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もう我慢の限界です!
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「今日は早いのだな」
「……そうなんですよ、ちょっと訊いてもらっていいですか!」
あれからというもの、毎日のように書架整理とかこつけて書庫へと繰り出して愚痴る私。
自己紹介もままならぬうちに鬱憤を投げつけたのでこの高貴な方を勝手に書庫の主と命名。
もちろん部署で済ませなければならない仕事をさっさと片付けてから赴き、何ならここで過ごす時間を増やすようにしてる感じ。
だってさ、部署にいるまでの時間は本当に憂鬱。最初は黙々と整理を始めた私を主が手助けしてくれる内にいつの間にかブツブツと不満を吐き出すのが定番となってた。
聞き上手で否定されるわけでもなく、逆に労ってくれるからつい次から次へと溢れ出ちゃう。
なのに嫌な顔をせず手伝ってくれるし、この穏やかな時間が心地いいものになってしまったから。
「書庫の整理とかこつけて君がサボっていると耳にしたのだが……」
副士団長から呼び出しをくらい、いきなりの信じられないお小言を受け賜わる。
どうやら一部の仕事が滞ったために先輩方のダシとして使われてる様子。
「いえ、私は自分の仕事を全て熟してから書架整理を行なってます」
「だが、君の机上はいつも山積みではないか。これでは業務に支障をきたすのは当たり前だ」
それは先輩たちの効率が悪く回し損ねて終業時に仕上げたものを私の机に置いて帰るからっす!
他に提出期限ギリギリのものを忘れてた挙句、私に委ねて知らんふりを貫いたりとか悪質。
どんなに書類も魔法石も片して真っ新にしても翌朝には山積みになってることがほとんど。
急ぐなら書庫まで持ってこい! と丁寧に伝えてるものの、来た試しなんぞ無し。
こっちは書庫から直帰してるもんで何してるんだか。私にとってブラックな部署ですよ、全く。
「とにかく所属してからもう半年だ。いつまでも甘えた新人のつもりでいては困るぞ!」
この半年でもそんなつもりなど一切持ったことないし、むしろ迷惑を掛けられている方だっちゅーの。
ご立腹の副士団長に何を言っても仕方がない。ま、変な噂のせいで色眼鏡で見られてるもんね。
書庫の方はようやく棚による分類が終わったところでこれから規則正しく配列していく作業になる。
地道にコツコツ手作業で仕事と並行しながら主の手助けと共にどうにかここまでやってきたのに。
全てのことを否定されたようで何ともいえない怒りが心の奥底にフッと灯る。
部署に戻っていつも以上に先輩たちにせっついたものの、仕上がる量は変わらずちんたらやっている。
最低限の期日確認をしてから見切りをつけた頃には随分と書庫へ行く時間が遅くなってしまった。
主は無理する必要ないと今日は休むように労ってくれたが私の怒りはどんどんと膨れ上がっていた。
「ようやく棚全体の移動も終わり、せっかく今日から並び替えの作業へとこぎつけたのに、サボっているだとか酷すぎると思いませんか?!」
何だか悔しくなってだんだん冷静になれなくなった。どんどん体の中から怒りが湧き上がってくる。
「ここでもう一気に全て終えてしまえば納得するんですかね、あの人たちは!!!」
気が付いた時には書庫全体の書物が舞い上がっていた。
「ユナ、いけない!」
劈くような声が聞こえたけどもう遅い。
あっという間に空中でビュンビュンと書物が飛び交い始める。
「ダメだ! 止めるんだ、ユナ!」
抱き竦められたような気がしてその訴えを最後に私の意識は無くなっていた。
「……そうなんですよ、ちょっと訊いてもらっていいですか!」
あれからというもの、毎日のように書架整理とかこつけて書庫へと繰り出して愚痴る私。
自己紹介もままならぬうちに鬱憤を投げつけたのでこの高貴な方を勝手に書庫の主と命名。
もちろん部署で済ませなければならない仕事をさっさと片付けてから赴き、何ならここで過ごす時間を増やすようにしてる感じ。
だってさ、部署にいるまでの時間は本当に憂鬱。最初は黙々と整理を始めた私を主が手助けしてくれる内にいつの間にかブツブツと不満を吐き出すのが定番となってた。
聞き上手で否定されるわけでもなく、逆に労ってくれるからつい次から次へと溢れ出ちゃう。
なのに嫌な顔をせず手伝ってくれるし、この穏やかな時間が心地いいものになってしまったから。
「書庫の整理とかこつけて君がサボっていると耳にしたのだが……」
副士団長から呼び出しをくらい、いきなりの信じられないお小言を受け賜わる。
どうやら一部の仕事が滞ったために先輩方のダシとして使われてる様子。
「いえ、私は自分の仕事を全て熟してから書架整理を行なってます」
「だが、君の机上はいつも山積みではないか。これでは業務に支障をきたすのは当たり前だ」
それは先輩たちの効率が悪く回し損ねて終業時に仕上げたものを私の机に置いて帰るからっす!
他に提出期限ギリギリのものを忘れてた挙句、私に委ねて知らんふりを貫いたりとか悪質。
どんなに書類も魔法石も片して真っ新にしても翌朝には山積みになってることがほとんど。
急ぐなら書庫まで持ってこい! と丁寧に伝えてるものの、来た試しなんぞ無し。
こっちは書庫から直帰してるもんで何してるんだか。私にとってブラックな部署ですよ、全く。
「とにかく所属してからもう半年だ。いつまでも甘えた新人のつもりでいては困るぞ!」
この半年でもそんなつもりなど一切持ったことないし、むしろ迷惑を掛けられている方だっちゅーの。
ご立腹の副士団長に何を言っても仕方がない。ま、変な噂のせいで色眼鏡で見られてるもんね。
書庫の方はようやく棚による分類が終わったところでこれから規則正しく配列していく作業になる。
地道にコツコツ手作業で仕事と並行しながら主の手助けと共にどうにかここまでやってきたのに。
全てのことを否定されたようで何ともいえない怒りが心の奥底にフッと灯る。
部署に戻っていつも以上に先輩たちにせっついたものの、仕上がる量は変わらずちんたらやっている。
最低限の期日確認をしてから見切りをつけた頃には随分と書庫へ行く時間が遅くなってしまった。
主は無理する必要ないと今日は休むように労ってくれたが私の怒りはどんどんと膨れ上がっていた。
「ようやく棚全体の移動も終わり、せっかく今日から並び替えの作業へとこぎつけたのに、サボっているだとか酷すぎると思いませんか?!」
何だか悔しくなってだんだん冷静になれなくなった。どんどん体の中から怒りが湧き上がってくる。
「ここでもう一気に全て終えてしまえば納得するんですかね、あの人たちは!!!」
気が付いた時には書庫全体の書物が舞い上がっていた。
「ユナ、いけない!」
劈くような声が聞こえたけどもう遅い。
あっという間に空中でビュンビュンと書物が飛び交い始める。
「ダメだ! 止めるんだ、ユナ!」
抱き竦められたような気がしてその訴えを最後に私の意識は無くなっていた。
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