思考と口が直結しました。どうやったら黙れるのでしょうか?

tec12

文字の大きさ
10 / 17
フリューゲル王国王都にて

 クラスメイト 01

しおりを挟む
「オラッ!!」

 緑色の小人、ゴブリンと言われるモンスターが男によって袈裟斬りにされる。

「チッ!!くせぇな。弱いくせに向かってくんじゃねぇ」

 返り血で汚れた鎧に苛立ちが募り死体を蹴り悪態をつく。

「お見事です勇者様。もうゴブリンは余裕ですな。」

 勇者に声をかけた壮年の騎士は戦いに賞賛を送るが目はどこか空虚だった。

「言っただろ相手にならねぇって。今日はもう終わりでいいよな?娼館に呼ばれてんだ。勇者様の話が聞きたいってな。早く行ってやんねぇとな。」

 気がつかない勇者は戦いの後だからか、自分より明らかに歴戦といった面持ちの騎士に強気に話す。

「・・そうですな。もう少し森の奥に入りオークやグリズリーを相手に経験を積むのがよろしいかと。」

「森はもういいだろ!!俺ならもっと強いヤツも相手に出来る!!魔族とか魔王倒して欲しいんだろ?いつまでチマチマさせる気だ!!」

「申し訳ない。まだ連合の進展がよろしくないようでこればかりはどうにも。」

「どの国が主導権握るか揉めてんだって?俺でいいだろ?他の勇者ってもクラスの連中だろ?だったら国が何話しても俺がリーダーになるから無駄だ無駄。
 さっさと進めろって王様に言っといてくれよ。」

 高校でクラスの中心人物だったと自負する勇者は事も投げに言い放ち、話は終わったとばかりに踵を返した。

「勇者様お待ちを!!どちらへ行かれるので?!」

「娼館だって言っただろ!!今日は娼館に泊まるから帰らねえ。そう言っといてくれ。じゃぁな!!」

 そう言って勇者は馬車に乗り王都へ帰って行った。

「はぁ仕方ない引き上げるぞ!!」

 壮年の騎士は周りで勇者とのやり取りを見守っていた騎士達に帰還の指示を出す。

「ハッ!!了解しました!!総員の後始末の後帰還する!!速やかに行動に移れ。」

 若い騎士の命令を受けた兵士は、勇者が斬り散らかしたゴブリンや無駄に殺された小動物の後始末を始めた。

 死体を放置すればそれを食べにモンスターが近寄ってくる。
 流れた血もモンスターを呼び寄せる。

 死体は穴を掘り穴の中で燃やし、血は魔法や水で出来るだけ流す。

 森とはいえ人里から近いため必要な処置だった。

「団長お疲れ様でした。」

 指示を出し終わり、兵士が行動を開始したのを確認して若い騎士は壮年の騎士に声をかけた。

「ああ、お前もな。勇者は若いとは思っていたが猿だったか。」

 団長と呼ばれた男は疲れた顔をしながら勇者を思う。

「勇者は成人した頃合だと聞きましたが覚えてたての新兵と変わらないのでしょう。実力も新兵に毛が生えた程度ですし。」

 この世界では15歳が成人とされ大人扱いをする。

「そうだな。腕は言ってやるな。平和な国だったらしい。他の勇者も大差無いと聞いている。連合が揉めているのも納得だな。主導権を握るのではなく握らない為に揉めているのだからな。」

「責任は取りたく無い・・ですが。そうすると少々まずいですね。あの勇者はリーダー格だったと言ってましたからね。押し付けられますよ?」

「かもな。陛下も悩んでおられたよ。」

「私は物語で読んだだけなのですが魔王や魔族とは他世界から勇者を召喚しなければ倒せない存在なのですか?物語でも勇者が倒した、と書かれていましたが勇者でなければいけない、とは書かれていませんでしたよ。」

「嫌な所に気がつくな。勇者の物語は教会が編纂した物だ。あの物語は30年前の話だな。勇者自体はもっと昔から居たようだが魔王に関しては30年前から急に出てきたんだ。変だろ?」

「30年前ですか・・団長は物語の魔王の事を実際に知っていたりするのですか?」

「まだ10にもなって無いガキの頃だったから、見た事無いな。もっとも聞いた事も無いがな。戦争をしていたらしいんだがこの国は関わっていない。戦争が終わってから何年か経って教会が広め始めたのが勇者の本だな。」

「教会の意向が詰まってる本ですか。魔王が居たとしても教会にとっての魔王かもしれないのですね。」

「魔王や魔族が何したかも分からない。だが教会が敵として物語に出したから討伐しないといけないと誘導されているんじゃないか?勇者の集団召喚も教会主導だったらしい。」

「なら連合も教会が主導すれば良いのでは?」

「宰相がから聞いた話なんだがな?」

 教会は魔王討伐を勇者と共に成した。ようは戦争に勝った。戦勝国が自国の都合のいいように歴史を変えを喧伝するのは世の常。
 勇者の物語はそれを民衆に喧伝する手法で、それは大きな成功を治めた。

 今回も教会に都合の悪い敵を倒そうとしてるのでは?
 今回、国を持たない教会は国を巻き込んだ。
 国も教会の成功を知っているから話に乗った。
 教会は集団召喚と連合を提案し、名誉を国に平等に分けた。魔王討伐に貢献した名誉を。当初魔王討伐は平等を盾に教会が主導をするはずだった。

 しかし国は待ったをかけた。名誉が教会に1番に行くから平等では無いと。そして主導権争いが始まった。

 争い始めたが蓋を開ければ頼みの勇者が弱くてさぁどうしようが今。

「だそうだ。」

「聞いてはいけない話なのでは?」

「そうだな。口外禁止だぞ?」

「はぁ。結局魔王ってなんですか?」

「敵だな。誰かにとっての。知っているか?勇者の連合だがな?金は出しても軍はほとんど出さないんだよ。国が指定した冒険者を出すらしいがな。つまり敵は国が連合を組んで総力を尽くす規模じゃない。前回規模すらわからんが他国の関わりもな。」

「それ答え出てませんか?」

「あの勇者は生贄に近い。勇者だから強いのだろうと思っていたがあれではいつ死んでもおかしくない。」

「流石にあんな勇者でも気の毒になりますね。」

「ちょっとは優しくしてやろうって気が出てきたか?」

「好きにはなれませんがね。」

「そうか。ちなみにあの勇者は陛下に姫や金銀財宝、爵位と色々要求していたな。死んでも自業自得だ。」

「先に言って下さいよ。嫌いですあの勇者」

「ハッハッ。しかし主導権争いで未だに教会がだんまりなのは気になるな。元々勝つ算段があったか当たりの勇者を引いたか。どっちだろうな」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最弱スキル《リサイクル》で世界を覆す ~クラス追放された俺は仲間と共に成り上がる~

KABU.
ファンタジー
平凡な高校生・篠原蓮は、クラスメイトと共に突如異世界へ召喚される。 女神から与えられた使命は「魔王討伐」。 しかし、蓮に与えられたスキルは――《リサイクル》。 戦闘にも回復にも使えない「ゴミスキル」と嘲笑され、勇者候補であるクラスメイトから追放されてしまう。 だが《リサイクル》には、誰も知らない世界の理を覆す秘密が隠されていた……。 獣人、エルフ、精霊など異種族の仲間を集め、蓮は虐げられた者たちと共に逆襲を開始する。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

現代社会とダンジョンの共生~華の無いダンジョン生活

シン
ファンタジー
 世界中に色々な歪みを引き起こした第二次世界大戦。  大日本帝国は敗戦国となり、国際的な制約を受けながらも復興に勤しんだ。  GHQの占領統治が終了した直後、高度経済成長に呼応するかのように全国にダンジョンが誕生した。  ダンジョンにはモンスターと呼ばれる魔物が生息しており危険な場所だが、貴重な鉱物やモンスター由来の素材や食材が入手出来る、夢の様な場所でもあった。  そのダンジョンからモンスターと戦い、資源を持ち帰る者を探索者と呼ばれ、当時は一攫千金を目論む卑しい職業と呼ばれていたが、現代では国と国民のお腹とサイフを支える立派な職業に昇華した。  探索者は極稀にダンジョン内で発見されるスキルオーブから特殊な能力を得る者が居たが、基本的には身一つの状態でダンジョン探索をするのが普通だ。  そんなダンジョンの探索や、たまにご飯、たまに揉め事などの、華の無いダンジョン探索者のお話しです。  たまに有り得ない方向に話が飛びます。    一話短めです。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!

菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは 「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。  同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう  最初の武器は木の棒!?  そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。  何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら 困難に立ち向かっていく。  チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!  異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。  話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい! ****** 完結まで必ず続けます ***** ****** 毎日更新もします *****  他サイトへ重複投稿しています!

処理中です...