追放歌姫の異世界漫遊譚

あげは

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二章 水の都

情報収集

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 無事、街の中に入ることができました。
 何も問題はなかったです。当然です。ブラウを引き連れて街を襲いに来たとか疑われるなんてなかったですよ。
 とにかく、街に着いたんだからまずは宿ですね。少し高いけどお風呂がついているところがいいわ。

「宿ならもう取ってあるっすよ」

「いつの間に?」

「リリィが検閲でもたもたしてる間暇だったっすから。風呂付朝夕ご飯付従魔OKな高級宿っす。めっちゃお高いっすよ~」

「……ちなみにおいくら?」

 カーナが提示してきた金額を見て驚愕する。
 長くても一週間くらいしか滞在しないのに、こんな大金。
 この子はおバカなのだろうか。

「カーナの金銭感覚どうなっているのよ! おかしいでしょ、この料金。どこのお貴族様よ! こんなに高い所じゃなくてもいいじゃない!」

「何言ってるんすか。せっかくお金持ってるんすから、こういう時に使うのが一番すよ。それにこれだってこの前の依頼料からしたら大したことないじゃないっすか」

 確かに辺境の事件解決に尽力したということで領主様からたんまり報酬をもらったけど。
 何かあった時のために貯金しておくものでしょ。数日の宿に使うほどのお金じゃないわ。

「ちなみにこの街だと、従魔OKの宿はここ以外だいぶグレードが下がるっすよ。例えば風呂がなかったり、食事なしだったり。それにこの宿なら従魔の同じ部屋に連れていけるっすよ。そう考えたらこれくらいは許容範囲だと思うっすよ」

「そ、それは……たしかに……」

 なかなか魅力的じゃない。
 従魔を部屋に連れてい来るということは、宿でもモフモフし放題ね。
 ブラウベッドでゆっくりお休みできるということね。
 ぐぬぬ。

「そ、そこまでいうなら、仕方ないわ! 今回だけは見逃してあげる。でも、次はちゃんと相談してから決めるからね!」

「……ちょろいっすねぇ」

「何か言ったかしら?」

「いや、なんにも言ってないっすよ」

 そうと決まれば宿に向かいましょう。
 まずはお風呂に入ってからよ。そのあとは街で買い出しかしら。
 それともルナちゃんたちの手入れが先かな。

「あんたたち、早くしなさい。可愛いあたしを待たせるなんて不敬よ」

「不敬なんて言葉、どこで覚えてきたんすか。別にろぜっち偉い人とかじゃないっすよね」

「何言ってるのよ。可愛いあたしの前に膝をつく者は多いの。つまりあたしは偉いのよ!」

「その考えはどうかと思うけど……」

 最近、ロゼちゃんがおバカというよりかは、この子に変な事を吹き込んだおバカがいるように思えてきた。
 いや、おそらくこの子もおバカなのは間違いないのだが。
 そんなこんなで宿に着いた私たちは、部屋で落ち着いてから付属のお風呂を堪能した。
 部屋にお風呂ついているとか、さすが超高級宿。しかもブラウも入れるほどの大きさ。感服しました。
 今回はさすがにお風呂嫌いのルナちゃんも入れました。嫌がって暴れて大変だったけど。何とか入ってくれました。
 ブラウは意外とお風呂好きだから自主的に入ってくれる。まあ大きくなってからは洗うのが大変だけど。最高のモフモフのためには必要な事なのです。
 お風呂から上がり、ブラウたちの毛を整えてから私たちはギルドに向かった。
 と言ってもルナとロゼちゃんは寝てしまったので置いてきた。

「この街は人が多いけど、ギルドはそんなに大きくはないのね」

「別に魔物が大量に出現するってわけじゃないっすからね。王国と水の都をつなぐ中継地点のようなものっす。国境も近いから騎士団の駐屯地もあるっすから平和なんすよ」

「相変わらずそう言う知識は豊富よね。どこから集めてるの?」

「それは秘密っすよ。いい女はミステリアスなんす」

「何言ってるのよ……」

 またわけのわからないことを言っている。

「とにかく、アタランティアの情報をもらうっすよ。自分はそこら辺の冒険者から聞いてくるんで、リリィは受付でなんか聞いてきてほしいっす」

「わかったわ」

 二手に分かれて情報収集。
 そのほうがいろいろな事がわかることもある。

「本日はどのようなご用件ですか?」

「聞きたいことがあって。私、アタランティアに向かうんですが、最近何か変わったこととかありますか?」

 受付のお姉さんに尋ねる。
 どうしてどこのギルドのお姉さんも美人なのだろうか。
 それに胸も……。
 不平等じゃないだろうか。

「……あのぅ……どうかされました……?」

「い、いえ、何でもないですよ」

 思わず感情が漏れてしまった。落ち着け私。
 こういう時変な男に絡まれたりするのだが、このギルドではなさそうだ。
 まあ確かに、こんなに大きな狼を連れている女に絡むバカはいないか。

「そうですね……特に何かあったわけではないのですが……少し治安が悪くなっているんです」

「治安が?」

「ええ。何でも裏社会で有名な人たちが集まっているとか。噂程度なのでわからないのですが、その、柄の悪そうな人たちが増えたらしいです。特に何か被害があるとあかではないので、今のところは様子見しているみたいなのです」

「へ~。そんなことになってるんだ。柄の悪いって、冒険者もなかなか柄悪い人多いと思うけど」

「フフッ。確かにそうですね。しかしそれ以上に優しい方も多いですよ」

「まあ、言われてみるとそうかも? とにかくありがとうございました」

「いえ。気を付けてくださいね。……いくらCランクで聖獣を連れているからって何があるかわかりませんからね」

 こそっと耳打ちされた。
 なぜわかったのだろうか。私別に有名でもないのに。
 お姉さんはずっと笑顔だ。謎だ。
 カーナの言っていたことがよく分かった気がする。
 いい女はミステリアスとか。確かにそうだわ。少し見習おうかしら。
 私は不思議な気持ちを抱いたままカーナと合流して宿に戻った――。








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