婚約破棄されたので森の奥でカフェを開いてスローライフ

あげは

文字の大きさ
4 / 123
第一部

聖魔の森

 国を出てから一週間。
 眼下には森が広がっています。とても広いです。
 ミシェルが言っていたのはよくわからなかったのですが、とうきょうどーむが十個以上は入る、とか言っていました。
 そのとうきょうどーむというものが何かは知りませんが、この広さで十個以上ということは、一つがかなり大きいみたいですね。
 それにしても、上から見ているのに森の全容が待ってくわかりません。
 一体どこまでがなのでしょうか。

 なぜ私たちが一週間で目的地にたどり着いたかといいますと、空を飛んだんです。
 ええ、そうですとも。文字通り空を飛びました。いえ、空を駆けたと言った方が正しいかもしれませんね。
 神獣は空を走ることができるみたいで、カイに乗って空の旅を堪能しました。
 おかげでこんなに早く着くことができました。それになかなかスリリングな体験でしたわ。
 空から少し見ただけでしたが、おそらく普通に馬車を使っていたら、もっとかかっていましたね。普通に国二つほど通過しましたし。
 ほんと、カイ様様ですね。ありがとうございます。今日のご褒美は期待してください。

『主よ。こんな森で一体何をするというのだ』

「もう、カイったら。そんな堅苦しい話し方しなくていいと言っているじゃないですか」

『我は神獣だ。威厳というものが必要なのだ』

「そんなこと言ってるけど、なんだかんだ言ってお嬢様に骨抜きになっているじゃないですか。まるで猫みたいですよ」

『うぐっ』

 そうです。
 いつも撫でてあげたり、毛繕いしたりしているときはふにゃふにゃになっているんです。とてもかわいいですよ。

『そ、そんなことより!』

「露骨に話を逸らしましたね~」

『うるさいわ! 主。そろそろ降りるぞ。これ以上は僕でも進めないんだ』

「どういうことです?」

『聖魔の森は中心に一本の聖樹がある。それが森全体を魔法で覆い、迷路のようになっているんだ。こうやって空から行くといつまでも中心にたどり着くことができず、永遠とさまようことになる。ここからは実際に森の中を歩き回るしかない』

「なるほど。そのようになっているんですね。わかりました。では、森の入り口から正式に入りましょう。何より迷路って初めてでワクワクします」

『……いや、遊びとは違うのだが』

 カイがなにか言っているようですが、私の耳には届きませんわ。
 地面に降り立つって分かったことですが、木々の一本一本がかなり大きいです。それが何千何万と並び立っている光景はなかなか壮観ですね。
 それでは。早速迷路に挑戦と行きましょう!

「お嬢様、ステイです」

「む~。何をするんですか、ミシェル。せっかく意気込んでいたのに」

「まだ確認することがたくさんあります。それに今日はずっと移動していたので、先に休憩を取りましょう。お腹も減っているでしょう?」

「……確かにそうですね。よくよく考えたら、朝食べてからまだ何も食べていませんでしたね。仕方ないので今回はミシェルの言う通りにしましょう」

 ということで、一旦小休止です。
 カイもお腹空いているみたいですし、ずっと空を駆けていたので少しお疲れでしょう。
 適度な休憩が効率の良い仕事につながるのです!

「それより、ミシェルの確認したいことって何?」

「この森の生態についてですね。どんな動物がいるのか、魔物はいるのか、植物は何が生えているのか、いろいろとありますよ。これを知っていないとここで生活するのは難しくなりますからね」

「なるほど。カイ、なにか知っていますか?」

『僕だって全部知っているわけじゃないぞ。しいて言うなら、魔物も動物もいる。それに精霊もいる。植物は知らない』

「精霊? この森には精霊がいるの?」

 精霊とはいつの日か人の前に姿を現さなくなった、人間の間では伝説の存在です。
 それがこの森には実際にいるなんて。まさに夢みたいですね。

『聖樹だってある意味精霊みたいなものだ。それに冒険者の中には精霊術師というのもいる。別に珍しいものでもない』

「何を言っているんです。私が見たことないのだから珍しいものですよ」

「お嬢様が見たことないものなら、いっぱいありそうですね。そう考えたら珍しいものの方が多いんじゃないですか?」

「ミシェル? 余計な事は言わないものよ?」

「……うっす」

 ミシェルが料理に戻っていきました。
 まったく。急に話に入ってきて何を言うかと思えば。

「とにかく! ここでの目的が増えました。精霊さんたちと仲良くしましょう!」

『そんなにうまくいけばいいけどね』

「大丈夫です! 何とかなります」

 ふふふ。ますます楽しみだわ。
 あ~。早く精霊さんたちに会いたいですわ~。
 ちなみに今日のシチューもおいしかったですよ、ミシェル。




感想 3

あなたにおすすめの小説

普段は地味子。でも本当は凄腕の聖女さん〜地味だから、という理由で聖女ギルドを追い出されてしまいました。私がいなくても大丈夫でしょうか?〜

神伊 咲児
ファンタジー
主人公、イルエマ・ジミィーナは16歳。 聖女ギルド【女神の光輝】に属している聖女だった。 イルエマは眼鏡をかけており、黒髪の冴えない見た目。 いわゆる地味子だ。 彼女の能力も地味だった。 使える魔法といえば、聖女なら誰でも使えるものばかり。回復と素材進化と解呪魔法の3つだけ。 唯一のユニークスキルは、ペンが無くても文字を書ける光魔字。 そんな能力も地味な彼女は、ギルド内では裏方作業の雑務をしていた。 ある日、ギルドマスターのキアーラより、地味だからという理由で解雇される。 しかし、彼女は目立たない実力者だった。 素材進化の魔法は独自で改良してパワーアップしており、通常の3倍の威力。 司祭でも見落とすような小さな呪いも見つけてしまう鋭い感覚。 難しい相談でも難なくこなす知識と教養。 全てにおいてハイクオリティ。最強の聖女だったのだ。 彼女は新しいギルドに参加して順風満帆。 彼女をクビにした聖女ギルドは落ちぶれていく。 地味な聖女が大活躍! 痛快ファンタジーストーリー。 全部で5万字。 カクヨムにも投稿しておりますが、アルファポリス用にタイトルも含めて改稿いたしました。 HOTランキング女性向け1位。 日間ファンタジーランキング1位。 日間完結ランキング1位。 応援してくれた、みなさんのおかげです。 ありがとうございます。とても嬉しいです!

婚約破棄され森に捨てられました。探さないで下さい。

拓海のり
ファンタジー
属性魔法が使えず、役に立たない『自然魔法』だとバカにされていたステラは、婚約者の王太子から婚約破棄された。そして身に覚えのない罪で断罪され、修道院に行く途中で襲われる。他サイトにも投稿しています。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜

青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ 孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。 そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。 これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。 小説家になろう様からの転載です!

追放された引きこもり聖女は女神様の加護で快適な旅を満喫中

四馬㋟
ファンタジー
幸福をもたらす聖女として民に崇められ、何不自由のない暮らしを送るアネーシャ。19歳になった年、本物の聖女が現れたという理由で神殿を追い出されてしまう。しかし月の女神の姿を見、声を聞くことができるアネーシャは、正真正銘本物の聖女で――孤児院育ちゆえに頼るあてもなく、途方に暮れるアネーシャに、女神は告げる。『大丈夫大丈夫、あたしがついてるから』「……軽っ」かくして、女二人のぶらり旅……もとい巡礼の旅が始まる。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

役立たずと追放された聖女は、第二の人生で薬師として静かに輝く

腐ったバナナ
ファンタジー
「お前は役立たずだ」 ――そう言われ、聖女カリナは宮廷から追放された。 癒やしの力は弱く、誰からも冷遇され続けた日々。 居場所を失った彼女は、静かな田舎の村へ向かう。 しかしそこで出会ったのは、病に苦しむ人々、薬草を必要とする生活、そして彼女をまっすぐ信じてくれる村人たちだった。 小さな治療を重ねるうちに、カリナは“ただの役立たず”ではなく「薬師」としての価値を見いだしていく。

貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます! 貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。 前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?

聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!

さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ 祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き! も……もう嫌だぁ! 半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける! 時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ! 大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。 色んなキャラ出しまくりぃ! カクヨムでも掲載チュッ ⚠︎この物語は全てフィクションです。 ⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!