。
縁結びの神が祀っていると書かれたその祠に手をかざしたら気が付いたらここにいた。
「····縁結びの神····か···」
その祠を触る時に何か願ったりしなかったかと火ノ神が聞く。
少し考えた結は「あ···」と、思い当たる事があった。
----縁結びの神だと言うなら
また結んでよ。
確かに結は祠にそう願っていた。
そしたら亡くなったはずの縁の笑みが頭に浮かんで·····
気が付いたらあの赤い神社にいたんだ。
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