1 / 72
一章 旅立ち
プロローグ
しおりを挟む
「――リリナ。お前、クビな」
「……ハイ?」
Aランクパーティー『銀の戦剣』のリーダー、カインに酒場へ呼び出されたと思ったら、いきなりのクビ宣告。びっくりして反応が遅れてしまった。
冒険者になって二年、私も大分落ち着きを持てるようになったと思うが、まだまだらしい。とりあえず、理由を聞いてみようと思う。
「……どうしてか聞いていいかしら」
「……理由か。そんなもの聞かなくてもわかるだろう。戦闘中いつも後ろで歌ってるだけの役立たずのくせに。『歌姫』とかいうユニークジョブだからパーティーに加入してやったが、とんだ詐欺師だったな。使えない奴に必死で戦っている俺たちと同じ報酬を与えるなんておかしな話だろ?
それに、俺たちはこれからSランクを目指すんだ。そんなパーティーにお前みたいな地味な奴がいたら華やかさに欠ける。だから、『銀の戦剣』にお前はいらない!」
まさかそんな風に思っていたとは……。
確かに戦うのは苦手だけど、私なりにパーティーに貢献していたと思う。
私の『歌姫』万能の職業だ。歌うことで仲間の回復や支援をメインに、魔導士が使う魔法のようなこともできる。
私自身に戦う力はないから、仲間の支援をしていたのだが、どうやらわかってもらえなかったみたいだ。
あと、私だって好きで地味な格好してるわけじゃないんだけど!って言ってやりたい!
どうせ聞き入れてもらえないだろうけど……。なんか悲しくなってきた……。
「……なるほど。それはあなたたちの総意なのね?」
私は周りにいた他のパーティーメンバーに声をかける。
「ああ。異論はない」
「まあ、居ても居なくても変わらないからいいんじゃないかしら。さんせーい」
「あたしは他の方々に合わせるっすよ。……少し寂しいっすけど」
重戦士のランドル、アークウィザードのアルマ、シーフのカーナがそれぞれ答える。――ちなみにカインは魔剣士。
他はいいとしても、カーナまで賛成するとは思わなかった。カーナとは結構仲良かったと思ったんだけどなぁ……。
と悲嘆に暮れているとこで、よく見ると知らない女の子が同じテーブルに座っていることに気づいた。歳は同じくらいだろうか。
「……ところで彼女は?」
尋ねるとカインが自慢げに答える
「彼女は新しい仲間のマリン。ハイプリーストで次期聖女候補だ。お前の歌より彼女の聖魔法のほうが役に立つと思い勧誘した。
つまりお前の居場所はもうないということだ!わかったらとっとと失せろ!」
「そういうことなんでぇ~、心配しなくていいですよぉ。リリナさんの代わりはマリンにお任せくださいぃ~」
……なんか無性にイラっとする女だなこの野郎。
甘ったるい声を出してカインに抱きつく、次期聖女候補とかいう女。名前なんて覚える気はない。こんなのが聖女候補とか……大丈夫か教会。ちゃんと人選しているのか心配になるわ。
私、なんでこんなパーティーに二年も所属していたのだろうか。そう考えると未練とか心残りとかなくなっていた。
はぁ。早く帰ろう……。
「わかった。そういうことなら私から言うことはないわ。
潔くパーティーを追放されましょう。
さようなら!
――カーナ。元気でね……」
仲の良かったカーナにだけ声をかけて、早々に酒場から立ち去る。後ろからカインが何か言っているが、私の耳には届いていないので無視をする。
そんなことよりもこれからのことを考えなければならない。
「…………。
……これからどうしようかしら」
思わず声が漏れる。
とりあえず寝る場所を確保しなければ!
さっきの酒場には戻れない。そのため今日の宿がなくなってしまったのだ。
「――食堂のおばちゃんに事情を説明して、一晩泊めてもらおう……」
冒険者活動で仲良くなったおばちゃんのところへ向かう。
こういう時人脈って大事だなぁ。改めてそう思った私は、重い足取りで食堂を目指す。
こうして『歌姫』の私は、Aランクパーティーをクビになった。
……はぁ。……今日はもう寝よう……。
「……ハイ?」
Aランクパーティー『銀の戦剣』のリーダー、カインに酒場へ呼び出されたと思ったら、いきなりのクビ宣告。びっくりして反応が遅れてしまった。
冒険者になって二年、私も大分落ち着きを持てるようになったと思うが、まだまだらしい。とりあえず、理由を聞いてみようと思う。
「……どうしてか聞いていいかしら」
「……理由か。そんなもの聞かなくてもわかるだろう。戦闘中いつも後ろで歌ってるだけの役立たずのくせに。『歌姫』とかいうユニークジョブだからパーティーに加入してやったが、とんだ詐欺師だったな。使えない奴に必死で戦っている俺たちと同じ報酬を与えるなんておかしな話だろ?
それに、俺たちはこれからSランクを目指すんだ。そんなパーティーにお前みたいな地味な奴がいたら華やかさに欠ける。だから、『銀の戦剣』にお前はいらない!」
まさかそんな風に思っていたとは……。
確かに戦うのは苦手だけど、私なりにパーティーに貢献していたと思う。
私の『歌姫』万能の職業だ。歌うことで仲間の回復や支援をメインに、魔導士が使う魔法のようなこともできる。
私自身に戦う力はないから、仲間の支援をしていたのだが、どうやらわかってもらえなかったみたいだ。
あと、私だって好きで地味な格好してるわけじゃないんだけど!って言ってやりたい!
どうせ聞き入れてもらえないだろうけど……。なんか悲しくなってきた……。
「……なるほど。それはあなたたちの総意なのね?」
私は周りにいた他のパーティーメンバーに声をかける。
「ああ。異論はない」
「まあ、居ても居なくても変わらないからいいんじゃないかしら。さんせーい」
「あたしは他の方々に合わせるっすよ。……少し寂しいっすけど」
重戦士のランドル、アークウィザードのアルマ、シーフのカーナがそれぞれ答える。――ちなみにカインは魔剣士。
他はいいとしても、カーナまで賛成するとは思わなかった。カーナとは結構仲良かったと思ったんだけどなぁ……。
と悲嘆に暮れているとこで、よく見ると知らない女の子が同じテーブルに座っていることに気づいた。歳は同じくらいだろうか。
「……ところで彼女は?」
尋ねるとカインが自慢げに答える
「彼女は新しい仲間のマリン。ハイプリーストで次期聖女候補だ。お前の歌より彼女の聖魔法のほうが役に立つと思い勧誘した。
つまりお前の居場所はもうないということだ!わかったらとっとと失せろ!」
「そういうことなんでぇ~、心配しなくていいですよぉ。リリナさんの代わりはマリンにお任せくださいぃ~」
……なんか無性にイラっとする女だなこの野郎。
甘ったるい声を出してカインに抱きつく、次期聖女候補とかいう女。名前なんて覚える気はない。こんなのが聖女候補とか……大丈夫か教会。ちゃんと人選しているのか心配になるわ。
私、なんでこんなパーティーに二年も所属していたのだろうか。そう考えると未練とか心残りとかなくなっていた。
はぁ。早く帰ろう……。
「わかった。そういうことなら私から言うことはないわ。
潔くパーティーを追放されましょう。
さようなら!
――カーナ。元気でね……」
仲の良かったカーナにだけ声をかけて、早々に酒場から立ち去る。後ろからカインが何か言っているが、私の耳には届いていないので無視をする。
そんなことよりもこれからのことを考えなければならない。
「…………。
……これからどうしようかしら」
思わず声が漏れる。
とりあえず寝る場所を確保しなければ!
さっきの酒場には戻れない。そのため今日の宿がなくなってしまったのだ。
「――食堂のおばちゃんに事情を説明して、一晩泊めてもらおう……」
冒険者活動で仲良くなったおばちゃんのところへ向かう。
こういう時人脈って大事だなぁ。改めてそう思った私は、重い足取りで食堂を目指す。
こうして『歌姫』の私は、Aランクパーティーをクビになった。
……はぁ。……今日はもう寝よう……。
0
あなたにおすすめの小説
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
虚弱体質で偽聖女だと追放された私は、隣国でモフモフ守護獣様の白き聖女になりました
・めぐめぐ・
恋愛
平民孤児であるセレスティアルは、守護獣シィに力を捧げる【聖女】の一人。しかし他の聖女たちとは違い、儀式後に疲れ果ててしまうため「虚弱すぎる」と、本当に聖女なのか神殿内で疑われていた。
育ての親である神官長が拘束され、味方と居場所を失った彼女は、他の聖女たちにこき使われる日々を過ごす。そしてとうとう、平民が聖女であることを許せなかった王太子オズベルトによって、聖女を騙った罪で追放されてしまった。
命からがら隣国に辿り着いたセレスティアルは、そこで衰弱した白き獣――守護獣ラメンテと、彼と共に国を守ってきた国王レイと出会う。祖国とは違い、守護獣ラメンテに力を捧げても一切疲れず、セレスティアルは本来の力を発揮し、滅びかけていた隣国を再生していく。
「いやいや! レイ、僕の方がセレスティアルのこと、大好きだしっ!!」
「いーーや! 俺の方が大好きだ!!」
モフモフ守護獣と馬鹿正直ヒーローに全力で愛されながら――
※頭からっぽで
追放された聖女は旅をする
織人文
ファンタジー
聖女によって国の豊かさが守られる西方世界。
その中の一国、エーリカの聖女が「役立たず」として追放された。
国を出た聖女は、出身地である東方世界の国イーリスに向けて旅を始める――。
追放された荷物持ちですが、実は滅んだ竜族の末裔でした~のんびり暮らしたいのに、なぜかそうならない~
ソラリアル
ファンタジー
目が覚めたら、俺は孤児だった。 家族も、家も、居場所もない。
そんな俺を拾ってくれたのは、優しいSランク冒険者のパーティだった。
「荷物持ちでもいい、仲間になれ」
その言葉を信じて、俺は必死についていった。
だけど、自分には何もできないと思っていた。
それでも少しでも役に立ちたくて、夜な夜な一人で力を磨いた。
だけどある日、彼らは言った。
『ここからは危険だ。荷物持ちは、もう必要ない』
それは、俺の身を案じた「優しさ」からの判断だった。
俺も分かっていた。
だから、黙ってそれを受け入れ、静かにパーティを離れた。
「もう誰にも必要とされなくてもいい。一人で、穏やかに生きていこう」
そう思っていた。そのはずだった。
――だけど。
ダンジョンの地下で出会った古代竜の魂と、
“様々な縁”が重なり、騒がしくなった。
「最強を目指すべくして生まれた存在」
「君と一緒に行かせてくれ。」
「……オリオンを辞めさせた、本当の理由を知っている」
穏やかなスローライフ生活を望んだはずなのに、
世界はまた、勝手に動き出してしまったらしい――
◇小説家になろう・カクヨムでも同時連載中です◇
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる