47 / 72
二章 水の都
情報収集
しおりを挟む無事、街の中に入ることができました。
何も問題はなかったです。当然です。ブラウを引き連れて街を襲いに来たとか疑われるなんてなかったですよ。
とにかく、街に着いたんだからまずは宿ですね。少し高いけどお風呂がついているところがいいわ。
「宿ならもう取ってあるっすよ」
「いつの間に?」
「リリィが検閲でもたもたしてる間暇だったっすから。風呂付朝夕ご飯付従魔OKな高級宿っす。めっちゃお高いっすよ~」
「……ちなみにおいくら?」
カーナが提示してきた金額を見て驚愕する。
長くても一週間くらいしか滞在しないのに、こんな大金。
この子はおバカなのだろうか。
「カーナの金銭感覚どうなっているのよ! おかしいでしょ、この料金。どこのお貴族様よ! こんなに高い所じゃなくてもいいじゃない!」
「何言ってるんすか。せっかくお金持ってるんすから、こういう時に使うのが一番すよ。それにこれだってこの前の依頼料からしたら大したことないじゃないっすか」
確かに辺境の事件解決に尽力したということで領主様からたんまり報酬をもらったけど。
何かあった時のために貯金しておくものでしょ。数日の宿に使うほどのお金じゃないわ。
「ちなみにこの街だと、従魔OKの宿はここ以外だいぶグレードが下がるっすよ。例えば風呂がなかったり、食事なしだったり。それにこの宿なら従魔の同じ部屋に連れていけるっすよ。そう考えたらこれくらいは許容範囲だと思うっすよ」
「そ、それは……たしかに……」
なかなか魅力的じゃない。
従魔を部屋に連れてい来るということは、宿でもモフモフし放題ね。
ブラウベッドでゆっくりお休みできるということね。
ぐぬぬ。
「そ、そこまでいうなら、仕方ないわ! 今回だけは見逃してあげる。でも、次はちゃんと相談してから決めるからね!」
「……ちょろいっすねぇ」
「何か言ったかしら?」
「いや、なんにも言ってないっすよ」
そうと決まれば宿に向かいましょう。
まずはお風呂に入ってからよ。そのあとは街で買い出しかしら。
それともルナちゃんたちの手入れが先かな。
「あんたたち、早くしなさい。可愛いあたしを待たせるなんて不敬よ」
「不敬なんて言葉、どこで覚えてきたんすか。別にろぜっち偉い人とかじゃないっすよね」
「何言ってるのよ。可愛いあたしの前に膝をつく者は多いの。つまりあたしは偉いのよ!」
「その考えはどうかと思うけど……」
最近、ロゼちゃんがおバカというよりかは、この子に変な事を吹き込んだおバカがいるように思えてきた。
いや、おそらくこの子もおバカなのは間違いないのだが。
そんなこんなで宿に着いた私たちは、部屋で落ち着いてから付属のお風呂を堪能した。
部屋にお風呂ついているとか、さすが超高級宿。しかもブラウも入れるほどの大きさ。感服しました。
今回はさすがにお風呂嫌いのルナちゃんも入れました。嫌がって暴れて大変だったけど。何とか入ってくれました。
ブラウは意外とお風呂好きだから自主的に入ってくれる。まあ大きくなってからは洗うのが大変だけど。最高のモフモフのためには必要な事なのです。
お風呂から上がり、ブラウたちの毛を整えてから私たちはギルドに向かった。
と言ってもルナとロゼちゃんは寝てしまったので置いてきた。
「この街は人が多いけど、ギルドはそんなに大きくはないのね」
「別に魔物が大量に出現するってわけじゃないっすからね。王国と水の都をつなぐ中継地点のようなものっす。国境も近いから騎士団の駐屯地もあるっすから平和なんすよ」
「相変わらずそう言う知識は豊富よね。どこから集めてるの?」
「それは秘密っすよ。いい女はミステリアスなんす」
「何言ってるのよ……」
またわけのわからないことを言っている。
「とにかく、アタランティアの情報をもらうっすよ。自分はそこら辺の冒険者から聞いてくるんで、リリィは受付でなんか聞いてきてほしいっす」
「わかったわ」
二手に分かれて情報収集。
そのほうがいろいろな事がわかることもある。
「本日はどのようなご用件ですか?」
「聞きたいことがあって。私、アタランティアに向かうんですが、最近何か変わったこととかありますか?」
受付のお姉さんに尋ねる。
どうしてどこのギルドのお姉さんも美人なのだろうか。
それに胸も……。
不平等じゃないだろうか。
「……あのぅ……どうかされました……?」
「い、いえ、何でもないですよ」
思わず感情が漏れてしまった。落ち着け私。
こういう時変な男に絡まれたりするのだが、このギルドではなさそうだ。
まあ確かに、こんなに大きな狼を連れている女に絡むバカはいないか。
「そうですね……特に何かあったわけではないのですが……少し治安が悪くなっているんです」
「治安が?」
「ええ。何でも裏社会で有名な人たちが集まっているとか。噂程度なのでわからないのですが、その、柄の悪そうな人たちが増えたらしいです。特に何か被害があるとあかではないので、今のところは様子見しているみたいなのです」
「へ~。そんなことになってるんだ。柄の悪いって、冒険者もなかなか柄悪い人多いと思うけど」
「フフッ。確かにそうですね。しかしそれ以上に優しい方も多いですよ」
「まあ、言われてみるとそうかも? とにかくありがとうございました」
「いえ。気を付けてくださいね。……いくらCランクで聖獣を連れているからって何があるかわかりませんからね」
こそっと耳打ちされた。
なぜわかったのだろうか。私別に有名でもないのに。
お姉さんはずっと笑顔だ。謎だ。
カーナの言っていたことがよく分かった気がする。
いい女はミステリアスとか。確かにそうだわ。少し見習おうかしら。
私は不思議な気持ちを抱いたままカーナと合流して宿に戻った――。
0
あなたにおすすめの小説
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
追放された聖女は旅をする
織人文
ファンタジー
聖女によって国の豊かさが守られる西方世界。
その中の一国、エーリカの聖女が「役立たず」として追放された。
国を出た聖女は、出身地である東方世界の国イーリスに向けて旅を始める――。
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
虚弱体質で偽聖女だと追放された私は、隣国でモフモフ守護獣様の白き聖女になりました
・めぐめぐ・
恋愛
平民孤児であるセレスティアルは、守護獣シィに力を捧げる【聖女】の一人。しかし他の聖女たちとは違い、儀式後に疲れ果ててしまうため「虚弱すぎる」と、本当に聖女なのか神殿内で疑われていた。
育ての親である神官長が拘束され、味方と居場所を失った彼女は、他の聖女たちにこき使われる日々を過ごす。そしてとうとう、平民が聖女であることを許せなかった王太子オズベルトによって、聖女を騙った罪で追放されてしまった。
命からがら隣国に辿り着いたセレスティアルは、そこで衰弱した白き獣――守護獣ラメンテと、彼と共に国を守ってきた国王レイと出会う。祖国とは違い、守護獣ラメンテに力を捧げても一切疲れず、セレスティアルは本来の力を発揮し、滅びかけていた隣国を再生していく。
「いやいや! レイ、僕の方がセレスティアルのこと、大好きだしっ!!」
「いーーや! 俺の方が大好きだ!!」
モフモフ守護獣と馬鹿正直ヒーローに全力で愛されながら――
※頭からっぽで
追放された荷物持ちですが、実は滅んだ竜族の末裔でした~のんびり暮らしたいのに、なぜかそうならない~
ソラリアル
ファンタジー
目が覚めたら、俺は孤児だった。 家族も、家も、居場所もない。
そんな俺を拾ってくれたのは、優しいSランク冒険者のパーティだった。
「荷物持ちでもいい、仲間になれ」
その言葉を信じて、俺は必死についていった。
だけど、自分には何もできないと思っていた。
それでも少しでも役に立ちたくて、夜な夜な一人で力を磨いた。
だけどある日、彼らは言った。
『ここからは危険だ。荷物持ちは、もう必要ない』
それは、俺の身を案じた「優しさ」からの判断だった。
俺も分かっていた。
だから、黙ってそれを受け入れ、静かにパーティを離れた。
「もう誰にも必要とされなくてもいい。一人で、穏やかに生きていこう」
そう思っていた。そのはずだった。
――だけど。
ダンジョンの地下で出会った古代竜の魂と、
“様々な縁”が重なり、騒がしくなった。
「最強を目指すべくして生まれた存在」
「君と一緒に行かせてくれ。」
「……オリオンを辞めさせた、本当の理由を知っている」
穏やかなスローライフ生活を望んだはずなのに、
世界はまた、勝手に動き出してしまったらしい――
◇小説家になろう・カクヨムでも同時連載中です◇
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる