追放歌姫の異世界漫遊譚

あげは

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二章 水の都

螺旋階段の先は

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「……これ、明らかにあれよね」

「……そうっすね。絶対にあれっすね」

 私たちの目の前にはなんだか見覚えのある重厚な扉があった。
 長い長い螺旋階段を下りたところにこんな扉。
 構造的におかしいとは思うが、それよりここはダンジョン化してるってカーナも行ってたから……。
 やっぱり何度見ても変化なしね。ボス部屋だわ。

「階段を下りた先がボス部屋とかどうなってるのよ。いくらダンジョンって言ってもおかしいでしょ!」

「そんなこと言われったって。こういうダンジョンもあるって分かっただけ良しとするっすよ」

「良くなーい!! 何なのよ! 同じ景色で同じ高さの段を一段一段緊張感を持ちつつ同じペースでグルグルと! 終わったと思ったらボスの部屋って! もう嫌!」

 精神的に限界だった。
 これならまだカインとパーティー組んでいた頃の方がマシよ。

「見てよ! ロゼちゃんだってこんなにぐったりしてるじゃない!」

「いや、それは寝てるだけっす。よだれまで垂らしてるじゃないっすか。完全な熟睡っすよ」

 確かにそうだけど。
 いや、ちょっと待って。ブラウのモフモフによだれ垂らしてないわよね。
 そんなことは許されないんだからねっ。

「多分大丈夫っすよ。って確認しながらモフモフするのはやめるっす。いい加減現実を見るっすよ」

 ダメよ。
 これをやめるわけにはいかないの。
 荒んだ心を癒してくれるのはこの子たちだけなのだから。モフモフッ、もっふーん。

「はあ……。もういっすね。それじゃ開けるっすよ~」

「あー! ちょっと待って。心の準備がぁ」

 カーナは私の叫びを無視して扉を開けてしまった。
 そのまま中へ。待って、置いてかないで。

 ……広い。とても広いわ。
 というか何この部屋。私たちのいる場所から部屋が一望できるじゃない。
 それよりどこかで見たことあるような……あ! 王都にあったコロシアムに似てるんだわ。
 段々と低くなっていく観客席に、中央にはステージが……?
 何あれ? ステージと言うには狭いし、形は四角、それに何か網のような壁で囲まれて……。

「観客席に中央にリング……もしかしてここが……!?」

「カーナ? 何かわかった――」

「――あら? お客さんかしら? でもごめんなさい。まだここに来るには早いのよ。あと四日ほど経ってからお越しくださる?」

「「っ!?」」

 振り返ると真っ黒な肌のきれいな美女。
 しかし、人とは思えない何かを感じた。

「それじゃ、またねぇ」

 美女が手を真横に振ると私たちの足元に魔法陣が出現。
 一体何が――。







 ――――気が付くと私たちはギルドにいた。


 しかもギルドホールのど真ん中。
 いきなり現れた私たちに周囲の冒険者たちは警戒している。
 幸い受付にはマキナさんがいた。

「ど、どうしたのあなたたち!? 一体どこから、というかどうやって?」

「へ? どういうこと? なんで私たちギルドにいるの? 螺旋階段降りてボス部屋に入ってそれから」

「リリィ、ストップ。マキナさん、早急にお話ししたいことがあるっす。今すぐに」

「わ、わかったわ。ついてきて」

 一体どうなっているの? 
 カーナは何が分かったのだろうか。私は頭が追い付かない。
 とりあえずマキナさんとカーナについていく。
 一旦落ち着くために、私はルナとブラウをモフモフすることにした。








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みんなの感想(1件)

静内燕
2020.08.02 静内燕

読ませていただきます、リリナさんのこれからが楽しみです

解除

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