のんびり実話怪談

二階堂まりい

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香港のマンションの話

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 今は東京に住んでいるBさんが、香港に居た頃の心霊体験。
 
 Bさんは香港で現地の不動産屋と共に、一家で住まうための家を探していた。
 とあるマンションを内見しに行き、不動産屋が部屋の扉に鍵を差し込んだが、何やら様子がおかしかった。
 何故か扉が開かないのだ。
 鍵が間違っていた訳ではない。
 鍵は奥まで差し込んで回せているし、カチャっと解錠される音は鳴っているのだ。
 ただ扉が押しても引いても開いてくれず、部屋に入ることが出来ない。
 仕方ないのでBさんは、そのマンションの内見自体を諦めることにした。
 
 やがてBさんは無事に家を見つけたが、それは件のマンションの近くだった。
 
 さらにはBさんのママ友が、あのマンションの住人だった。
 扉が開かなかった話をしてみたが、ママ友はそんな体験をすることなく普通に入居したという。
 ただ、ママ友の息子さんは、ベッドの下に誰かが居ると言っているらしい。
 大人には何も見えないのだが、子どもはとても怖がっている。
 
 なのでママ友は占い師の元を訪れてアドバイスを求めた。
 占い師には、盛り塩をおすすめされたらしい。
 除霊に盛り塩を使うのは香港でも同じなんだ……と、Bさんも驚いていた。
 
 貴女はあのマンションに住まなくてラッキーだったね、とママ友はBさんに言っていた。
 
 ちなみにBさんの一家は賑やかな雰囲気だ。
 一方でママ友の一家は大人しく上品な感じらしい。
 
 あの時扉が開かなかったのは、私の守護霊が、部屋に住まう悪霊から守ってくれたからか?
 それとも部屋に居る霊が静かに暮らしたくて、賑やかな家族を拒否したのか?
 Bさんはそう話してくれた。
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